表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/433

魔王様、料理する

 跳び起きた僕は、布団の中に入っていたフデから距離をとった。

 異常がないことにホッとするが、鉄棒を持って警戒する。

 やっぱりツキコさんから逃げて来たらしい。

 だから僕は窓をあけて思いっきり叫んだ。

 その声にツキコさんは現れて、フデを連れて行ってしまった。

 僕は仕事に出掛け、何事もない日々が三日ほど続くのだが、その日仲睦まじい二人の姿が現れた。

 仕事だからとツキコさんが離れると、フデは僕に泣きついて来る。

 どうでもいい悩みを聞かされ、なぜかファラさんがやる気を出してしまった。

 とりあえず仕事をチャチャッと終わらせた僕達は、喫茶店に集まって作戦会議をしている。


「そんなの簡単よ、ツキコさんに尻以外の魅力を教えれば良いのよ」


 まあ確かにファラさんの言わんとしていることは分かる。


「ヨよー!」


 そしてミアさんはマネをしているだけだろう。

 今の所フデはお気に入りの道具ぐらいにしか思われていないし、ちゃんとした男として見られればチャンスはあるかもしれない。

 まあ見られればの話だけど。


「なるほど、俺の格好良さをみせればいいのだな? 能力を封じられているとはいえ、戦闘は得意分野だ。分かった。ツキコに俺の格好良さを見せつけてやろう!」


 フデは何かを思いついたようだ。

 でもツキコさんは強いから、並の相手が出てきたとしても自分で倒すだろう。

 それに例え強敵が出て来たとしても……。


「いや無理ですよそれ。戦闘中に仲間の格好良さなんて見ませんし、ツキコさんは敵にしか目がいきませんから」


 僕は無駄な作戦だと指摘した。


「じゃあどうすればいいのだああああ!? 早くしないとツキコが帰って来るじゃないかあああああ!」


 フデは頭を抱えて絶叫している。


「言っとくけど、格好の良さなんて見せても無駄よ。前の相手がデッドロックさんだったし。それ以外の所で戦うしかないわ」


「なるほど、確かに。フデが相手になるはずがないですね」


 僕はファラさんの言うことに納得した。


「待てええええい! デッドロックっていうのはツキコの相棒のことだろう? だったら俺の方がカッコいいじゃないか!」


 フデは反論してくるのだが。


「「ないない」」


「ナイなー!」


 僕達三人は軽く否定した。

 どう頑張ったとしても、スラっと背が高くてお洒落なデッドロックさんには敵わないのだ。


「ああああ、俺の自信が崩れ落ちるうううううううう!」


 フデはガックリと崩れ落ちたが、ファラさんから助けの手が伸びる。


「別に気にする必要はないわ。顔がダメなら別の攻め方をしてみればいいだけよ。例えば……そうね……料理とかはどうかしら? 胃袋を倒せば勝てるって聞くし」


「胃袋は倒すんじゃなくて掴むじゃ……?」


 僕はちょっとしたことを指摘したのだけど。


「どうでも良いからやりなさい!」


「あ、はい……」


 ファラさんに睨み付けられ、フデは素直に返事をした。

 ツキコさんと同じ臭いを感じたのかもしれない。

 僕達はツキコさんの部屋にまでお邪魔して、フデが料理を作り始めている。

 手際よく作っているように見えるが、何か香ばしいを越えて焦げ臭い香りがして来る。

 鍋から黒い煙が出てきているけど、これは気のせいじゃないだろう。


「ちょっと、大丈夫ですか!?」


「大丈夫だ、もう完成している! さあ、皆の分も作ってあるから存分に食らえ!」


 完成した物体は……たぶんシチューかなにかだろう。

 しかしこれは味見をするまでもない。

 肉や野菜は炭化して、水分が全く無くなっている。

 スプーンを強引にねじ入れると、皿がゴトッと持ち上がった。


「ゴリゴリー、マズイぞ!」


 ミアさんはスプーンで採掘するように掘り返し、じゃりじゃり固まった物体を口に入れている。

 それでも飲み込むのは流石だと思う。

 お腹が空いていたのだろうか?


