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若葉の季節に。
5月の風は若葉色を纏って
木々の梢をきらめかせ
流れていく
ささやくように
ときには強く
緑の葉たちが風にそよいだおかげで
風の通り道が作られて
空へと続く
輝く白い雲の
階段を上がっていく
どこか遠くの
空の音が聴こえるあたり
夏の王国があって
塔の上には
お姫様と小鳥が暮らしていました
春の終わりの長雨のとき
お空の王国で争いが起こって
お姫様の花園は枯れてしまいました
お姫様は願いをこめて歌を歌い
その歌声は虹となって
地上に続くアーチとなりました
ささやかな願い
いつまでも続いてほしい
そんな望みは星になって
どこかの空に輝いているかもしれません
朝の雫の中にある薄いブルー
空と同じ透明な滴りは
きっと涙のように
スイカの青い匂い
午前のうちに晴れた空に
甘く溶けていく




