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昔の夢からの手紙


温かな部屋の窓から

降りしきる雪を見ていた


幼い頃の、いつかの景色


窓についた雪の粒は

ゆっくりと溶けていく


透明な水滴の粒が

つながっていく


触れたいと思い

窓に手を重ねてみた


すると、


白くてつめたい、きれいな粒が

窓を伝って流れていった





その女の人を見かけたのは

ポプラ並木の木の影だった


女の人は優しい顔をしていて

懐かしい感じがした


じっと見ていると

微笑んでくれたような気がして


どこかがほっと、温かくなった


親戚の人に似ているのかもしれない

そう思って見直してみると


いつのまにか、いなくなっていた


不思議と怖さはなかった

誰だったんだろうと思う





熱っぽい日

ふとんにくるまりながら、ひとり

心細い気持ちを抱えながら

留守番をしていた


時計の音がやけに聞こえていた

冷蔵庫の音に、エアコンの音

遠くの家の誰かの声に

通り過ぎるバイクの音


水の入ったコップに手を伸ばす

ひんやりした硝子の感触が気持ちよくて

てのひらや、ひたいにつけたら

すうっと熱を吸ってくれた


うとうとしてきて、目を閉じた頃

鍵が開く音がして

「ただいま」

身内が帰ってきた時の安堵感


忘れていたけれど

風邪ぎみの日に思い出して

くすっと笑ってみる


午後の二時

ごはんでも作りますか










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