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縁日の金魚に



縁日の金魚すくいで

赤い金魚を掬った


水草入りの金魚鉢に入れて

日陰で眺めていた


日を追うごとに

育っていくのが面白くて

きんとと、ととさん、と

名前をつけたりして

呼びかけていた



金魚たちは、誰かが近づくと

鉢の中からこちら側に寄ってきた


ごはんの時間だと分かっているみたいだった


たまに、何もしないでいると

あちこち動いたりした


困っているように見えて

いじらしくなって

少しおやつをあげてしまう

それから

赤い尾ひれを揺らしながら

水槽の中を泳ぐ姿を

飽きるまで眺めたりしていた



長い夏休みの終わりが近づいて

宿題が気になり出した頃


気がついたら

鱗にカビが生える病気になって

一匹ずつ、白いお腹を上にさらして

いなくなっていった



お祭りで出される金魚は

つつかれて弱っているから

仕方のないこと

そう教わった


つついてしまったのは

追いかけたのは

この手も同じこと

それ以来

金魚すくいを見ても

やりたいとは思わなくなり

水風船ばかり

指にかけて眺めているようになった


金魚たちは、どこへ行ったのだろう

星の瞬く夏空の中を

今も泳いでいるのだろうか











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