最高硬度防御職
僕達はディザリアさんを町に送り届け、ちょっとばかりの休憩をする。
仲間を捜しにギルドに向かい、そしてディザリアさんのチームメイトの一人を見つけた。
でもその前に、重要な案件を済まさなければならない。
僕は大事にしまってあったサイクロプスの資料を取り出し。
「これたぶん新種だと思います! 特殊な条件でしか出て来ないですし!」
スラーさんに手渡した。
「あっ、ずるいぞ! 俺だって金は欲しいんだからな!」
フデも分け前が欲しいようだ。
ギルドのシステムを理解しているようだが、フデにその権限はない。
この中で働いてはいるが、ギルド職員というわけでもないし。
「ヒャッヒャッヒャ! そんな言い合ってる時間はあるのか相棒ぅ、あと六日しかないんだろう? アッヒャ―!」
「くっ、確かに時間が過ぎてしまえばマスターからお仕置きが……うぅぅ、体に震えが……」
フデは何かを考え、ギルド内をウロウロしている。
その間に話を進めるとしよう。
「ふむ、これは本当のようですね。それで当の巨人はどうなっているんですか?」
スラーさんは資料を確かめ僕に質問した。
「はい、ディザリアさんの魔法で氷漬けにされてますから、その内溶けて出て来ると思います!」
僕はあの巨人の状況を伝えた。
「なるほど聞いた通りですね。君の期待通りの結果になると思いますから、その日をお楽しみに」
これはボーナス確定だろう。
そう感じた僕は、グッと拳を握り込んだ。
「はい、ものすごく楽しみにしております!」
僕はスラーさんにキッチリ頭を下げた。
それにしても、やっぱりフデのことを見張っていたのだろう。
でもあそこには人が隠れられる場所は無かったと思うのだけど、一体何処から見張っていたのだろうか?
「じゃあ失礼します!」
「気を付けて行って来てくださいね」
スラーさんと別れた僕は、近くにある机の下のお尻を見下ろした。
ディザリアさん以外はこのお尻……いやこの人しかいないし、誘ってみるとしよう。
「あの~、シャイリーンさん? 僕達を手伝ってくれませんか?」
僕は顔が見えないから、素敵なお尻に話しかけた。
「ふええええ? なんでふかー?」
相当に甘ったるい声が聞こえた。
机から出て来たシャイリーンさんは、ギルドで働いているから見たことはある。
たしか一つ年上だった気がするけど、なんというか妹って感じだろうか。
こうしてちゃんと見るとやはり細い体をしている。
これで重量級の武装を持てるとは思えないほどだ。
そのシャイリーンさんは、机の下でお菓子をほお張っていたらしい。
「ひょっとまってくだはい」
口元にはまだステック状のお菓子が詰め込まれている。
だがその姿と漂う匂いを感じてか、近くに居た子供達が走り寄ってきた。
「お姉ちゃん、お菓子ちょうだい!」
「ぼ、僕もほしい」
ちょうだいちょうだいとねだる子供に断ることができないようだ。
「うう、わかったよう」
机の中に隠してあったお菓子をあげて肩を落としている。
「「ありがとうお姉ちゃん!」」
喜んで仕事に向かう子供達とは逆に。
「あ~ん、とられちゃったー、だから隠れてたのにー」
シャイリーンさんはお菓子を奪われてちょっと涙ぐんでいる。
随分おっとりしている人のようだ。
「シャイリーンさん、僕達と同行してほしいんですけどいいですか?」
僕はシャイリーンさんに事情を伝えた。
「ふええ? いいですけどー、おかし買ってくれると嬉しいな」
シャイリーンさんは上目づかいで僕を見てきた。
僕の周りには居なかったタイプだ。
「あ、はい、そのぐらいならフデさんが買ってくれると思います」
何となく断り辛かったから僕はそれを受け入れた。
「何で俺が!?」
フデは嫌がっている。
「だってフデさんの為に付き合ってくれるというんですよ、そのぐらいいいじゃないですか」
僕は軽く説得して。
「くっ、そう言われると……分かった、そのぐらいは出そう」
フデは納得してくれたようだ。
「ヘイヨゥ、俺っちデスラァック! よろしく頼むぜ、ハッハッハァ!」
「……うわぁ、剣がしゃべったー!」
と、そのあたりの挨拶は適当に済ませ、外へ向かう用意を済ませた。
武装を完了したシャイリーンさんは、思った以上に鉄の塊である。
むしろ鉄の方が体の体積よりも多いかもしれない。
ほんのりと目の前が開いた分厚さが僕の掌ぐらいある鉄兜とか、ぶっとく丸い全身鎧を着ていた。
更に背には盾、両手にも盾、足にも盾、頭の上にも盾を装着している。
その姿はまるでボール玉のようだ。
あの細身のどこにこんな力が秘められているんだろうか?
それよりも、出発する前に重大な試練が待っている。
「きききききき気を付けてくださいよ! ゆっくり、ゆっくりですからね!」
僕は足を振り上げるシャイリーンさんに、慌てて注意している。
「うん、だいじょーぶー」
その足が踏みしめられると、重いはずの馬車が浮き上がった。
「うわあああああ、重すぎるんですよシャイリーンさん! やっぱり装備はギリギリまで外しましょう! 壊れます、馬車が壊れちゃいますから!」
僕はシャイリーンさんを引き止めた。
力いっぱい腕を掴むも全然動かない。
いや、動いてもらっても困る。
もし僕に倒れたら全身が砕けて死んでしまう。
「もー、大変なのにー」
シャイリーンさんは足を戻し、装備を外し始めた。
「ヒャッハァ! こりゃあ重たい女だなぁ。重すぎて動かせねぇや! フヒャーッハァ!」
「いや、でもあれは俺の好み……さ、殺気!?」
フデの発言と共に、どこからか鋭いナイフが飛んで来る。
それはフデの頬を掠り、近くにあった建物にぶっ刺さっていた。
「うおおお!? こ、これはまさかツキコ……まさかツキコが見張りなのか!?」
フデは震えながら周りを見回している。
しかしツキコさんの姿はどこにも見当たらない。
関係はハッキリしないけど、たぶん恋人でいいはずだ。
「オイオイ何だよ。刺客かぁ? 暗殺かぁ? フッヒャー!」
ラックは楽し気に声をあげている。
僕もニンジャの術は知らないものが多い。
もしかしたら姿を隠すようなものもあるのかも?
僕は喉を鳴らしちょっとだけ恐怖した。
下手なことを言ったら僕まで狙われる可能性があるからだ。
気を引き締めて行動しよう。
それから三十分後、やっとのことで武具を外したシャイリーンさんが馬車に乗り込んだ。
馬車は出発し、道中で大量の菓子を買わされ、フデの財布が軽くなったのは言うまでもない。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
コーディ・フル・フラグメント(獣使い見習い)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
シャイリーン・ブラック・ダイヤモンド(防御職の人)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