「よく食べられますねミアさん」


「マズイはクエる! シビシビはクエナい!」


 シビシビ?

 痺れる物がダメってことだろうか?

 それは良いとして、野暮らしをしていたフデに料理は難しいようだ。

 今も弁当を貰っているから、料理をする機会もないだろうし。


「……無理ね、諦めましょう。じゃあ、頑張って」


 ファラさんはそう言って僕の肩に手を置いた。


「ええ!?」


 何故か僕が作る羽目になったらしい。

 一人暮らしの長い僕は料理ぐらい作れるのだけど。


「……あの、それ意味無いんじゃ?」


 僕は疑問を口に出した。


「別に何時も作る訳じゃないでしょう? この男には次作る時までに料理を覚えさせればいいのよ」


「フデさんもそれでいいんですか?」


 ファラさんの言う言葉に僕はフデに聞いてみたのだけど。


「俺はツキコが優しくなってくれるならなんでもいい!」


「あ~、そうですか」


 何にも気にしていないようだ。

 仕方ないから僕は料理を作り始め、真面な料理を完成させた。

 といっても肉と野菜をいためたものや、色どりを変えたサラダぐらいだ。

 作り置きのパンも添えて二人分を完成した。

 自慢の、というほどでもないけど、フデの物と比べればそこそこ食べられるものだろう。


「ふん、まあまあね。私はもう少し味が濃い方が好みだわ」


 ファラさんはフォークで肉を突き刺し、口に運んでいく。


「ヨメ、ウマイぞ!」


 続きミアさんが二口三口と食べ始め。


「たしかに、これは美味いな。ハシが止まらん!」


 フデも味見とばかりに口に入れるが、全員の手が止まらない。


「って、全部食べようとしないでください! 折角作ったのにもう無いじゃないですか!」


 皿には小指の先ぐらいの物体しか残されていない。

 これはもう一回作り直さなければ。


「何してるの、ツキコさんが帰って来るじゃない。早く作り直しなさい」


「ヨメ、ワタシモットクう!」


「安心しろ、俺が残さず食べてやる!」


 三人共何しに来たのか忘れてるのだろうか?


「ツキコさんの為に作るんでしょう。もう食べちゃダメですからね!」


 僕は三人を説得しようと言葉を投げかけたのだけど。


「「「えー!」」」


 ファラさんとミアさんは兎も角、フデまでも不服らしい。


「……じゃあ分かりました。今回は食事を楽しんで解散しましょう。フデさん、末永くお幸せに」


 本人がどうでもいいというのなら僕が頑張る必要はない。

 言い合いを諦めて適当に料理を作ることにした。


「ハッ!? 久しぶりの栄養に理性が吹き飛んでいた。そうだ、ツキコの為に作っているんだった」


 フデもやっと思い出したらしい。


「材料も少ないですし、フデさんは二人の防衛をお願いします。食べられたらお終いですからね」


「ああ、任せておけ。元魔王の力を見せてやろう!」


 フデはファラさんとミアさんに向き直り、ナイフとフォークを構える。


「私はもう満足したからいいんだけど。やると言うなら叩きのめしてやるわ」


「ワタシ、ハラヘリ!」


 二人共同じ様にナイフとフォークを構え、作られている料理を待ちわびている。

 そして。


「ふう、出来ました」


 僕がテーブルに料理を置くと。


「ニャアアアア!」


「その肉は私が頂くわ!」


「させるかあああああああ!」


 三人の争いが始まり、食器での打ち合いが続く。

 しかし決着がつく前に。


「……ただいま……? 私の家で何してるの?」


 部屋の主人が帰宅したのだった。

 クー・ライズ・ライト (僕)

 グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)

 リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)

 ミア・ミスト・レイン(元賞金首)

 アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)

 グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)

 コーディ・フル・フラグメント(獣使い見習い)

 ランズ・ライズ・ライト (父)

 ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)

 フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)

 スラー・ミスト・レイン(僕の上司)

 ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)

 ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)

 デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)

 ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)

 リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)

 ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)

 デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)

 フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