魔王様捕縛中
混乱し魔王モードを発動させたフデに、まず結界を作ろうと移動する。
そんな中、村人達の参戦により状況は混沌を増して行く。
意外と強い村人達は、フデと拮抗した戦いを続けていくが、時間が経つ度に一人また一人と打倒されてしまう。
急がないとと、走って結界を作り、僕は魔法を発動させる。
そして極限まで強化した肉体で、魔王フデを打ち倒したのだった。
僕達はフデを縛りあげ、村長の前に転がしている。
その周りには村の男衆が囲んで、何かしないかと目を光らせていた。
「村長さん、これが全部の元凶です」
僕はフデを指さした。
「そうね、こいつが元凶よ」
「ダなー!」
ファラさんとミアさんも同意してくれている。
まあミアさんに限っては分かっていないかもしれないが。
「ちょっと待てぇ! 全部じゃない、全部じゃないんです! 俺がやったのは村をちょっとだけ壊しただけで、あとは何にも知りません!」
あれだけやったというのに、フデはもう元気を取り戻している。
それに戦っていた記憶も残っているようだ。
その体力でもっと役に立つことをすればいいのに。
「ちょっとだけとは、これでですかな? まさかこの村の地下に自分を崇めさせる教団を作っているとは……」
村長さんの目元がピクっと動く。
この家も天井や壁に穴が開き、だいぶ風通しが良くなっている。
もちろんその状況に怒っていないはずがない。
当然ディザリアさんにも原因はあるのだけど、面倒だから全部引き受けてくれても良いと思う。
ちなみにグリアさんはまだ上に来ていない。
別の通路を捜しているのだろう。
まあそれはいいとして。
「この人がやりました!」
「ヤッタヤッた―!」
だから僕は、もう一度フデを指さし、ミアさんもそれに続いた。
「やってないよ!? 全部じゃないよ!? 教団も作って無いからね!」
フデは真実を言っているが、怒り狂った村の人達には聞いてはもらえないだろう。
誰かが壊れそうな壁をドンと叩き。
「ふざけんなああああ! 俺の家を弁償しろおおおおおお!」
たぶん魔王と戦っていたであろう武装した村人の一人が叫んでいる。
「そうだそうだ!」
他の村人達も弁償しろと騒ぎ立てているが、フデにそんな財力はない。
もちろん僕達にも無理である。
「皆さん、この魔王が元凶なのは間違いありません。しかしギルドとして捕まえなければならないんです。だから請求はあの人達にお願いします! もしくは修理してもらってください!」
僕は家の穴から見える、積み上げられた黒い人達を指さした。
あんな訳の分からない教団に入っていたんだし、キッチリ責任を取って貰おう。
人数も二千数百人も居るし、直ぐに家も直せるはずだ。
「まあ直してくれるのなら誰でもいいけどよぉ」
「俺は魔王なんざと関わり合いになりたくはない。恨まれて変な呪いでもかけられたら嫌だしな」
「分かった、もういいからそいつは連れて行け。ギルドで物凄い罰を与えてくれよな」
僕の心のこもった必死の願いで、村の人達は許してくれるようだ。
グリアさんが来るのを待ち、心変わりしない内にと、僕達はフデを連れて村を去って行く。
「ほら、キリキリ働きなさい」
そのまま帰れればよかったのだけど、横転していた馬車はそのままである。
ファラさんが罪人三人を使い、元の状態に戻そうとしていた。
「ファラ、お父さんもう少し優しくしてほしいんだ」
「うぅ、人使いの荒い女だ。俺は元魔王なんだぞ」
「む~! むむむ~!」
ディザリアさんの口はふさがれたままである。
それでも馬車は苦も無く元の状態に戻り、外されていた馬をつないで準備を整えた。
たぶんフデの力が大きかったのだろう。
馬車が戻ったのはいいが、これでは罰にもならない。
やっぱりギルドにコッテリしぼってもらうとしよう。
僕達は二度と転倒させないようにとグリアさんも縛りあげ、馬車に揺られながらローザリアに。
手早く戻った僕らは、グリアさんを馬車の中に放置したまま、罪人三人をスラーさんの前につき出した。
「「この人達がやりました」」
「ヤッタぞ!」
どうせ報告が来ていると思い、僕達はありのままを伝えたのだが。
