最重量防御ダルマ
スラーさんにサイクロプスの資料を渡し、僕のボーナスが確定した。
そして近くに居るお尻に話しかけ、パーティの仲間として迎えることに。
でも僕は、最重量級の職業を甘く見ていた。
重すぎて馬車に乗れなかったり、色々大変なのだ。
時間を掛けて装備を外し、やっと馬車は出発した。
僕達はまたあの巣穴へ向かっている。
あのなんたらサイクロプスが死んでいてくれると嬉しいんだけど、じつは生きていた、なんてことも魔物ならありえるだろう。
だからちょっと緊張して馬車を走らせたのだけど、どうやらまだ凍っているままらしい。
そう簡単に溶ける氷ではないのだろうか?
「わああああ、おっきいー。……私の体、もつかなー?」
シャイリーンさんは隙間から見えたサイクロプスの巨大さに驚いている。
初めて見るなら驚く大きさだろう。
「安心しろ、あれとは戦わない方針だ。お前は俺のそばに居てくれれば……うおおおおおおおお!?」
馬車は走ったままだというのに、外から殺意のこもったナイフが放たれた。
フデには思いっきり直撃しているけど、怪我は無いから大丈夫だろう。
馬車の中だからと油断はできないらしい。
「どどどどどどこだ、どこに居るツキコ!?」
フデはツキコさんを探しているけど、どこにも見当たらない。
そんな簡単に見つかるのなら苦労はないだろう。
もしかしたら寝ているフデの枕元とかに立ってたりして?
想像したらなんか怖くなってきた……。
「フッヒャー! これじゃあ俺っちでもどうにもなんねぇぜぃ。ある意味天敵ってやつかぁ!?」
ラックはただの剣だから動けない。
「つ、ツキコ、今のは冗談! ただの冗談だからあああああ!」
フデは馬車の外に向かって叫んでいる。
もしかしたら惚気ているだけかもしれない。
でももう巣穴の前に到着したし。
「まあその辺は帰ってからやってください」
フデはまだ恐怖し慌てているが、僕は馬車を止めて巣穴に降りる準備を始めた。
「よいしょー」
シャイリーンさんが馬車から降り、装備品を装着するのだけど、もう一つ問題があることに気付いた。
この重量だと巣穴を下りる途中でロープが千切れるんじゃないかと思ったのだ。
「やっぱり上で敵を引き寄せた方がいいですね。じゃあこの辺りで陣を張りましょうか」
僕は穴の下におりることを諦めた。
「そうですねー」
シャイリーンさんはボーっと空を見ているようだ。
フデもなんだか忙しそうだし、僕は結界を作ろうと動き始める。
もしかしたらツキコさんの数値も使えるかも知れないと、大きく巣穴を囲むように結界を作り準備を完了した。
それが終わった頃にはフデも落ち着いたようで、時々物音にビクっと反応するぐらいになっている。
「じゃあもう始めますよ、二人共準備はいいですよね?」
僕は予備の鉄棒を持ち構えた。
「も、もうちょっと待ってくれ、俺の心の準備が整わない!」
フデは戦いよりも心配なことがあるようだ。
しかし待っていても永遠に整わない気がする。
「フッヒャー! 俺っちは何時まで待っても良いんだぜぃ。十年だろうと百年だろうとなぁ。フッフゥ!」
ラックにとってはその方が良いのだろう。
「それも絶対嫌だ、俺は幸せになりたいんだ!」
ということでやる気を取り戻したフデはラックを構えている。
「んー、私はねぇ、いつでもいいよー」
シャイリーンさんはただ立っている。
まあ動く必要もないし攻撃手段も無いから仕方ない。
「シャイリーンさんは穴に近づかないでくださいね。万が一落ちてしまったら引き上げられませんから」
僕は注意をし。
「うん、近づかないよー」
シャイリーンさんは腰を曲げて頷いた。
だがその行動が悪かったのだろう。
つま先に体重がかかり、下の地面にヒビが入っている。
まさかここも巣穴の上なのか!?
地面が薄くなっていたのかもしれない。
「シャイリーンさん、そこ危ないです! もうちょっとこっちに避難してください!」
「えー、うんー」
手を掴み引っ張るも一切全然動かない。
そして。
「んあああぁぁぁぁ……?」
地面の底が抜けてしまった。
「シャイリーンさあああああああん!」
僕はパッと手を放し、巻き込まれるのだけは回避した。
「フッヒャー! 盛大に落ちたなぁ、助かんねぇんじゃないのかオイ。お別れに祈っといてやるぜぃ」
「南無……」
フデとラックはシャイリーンさんのために祈っている。
しかし穴のすぐ下は丁度坂のようになっていたらしく、シャイリーンさんが転がって行くのが見えていた。
助かっている可能性も高いだろう。
「シャイリーンさん、生きていますかあああああああ!?」
僕は声を出して呼びかけるも、向うからの返事は無い。
転がり過ぎて遠くにいってしまったのか、それとも気を失っているのか、どの道このままにはしておけない。
「……まあ、ここから降りるってことで」
シャイリーンさんを引き上げられないかもしれないが、僕は進むことを決めた。
「そうだな、みすみすいい女を死なせるわけには……今のは違うからな! 違うぞツキコ!」
フデはナイフが飛んでこないかを警戒し、その場でグルグルと回っている。
でも今回は大丈夫だったようだ。
「フヒャヒャー! 急がないと助かるものも助けらんねぇぜぇ。それとも死なせるのかぁ!?」
「行くに決まってるでしょう。今下りられる様にしてるんですよ」
急かせるラックとフデを背に、馬車からロープと鉄の杭、それと予備の鉄棒を数本持ち出す。
道具を使って穴へおりると、転がっていたシャイリーンさんを見つけた。
魔王の使いもこの辺りには居ないようだ。
「うううぅ、起きられないー」
そしてどうやらシャイリーンさんは生きているらしい。
しかし窪みに足がハマっているようで動けなくなっている。
二人がかりでも引き抜くのは無理だし、ラックを使って地面を掘り返した。
三十分がかりでやっと脱出させたのだが、わざわざ町から荷物を持って来た気がしてならない。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
コーディ・フル・フラグメント(獣使い見習い)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
シャイリーン・ブラック・ダイヤモンド(防御職の人)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




