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第二話

「しまった……」

遅めの昼食を取るために、キッチンで食材をチェックしていたクリスが呟く。

「どうした??私は腹が減ったぞ?」

「お前なぁ……昨日、思った以上にお前が肉食ったせいで肉類がもうねぇんだよ!!」

「な、なに!?そ、それでは猪突豚の肉は……?」

「無い」

「で、ではマッハ雄鶏の肉は…!?」

「無い」

それを聞いたツバキは雷にでも打たれたような衝撃を受けた。

「そ、そんな…それでは私は何を食べれば…」

「米は有るが肉類、魚類が一切無い。幸い、野菜類だけはあるから…」

「…だ…」

「うん??」

「嫌だ!!!!私は肉が食べたい!!!」

そう言うとツバキは涙目になりながら手をブンブンと振り出した

「ちょっ!?ツバキさん!?」

「肉がた・べ・た・い!!!」

「だぁー!!落ち着け!!!!」


「て、訳で外に出てきた訳だが…」

目の前には広大な平原が広がっている。エルド平原と呼ばれるここには様々な生物が生息している。

肉が無く大暴れしたツバキだったがその後、魂の抜けたように肉、肉とつぶやくツバキの為、肉を手にするため(金がない為)

仕方なく、野生の生物を今日の昼飯にしようと考えたのだ。

「ツバキ、腹減ってるだろうが我慢してくれよ。肉が捕れたらすぐにうめぇもん、作ってやっから」

クリスがそういうとツバキはキラキラした瞳をし、よだれを垂らしながらコクコクと頷いた。


「いた、猪突豚だ」

少し平原を歩くと丸々と太った猪突豚がムシャムシャと草を食んでいる。

クリスはソロソロと猪突豚に近づくと、背中に括っていた槍を持ち出す。そして…

「はぁ!!!」

槍を素早く猪突豚の横腹に突き刺す。ブギッっという悲鳴を叫ぶと猪突豚はのた打ち回ってその場で事切れる。

「悪いな。でもおいしく食べてやるから許してくれ」

クリスは手を合わせてつぶやくと豚の足を掴んでから後ろでボーっとしているツバキに見せつける。

それを見たツバキは恐ろしいスピードでこちらに近づくと先ほどよりさらによだれを垂らして目を輝かせる。クリスはそれを見て苦笑いをした。


二人が城下町に戻ろうと歩いていると目の前に人影が見えた。

それを見た瞬間、二人は武器を構える。

「チッ!!!こんなタイミングでオークか!!」

その人影は6人ほどいたが、その姿は明らかに異形の者だった。

体色は薄緑で口からは鋭い二対の牙が生え、その手には骨で作られた斧、槍、剣を持っている。

このオークと呼ばれる生物は通称モンスターと呼ばれ、田畑を荒らしたり人間を襲うことから城下町の人々から恐れられている。

「ソデ、クイモン…オデラ、ソレウバウ!!!」

「オークの癖に人語を話している…?いや、それよりもこの肉を狙っているのか!!ならば許さん!!これは私達の物だ!!」

そういってツバキは自身の刀に手を当てる。

「焔術…着火!!!」

その瞬間、刀は紅くなり、湯気が立ち昇りだす。それを見たオークはたじろぎ、人間には分からない謎の言葉をオークたち同士で話し出した。

「カマワナイ!!コロセ!!」そう言って3体一気にツバキに襲い掛かるが次の瞬間にはオークたちは真っ二つになり、傷口は黒く焼け焦げていた。

「ナニ!?」

「こいつらの肉は…うむ、食えんな」

「いや、食う気だったのかよ」

「チクショー!!ミカタノカタキ!!!」

残ったオークたちは再び武器を構えツバキに襲い掛かる。ツバキはそれを軽く横に刀を振ると残ったオークたちは見事にバラバラ死体になった。

「ふん、こんな程度で私の肉を奪おうなんぞ100年早いわ」

「さっきのオーク、なんで言葉を…」

「知らん。そういう個体もいるんじゃないか??」

「いや、聞いたことないぞ、そんなの…」

「そんなことより、昼飯だ!!早くしろ、クリス!!」

「あー、はいはい、今行くから」

頭の中の疑問が晴れたわけではなかったが、すでにかなり先を進んでいたツバキに遅れるわけにもいかなかったので、豚を担ぎ、その場を後にした。


「やはり、こんな雑魚ではあの程度の強さのハンター共を殺すことはできないようだねぇ」

白衣を纏った痩せぎすの男はオークの死体をニヤニヤと見つめながら呟く

「こいつは改良の余地があるねぇ…やはり知性など持たせず…」

顎に手を当ててぶつぶつとそうつぶやいていたが、しばらくして再びニヤリと笑う。

「まぁ、成功例もあるのさ、そんなに焦る必要もないだろうさ。

あぁ、我が主様!!もうすぐ究極の生命体が完成いたしますぞ!!われらがエデンに光りがあらん事を!!」

手を挙げてそう叫ぶとその男は徐々に消えていった。

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