「いや俺じゃない! やったのはこいつです!」
フデはディザリアさんを指さし。
「スラー、私は敵を倒しただけですわ! 元々の元凶はこの男よ!」
ディザリアさんはフェイさんを指さす。
「ち、違うぞ! 私はファラを護ろうとしただけで、魔王様から力を貰っただけだ! 魔王様は悪い男はぶっ倒してやれって言ってたんだ!」
フェイさんはフデを指さす。
「違う違う違う違う! 俺はすっごく酷い男に娘を奪われたって言ったから力を貸してやっただけで、あんな教団作れって言ってないし! お前を部下にしたつもりもない! 俺はただ捕まってただけだったのに、こいつが騒ぎを大きくしまくった原因だ!」
そしてまたフデはディザリアさんを指さした。
ワーワーギャーギャーと醜い言い合いは続いて行くが。
「三人の言い分を聞くに、全員アウトってことでしょうねぇ。まあ安心してください、誰が元凶でもいいように三人共に罰を与えてあげますから」
スラーさんはそう断言し、三人を黙らせた。
何時の間にか屈強な男達が回りを囲み。
「「「助けてえええええええええええええ!」」」
三人は連行されていく。
「スラーさん、あの三人はどうなってしまうんでしょうか?」
気になった僕は、ちょっと聞いてみる。
「ふむ、魔王君に関しては厳重封印して監視をつけることになるでしょう。前に提案した食事や住処なども急激にランクが下げられるはずです。そしてまたおかしな動きをするようであれば……」
スラーさんは首をかき切る仕草をしている。
反撃される前に暗殺でもする気だろう。
「続けてファラ君の父親ですが、魔王本人が部下じゃないと言っているなら、ただの犯罪者として扱われるでしょうね。幸い誰も死人が出ていませんし、行動理念も娘の彼氏を叩きのめすというだけですからね。まあ何年かの強制労働が言い渡されるぐらいでしょう」
本当にそうであるなら、かなり減刑されるようだ。
実質の被害者は冒険者やギルドぐらいだし、ファラさんの戦力が無くなるのを危惧したのだろう。
もし処刑なんてしたら、ファラさんが後々どう動くかも分からないからなぁ。
「で、問題のディザリア君は何時も通り魔法を使ってしまったのですね。彼女の力はギルドとしても手放したくはない戦力なんですよねぇ。まあ相手が魔王教というおかしな連中ですし、村への被害は吹き飛ばされた人達が弁償するのでしょう? じゃあもうギルドの周りでも延々と草むしりでもさせてやりましょうか?」
ディザリアさんには意外と甘々である。
まあ自分を捕まえていた敵を吹き飛ばしたのだし、村に被害が出たのは偶然といえばそうだけど。
「僕もそれが良いと思います。戦闘に出すとまたやらかしそうですし」
同行されてまたやらかすよりはと僕はそれに賛成した。
「ついでだからギルドの中も掃除させたら?」
ファラさんは更なる罰を請求し。
「いいですね。採用しましょう」
スラーさんはそれを採用してしまった。
「じゃあ僕達は仕事に戻りますね」
ギルドの対応も聞けたし、僕はここから立ち去ろうとするが。
「ライズ・ライト君、まだ話は終わっていませんよ? 君が壊した馬車のことですが、当然弁償してくれるのでしょうね?」
スラーさんの目が光る。
「違うんです、僕がやったわけじゃないんです! グリアさんが暴れるから起こった事故で僕のせいじゃないんです! 違うんです! 違うんですよ!」
僕は必死で言い訳を続けるが。
「つまり二人に原因があるんですね?」
スラーさんはファラさんに聞き。
「はい、そうです。クーがやりました」
「ヨメ、ヤッタなー!」
ファラさんとミアさんは僕を助けてはくれないようだ。
「じゃあ二人に罰を与えなければなりませんね。クリステル君は今月の給料はく奪。君は私に借金を返してから一ヶ月のタダ働きを命じます」
先ほどと同じように、スラーさんは僕とグリアさんを対象に罰を言い渡した。
「いやああああああああああああああああ!」
どうやらまだまだ受難が続くようだ。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




