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雨続きの夜のつぶやき
雨の日の終わりになって
雨音のうちに空は暮れていく
知らないうちに時は過ぎて
夕陽をどこかに隠したまま
室内だけが暗くなっていた
空気を入れ替えるために窓を開けた
そうしたら熱帯の湿った風が入ってきて
カーテンにかけたきりの
室内干しの夏物が重たくなって
外から暮らしの音が聞こえた
誰かの話し声がする
宅配の配達員が階段を上がっていく
それから雨の降る音に混ざって
遠くの幹線道路の車の走行音まで聞こえる
今、自分はこの地球の上にいて
集合住宅の一室にいて
この町に住んでいるのだと実感して
さて、夕飯のしたくを始めることにする
しだいに暗くなる外を感じながら
観葉植物に雨粒が光ったのを見て
それからカーテンを閉めて
灯りをつけていく
隣の家にも灯りがついて
共働きの奥さんが帰ってきたことを知る
地上には灯りが連なって
車のヘッドライトが道路を照らして
家路に向かって走り去っていった




