どうすればいいのおおお!?
デスラックという変な剣に選ばれてしまった僕は、何とか引き離そうと頑張るのだが、呪いのように腰に戻って来る。
台座にあった本に手掛かりがないかと見ると、魔王を倒せば解除されると書いてあった。
僕は即座にラックを持ち、魔王が住んでる家に向かって行く。
元魔王のフデに襲い掛かるが、後衛の僕の攻撃は軽く躱されてしまったらしい。
フデは片膝をついて閃光を躱し、両の掌でラックの刃を掴んだ。
ググっと力で押し戻されてパシっと剣を奪われてしまう。
「まさかギルドからの刺客なのか!?」
どうやらフデに勘違いをさせてしまったらしい。
「違います、魔王を倒さないと僕の身が危ういんです! だからちょっと倒されてください!」
数歩後ろに下がると、ラックは腰に戻って来ようとしている。
しかし、途中で空中に浮かび、グリグリと回り始めた。
「オォゥ、困ったよぅ、まさか相棒が二人になるとはなぁ。大ィ量ォ豊ォ作ッ! こんなことは初めてだがぁ、二人共主人ってことでよろしく頼むぜぃ!」
まさかフデまで選ばれてしまうとは。
何故そうなったかは分からないけど、これはチャンスだ!
「いえ、僕は遠慮しますんで、是非そちらへどうぞ!」
「ヘェイ、そうなのかぃ。だが、契約は継続中なのさぁ、フゥゥ! 簡単に離れようなんて、ノンノンノン!」
ラックは僕の腰に戻ってきたが、なぜかフデの体まで移動して来た。
「ハッ、俺は一体? ぬぁ、何時の間に隣に!?」
これは本当に不味いと、剣を抜いてフデに斬り掛かる。
「てええええい!」
「うおおおおお!? ……?」
しかし刃は空中で止まり、それ以上進まなくなってしまう。
まさか主人を傷つけないように出来ているのか?
なんて無駄な機能だ!
「ふぅ、相棒に一つ言いたいことがあるぜぃ。そいつは魔王じゃノンノンノン。もっと強くなきゃ意味ないんだぜぃ? アンダースタァン」
その話し方から何から何までムカついてくる。
しかし相手はただの物で、殴った所で僕の方が痛い。
「ああもう、早く言ってくださいよ! 無駄な時間を過ごしてしまったじゃないですか!」
とりあえず文句だけを言っておくが。
「おい待て、一体なんの話をしている。俺に分かるように説明してくれ! これは一体なんだ、おい、聞け!」
理解してないフデは、混乱している。
どうせ巻き込まれているから言ってやった方がいいだろう。
「つまりですね、僕達はこの武器に呪われてしまったんですよ。魔王を倒せば解除されるって聞いたから来たのに。まったく、倒されてくれればいいじゃないですか」
だから簡潔にこの事態を説明した。
「そんなんで倒されてたまるか! というか、どうすればいいんだこれ!?」
フデは家の中に入ろうとしたが、即座に僕の横へと引き戻された。
魔王の力でも振り切れないらしい。
「このままフデと寝食を共にしてトイレまで覗かれてしまいます。そんなの絶対ごめんですよ!」
僕は拳を握って力いっぱい否定した。
「それは俺のセリフだわ! 例えライバルとはいえ、そこまでする気はない!」
やはりフデも嫌がっている。
「もう俺っちの相棒として生きて行きなよぅ! 楽しくやろうぜぇ! ヘェイ!」
ラックは踊るように声を出している。
もちろん剣だから踊ったりはしないが。
『やだあああ!』
当然そんな声に耳を貸す僕達ではない。
「そうだ、いっそ壊してしまうのはどうだ!?」
フデから提案がくるが。
「なるほど、確かに壊れてしまえば効果がなくなるかもしれません。……じゃあ弁償はそちら持ちということで」
この剣はギルドの所有物である。
壊してしまえば弁償させられてしまうのだ。
そんなことをする勇気はない。
「はぁ、そこは折半だろうが! 俺だけに押し付けるな!」
フデは大きくジャンプし、僕から、というか剣から距離をとろうとしている。
しかしまた引き戻された。
「オォウ、喧嘩するなよぅ、なぁか良く行こうぜええええ! まっ、壊せないんだけどなぁ。無駄な努力、頑張ってチィィス!」
『お前のせいだろう!』
僕とフデはラックの言葉に怒り、剣の隅々を叩き始める。
鉄棒を使って打ち付けたり、フデは魔法を使ったり、てこを使って曲げようとしているのだが。
「一つとして傷もつかないって、どんだけ頑丈なんですか」
変な喋り方さえなければもう少しマシでだろうに、何故こんな意思があるのか。
「くぅ、俺の力も効かないだと、一体何なんだこの剣は」
