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Episode.14 不思議な出逢い


 「はーい、ストップストップ」


 俺はそう言いながら少女三人とチンピラ二人のもとへ近付いていく。


 すると、白髪の少女に手を伸ばしかけていたチンピラが、不機嫌そうに俺の方へ視線を向けてくる。


 「何だぁ? 部外者はスッ込んでろッ!」


 「あのな、部外者が介入しないといけない状況作ってんのお前だろーが」


 そのとき、白髪の少女の後で怯えていた二人が、潤んだ瞳を俺の方に向けてきて叫ぶ。


 「た、助けてくださいッ!」


 「お願いします!」


 俺は少し面倒臭さを抱きながらも、「安心しろ、そのつもりだから」と答えておく。


 白髪の少女は、そんな俺を横目に見ている。


 「あのさーお兄さん? スッ込んでろって聞こえなかったか──よッ!」


 片方のチンピラが俺の方へ寄ってきて、言葉の最後に右拳を飛ばしてくる。


 俺はそれを左手で払い、掴むと、チンピラの腕を背中に回し、関節技を掛ける。


 「痛てぇ……ッ!?」


 その様子を見ていたもう一人のチンピラが、少し気圧されたようにたじろぐ。


 俺は呆れて、思わずため息を溢しながら言う。


 「これはお前らのために言ってんだ。怪我したくなかったらとっとと失せろ」


 「「ち、畜生っ……!」」


 そう言ってチンピラ二人は、無様にどこかへ駆けていってしまった。


 「「あ、ありがとうございます!」」


 ホッとしたように立ち上がった二人の少女が、ペコリと頭を下げてお礼を言ってくる。俺はそれを手で制しながら首を横に振る。


 「お礼なんていいよ。ってか、姫ヶ丘のお嬢様がこんな裏路地に来ちゃダメだろ?」


 俺は三人の近くに行きながら少しお説教染みた真似をする。他校とはいえ、これでも一応俺は教師なのだ。


 「す、すみません……ただ──」


 ブレザーを着た少女が自分の後ろの地面に視線を向ける。俺もそれにつられるように視線を向けると、そこには────


 「捨て猫か?」


 タオルが敷かれた段ボールの中に、真っ黒の子猫がいた。


 すると、もう一人の少女が説明してくる。


 「はい、一週間程前にたまたま見付けまして……拾ってあげたいのは山々なんですけど、姫ヶ丘の寮はペットの持ち込みは禁止ですので……」


 「それで、ここで世話してるってワケか」


 二人の少女がコクリと頷く。


 俺はその子猫を眺めながら、確かにこんなところへ置いておくのも可愛そうだと思う。それに、この三人の少女が今後もここに通ってしまうことになるかもしれない。


 (仕方ないか……)


 俺はその子猫の入った段ボールを抱き抱える。


 「わかった、コイツは俺が連れて帰るわ」


 「ほ、本当ですかっ!?」


 二人の少女がとても嬉しそうな視線を向けてくる。そして、すぐに少し寂しそうに視線を落とす。


 「ま、コイツに会いたくなったら俺の家まで来いよ。いつでも会わせてやるから」


 「「や、やったぁ!」」


 二人の少女は目をキラキラと輝かせてお互いハイタッチしていた。


 「あ、そうだ。コイツ名前とかあんのか?」


 すると、二人の少女は若干戸惑ったような顔になる。そして、その顔を今まで黙りこくっていた白髪の少女に向ける。


 すると白髪の少女は感情の読めない顔を俺に向ける。


 「……シュレディンガー」


 「止めてあげてッ!?」


 俺はたまらず突っ込みを入れる。


 この少女は、一体何を思って猫にとってもっとも嫌であろう名前を付けてしまったのか。


 二人の少女も曖昧に笑っている。



 ───俺はこの後、三人に口頭で俺の自宅のアパートのある場所を教えた。


 そして、三人は俺にお辞儀をしてお礼を言った後、姫ヶ丘学園の寮へと帰ってく──となるはずだったのだが……


 「お前、帰らないのか?」


 なぜか少女二人を見送る俺の隣には白髪の少女が立っている。そして、その少女は無言を貫くので、俺は肩を竦める。


 「あと、たかがチンピラ相手に何するつもりだったんだ? 一瞬ただならぬ殺気を感じたぞ……」


 そう、俺が先程助けたのは実は少女達ではなく、チンピラの方だったのだ。


 この少女が一体何者なのかは預かり知らないが、歳上の柄の悪い男にも屈しない精神、常に冷静でいられる思考。そして、俺の勘ではあるが、かなり強い。


 「名前……」


 やっと口を開いたかと思えば、白髪の少女は突如俺の名前を聞いてきた。


 「有栖川 湊だ」


 「そう」


 それだけ聞くと少女は、何も言わずに先に行った二人を追うように歩き始める。


 「って、いやお前はッ!?」


 「結雅(ゆいが) (あずさ)


 白髪の少女──梓は、振り向くことなくそう答えて、帰っていった。


 『何だか、色々不思議な子だったね?』


 瑠衣がうーんと唸りながら、顎に手を当てて聞いてくる。


 「不思議過ぎるだろ……」


 俺は呆れて肩を落とした後、スーパーの袋と子猫の入った段ボールを抱えて、自宅に向かうのだった────

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