魔王様、尻に敷かれる
オークの王である黒豚との対決が始まる。
強烈なナタの攻撃を、僕はフデを盾として扱い受け止めた。
フデは嫌がっているが、使いかってとしては良い物だ。
その間にも仲間が攻撃を続け、黒豚を退治する。
勝利した僕達は、コボルトの祭りにおよばれしたのだけど、先ほど倒したオークが、料理として並べられていた。
もしかしてオークの方が被害者だったり?
そんな思いを頭に過ぎらせ、町へと帰って行くのだった。
スラーさんに黒豚の資料が却下され、僕はガックリ項垂れた。
あわよくばボーナスだと思っていたが、どうもダメだったようだ。
「……え~っとぉ、オーク退治でその黒豚が出て来たんですけど、ダメじゃないですよね?」
それでももう一度聞いてみたが。
「いえ、ダメですよ。姿を写していない物を信用はできませんね。死体でもいいから一度撮りに戻ったらどうですか?」
一応写真さえあればチャンスはありそうなのだが、たぶんガジガジ食われて原型も残っていないはずだ。
「……それじゃあ獣使いの報告ですけど、戦い方としてはありなんじゃないですかね? 魔物と意思疎通できるから連携は相当良さそうですし、一人でもそれなりに活躍できるでしょう。でも逆に魔物の頼みを聞かされて使われてたら意味ないですけどー」
僕は更にやる気をなくして報告した。
でも隣に居るコーディ君が、少し落ち込んでいるようだ。
ちょっと言い方が不味かったかもしれない。
「コーディ君、それはこちらの調整不足なので気にする必要はありませんよ。これはテストなので、問題が出てくれる方がいいのです」
スラーさんはフォローを入れて慰めている。
笑いかけているその顔に、コーディ君は元気を取り戻した。
「う、うん」
頷いた頭をツキコさんに撫でられている。
「マスター、俺も立派に活躍しました! ギルドの役に立っていますよ!」
フデは自分の活躍をアピールしまくりだ。
「でも途中で尻が痛いって動かなくなりましたよねー? 置物になっていましたよね?」
だから僕はツッコミを入れた。
「ライバルよおおおおお、何故それを言うんだあああ!?」
「いや、ちょっとした気晴らしです。でもまあ物理的な道具として使えたので、一応活躍はしていますよスラーさん」
僕は先ほどのスラーさんのマネをしてみた。
まあ落としたのも僕なんだけど。
「クッ、即座にフォローを入れるとは、やるじゃないかライバルよ! そんなことで、好きになったりしないんだからね!?」
フデは顔を赤らめる仕草だけをしている。
もちろん冗談のはずだ。
「やめてください、背中がぞくぞくしました!」
例え僕が男を好きになってもフデだけはあり得ない。
「ハッハッハ、まあ大体のことは分かりました。これを元に調整して、獣使いを使えるものにしていきますよ。では今日はあがってもらっても……」
スラーさんは、業務の終わりを告げたが。
「スラーさん、ちょっとした頼み事があるの。ちょっと聞いてくれない?」
ツキコさんがスラーさんの机を叩いた。
「ん? なんでしょうかツキコさん?」
スラーさんが聞き返すと。
「私、この男が気に入ったわ。これくれないかしら?」
ツキコさんが指をさしたのはフデである。
「「えぇ!?」」
僕とフデは思いっきりおどろいた。
「この男の頑丈さに惚れたわ。斬りつけても死なないし、突き合いたいと思っているの。いえ、一方的に突きたいと思っているの。いいでしょ?」
ツキコさんはデッドロックさんの代わりを見つけたようだ。
怒りをぶつけられる道具として好きだというのだろう。
それでいいなら応援しよう。
「……まあ特に人の恋愛に口を出すつもりはありませんから、いいんじゃないでしょうか。ただ、それは一応魔王なので、妙な計画に手を貸すことがあれば……」
スラーさんはツキコさんに釘を刺す。
「変なことをしようとしたら、私が斬殺するから大丈夫」
ツキコさんは、ためらいもなくヤルだろう。
「ハッハッハ、よい家庭を作ってくださいね」
スラーさんはそれを認めて笑っている。
「マ、マスター! 俺の意思は!?」
「君に自由意志があるとでも? いいじゃないですか、ツキコさんは美人ですよ?」
「……よろしく、ジョージ……」
そんなツキコさんは、妙な笑顔でカタナをチャキっとさせた。
「いやあああああああああああ!」
泣き叫ぶフデだが、もう逃げ場はなく、受け入れるしかなかったらしい。
「……じゃあ早速行きましょう。デートの時間よ」
「た、助けてえええええええ!」
フデはツキコさんに腕を掴まれ、ギルドの外へ連れて行かれた。
災難かもしれないが、これでツキコさんの気持ちが落ち着くのなら有りだろう。
大人しく犠牲になってください。
「お幸せに~、じゃあ僕も帰りますね、お疲れさまでしたー」
僕は気にせず帰ることに決めた。
「ああライズ・ライト君、ついでにコーディ君を送って行ってください」
「あ、はい、じゃあ行きましょうかコーディ君」
「う、うん」
ということで、僕はコーディ君を送り届け、自宅へと帰って行った。
今日は疲れたなぁとか思いつつ、ベッドで目を閉じたのだけど。
「ぎゃああああ、助けてえええええ!」
「フフフ……大丈夫、ちょっと斬るだけだから。ちょっと突くだけだから。さあ、私色に染めてあげる!」
「いやああああああああ!」
町中が騒がし過ぎて眠れなかった。
二人に声をかけるか悩んだが、変に巻き込まれるのはもっと嫌だ。
放置を決めて頑張って目を閉じた。
何時の間にか眠っていて朝が来たのだけど、不思議な感覚に目が覚めた。
「ぎやあああああああああああ!」
僕の布団の中で大きな何かがうごめいている。
そのあまりのことに、大声をあげてしまったのだ。
「いぎゃああああああああああ!」
中に入っていた何者かの悲鳴も聞こえて来る。
でもこの声はもしかして……。
僕は布団をめくり上げると、中にはフデが子犬のように丸まっていた。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
コーディ・フル・フラグメント(獣使い見習い)
クロ (コーディの使い魔)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)
(注)ツキコさんの 突き合いたいと言った言葉は、付き合いたいとは違います。