「えっと、たぶん伝説級の武器なんじゃないですかね。昔の本に魔王を倒したような記述がありましたんで」
確か魔王を倒せば解除すると書いてあったから、そういう事もあったのだろう。
「オォウ、その通りぃ! 大昔の魔王を倒したのは、この俺っちよぅ。アンダースタァンン? 尊敬プリーズ!」
ラックからは、鼻を高くしたような声が聞こえる。
「こ、こうなったら……」
僕は一つの手段を思いついた。
「何か手が有るのかライバルよ?」
「あの本を読み返すしかありませんね!」
台座に置いて来た本をまだ読み終えていないのだ。
あの中にヒントが隠されているかもしれない。
「おお、何だか良く分からんけど、期待しているぞ!」
「ハッハァ! 二人共頑張ってプリーズ!」
僕はギルドに走り、フデもそれについて来ている。
あの部屋に入って本を見ようとするのだけれど、ファラさんとミアさんは居なくなり、台座の前にはスラーさんが待ち構えていた。
なんとなく怖い顔をしている気がする。
僕とフデはそれを見て。
『すいませんでした!』
とりあえず頭をさげて謝っておいた。
「……勝手に持ち逃げしたと聞いた時にはどうしようかと思いましたが、変な気は起こさなかったようですね? では剣を渡して貰いましょうか?」
とりあえず、スラーさんに逆らってはいけないと、僕は腰の剣を取り外す。
『了解しました!』
僕とフデは両手で剣を持ち、献上するように手渡した。
「ふむ、随分と形が違うように見えますが、まさか取り換えたわけではありませんよね? そんな不正が許されると思っているなら……」
スラーさんの目がキランと光る。
「いえいえいえいえいえいえいえいえ!」
僕はブンブンと首を振り回す。
「違います違います違います違います!」
フデは全力で手を振って否定している。
『全部こいつが悪いんです!』
僕とフデはラックを指さした。
「オォウ、人のせいにされちゃあ困っちゃうねぇ。俺っちはなーんにもしてないよぅ。自分じゃ動けないからねぇ、ハッハァ!」
剣が喋るのを見て、スラーさんは驚いている。
「……どうやら、ラビス君が言ってたことは本当のようですね」
やっぱりファラさんから事情を聞いていたようだ。
スラーさんはラックを手に持ち。
「さてと……てぇい!」
遠くの壁に投げつけた。
当然戻って来るのだけど。
「ハッハッハ、これは面白いですねぇ。ですが、これでは飾ることもできなくなってしまいました。どうしたものですか……いっそ二人が買い取ってくれれば話が早いのですけれど?」
「僕は無理ですから是非あちらに!」
回避するようにフデを指さした。
「俺だって払えんわ! ライバルは俺を何だと思っているんだ全くもう」
フデは頬を膨らませて怒っているが、一向に可愛くならない。
「オォウ、ビィンボォォ!」
『うるさいな!』
僕とフデは同時にラックの言葉にツッコんだ。
「それはギルドの物なので当然返してもらわなければなりませんが、離れられないというのならいっそ二人共ケースに入って貰って……」
それは僕達に死ねと言ってるのだろうか?
今は冗談だと思うけど、本当にそんな気になる前に契約を解除しなければ。
「方法ならその本に載ってると思います! それを試せばきっと……いえ、必ず解除できるはずです!」
「分かりました。ライズ・ライト君の自信に免じて、一週間以内ということにしましょう。是非それ以内に解除しといてくださいね。給料が渡せなくなってしまいますから。ハハハ」
不味い。
解除しなければ確実にやられる。
解決するまで給料くれないって言ってるようなものだ。
ああ、僕の幸せが遠のいてゆく……。
「フッ、残念だったなライバルよ。この俺の弁当を分けてやっても……」
フデは僕を見てニヤニヤと笑っているが。
「君は部屋を壊したので一週間の断食です」
スラーさんは当然フデにも罰を与えてしまった。
「ぎゃあああああああああああ! 俺のせいじゃないのにいいいいい!」
先ほどの事だというのに、やっぱりフデには見張りが付けられていたようだ。
後々僕にも何かされるかもしれない。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
コーディ・フル・フラグメント(獣使い見習い)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




