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いつかの水鳥さん
黄昏時に沼に通りかかった時のこと
沼地に落日の影が映って
夕映えの空が輝いていた
眩しいくらい
初夏と言ってもいいぐらいの季節
太陽も輝いている
なんとなく、眺めていたら
対岸の方から白い鳥が羽ばたいて
ふわりと
軽く、着水した
白い大きな鳥だった
羽根を休めに来たの?
鳥はそのまま羽根を繕ったりして
ゆったり休んでいた
天から舞い降りて来たその鳥を
遠くから眺めるだけで
ほっとして疲れが取れるみたい
不思議だなって
思ってみたり
日がゆっくり暮れていく
風が今、動いていく
街の音と、明かりと
感覚が、感じられる
沼から音がして
トワイライトブルーの空に向かって
水鳥が飛んでいく姿を見送って
それから後は
いつもと同じ
ただ、
それからは用事を見つけて
沼地に寄ってみることにしている
あの日の鳥に
まだ会えていないけれど
いつかまた、降りてくるかな、なんて
思ってみたりする
何年か前の景色に。
同じ場所で夕焼けを見て思い出して。
そんなことって、ありませんか。




