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こたつを買おうかな
朝になって、窓を開けた
風は冷たくて
いつのまにか冬がきていた
こんな寒い朝は
こたつにみかんに
熱いお茶がいい
昔、田舎に行くと
よく出してもらったそれらは
ストーブのある景色が重なり
赤い半纏を羽織っていた
自分によく似た面立ちの
ある人の記憶と繋がっている
あの土間のある家も
その人も
今ではすっかり変わったけれど
あの頃の時間は
いつまでも焼きついたまま
暖かい布団の
ごわごわした感触
ストーブの上に置かれたやかんから
白い湯気が立ち昇り
揺れて消えていく
和室の居間の縁側には猫が丸まり
その隣にあるのは
素朴な微笑み




