春の魔法
『春の魔法』
ねえ、知っていますか?
春になるとどうして
風が気持ち良く吹くのかを
風のなかを
はなびらがやわらかく舞うから?
陽射しがぽかぽかして
あったかいから?
いいえ、いいえ
それもありますけれど
本当はね
春が来るとお花がたくさん咲いて
陽気に笑ってるから
なのです
晴れた空の下の野原のどこかに
歩いている道のはしのほうに
あるいはどこかのおうちのお庭や
白いカーテンのかかったお部屋の
ちいさなテーブルの上で
幸せそうに笑っているのを
見たことはありませんか?
誰もいなくなった部屋のなかで
こしょこしょ
おしゃべりしているのは秘密
くすくす笑ったりして、ね
『みずいろ』
みずいろの気持ちになってみたくて
みずいろを探しに出かけていく
空はみずいろ
雨が降るわけでもないのに
おさかなが泳いでいそう
川はみずいろ
近くで見ると透きとおって
小石には緑の藻がついて
ゆらゆら草みたいになびいてる
土手には草が風にゆれている
さわわ、さわわ
遠くの空はみずいろ
流れる川もみずいろ
風までみずいろ
深呼吸したら
みずいろの気分になれるかもしれない
『春風に乗ってみたい』
春風は見えないけれど
乗ってみたい
雲の上に乗って
仙人みたいに杖ついて
颯爽と吹いて
道ゆく人たちを振り返らせて
地上にお花を咲かせていくよ
花咲じいさんみたいに




