魔王様絶賛落下中
黒服の奴等を倒すが、変装することを拒否するファラさんとグリアさん。
結局そのまま道を進んで行く。
僕達は地下にある大きな広場に出ると、下の方で大勢の人達が集会している。
そこには捕まった魔王と、何故か捕まってしまっているディザリアさんが居た。
自分のことを大司教ファラちゃん大好きスキスキフェイさんとか名乗るファラさんの父親が、変な歌を歌っている。
人数差があり過ぎるからと、僕は二人を助けることを優先した。
グリアさんが心配ではあるが、僕はゆっくりフデに近づいて行く。
気付かれませんようにと心で願い、魔王像の腕の部分にを進んでいる。
像の腕の幅は、僕が大きく腕を広げて同等ぐらいだ。
先に進むほどに細くなるし、途中でポッキリ折れないか心配である。
「我が君、帰ったら風呂にでも入るといい。ちょっと臭うぞ」
グリアさんは僕の後ろからついて来ている。
「グリアさん、何処の臭いを嗅いでるんですか! お尻を嗅がないでください!」
グリアさんは僕の尻に顔を近づけている。
今の状況を考えてくれと言いたい。
「大丈夫だ我が君、私は一向にかまわない!」
グリアさんは言う事を聞いてくれないから。
「僕がかまうんですからね!」
僕はなるべく急いで前に進んで行くが、グリアさんも同じスピードで追って来ていた。
やっぱり先に行かせれば……いや、それはそれで問題がある気がする。
「ハァハァハァ……」
僕はグリアさんの猛攻をくぐり抜け、無事に掌の部分にまで到着した。
しかし、僕が両足を乗せた瞬間、ビキィっと不安な音が響いてしまう。
考えたくは無かったが、この像の手首の辺りに、小さな亀裂が入っていた。
「お、おい、お前俺の部屋に来た奴だろ? 早く俺を助けてくれ」
フデは僕達に気付いたようだ。
しかし今はかまっている場合ではない。
「グリアさん落ち着いて、そこからゆっくり引き返してください。フデは諦めましょう」
僕はそう言ってグリアさんを宥めるのだけど。
「我が君、そんなウソを言っても私にはお見通しだぞ。さあ、ここは二人っきりだぞ。我が君いいいいいいいいいい!」
「諦めないでえええええええ!」
グリアさんは僕に抱き付こうと、声を張りあげて大きくジャンプし、フデは叫んだ。
ちなみに、グリアさんは重量武器の大剣を背負ったままだ。
ひび割れた像の手首にそんな重量物が乗ってしまったら。
そう考えた僕は、グリアさんの下から腕の方へと滑り抜けた。
そしてダァンっと着地したグリアさんの体重で、手首にあったヒビが途方もない勢いで増えて行く。
「ん、何だ? お、おい、像が割れているぞ!」
「た、大変だ。あのままでは魔王様が落ちてしまわれる!」
その音は先ほどよりも大きく響き、下に居た人達に気付かれたらしい。
「お、おい、なんか下がって来て居る気がするんだけど!? 聞いてるよな、おい!?」
フデが慌てているけど、もう遅いのだ。
グリアさんを乗せたまま、ガラガラと手首から先が落ちて行く。
「我が君いいいいいいいいいいい!」
叫ぶグリアさんと。
「いやああああああああああ!」
縛られたまま落ちて行くフデ。
「グリアさんごめんなさい。出来れば成仏してください。ついでにフデも」
僕は手を合わせて二人の成仏を祈った。
でも二人共頑丈だし、このぐらいじゃ生き延びてしまうだろう。
二人を巻き込んだまま落下して行く手の部分が、ドッゴオオオオオっと盛大に地面に落ちた。
「ぐぅぅ、何事!?」
その音に、娘の名前を叫び続けていたフェイさん達も、流石に気が付いたらしい。
ついでに言うと、やっぱり二人共無事みたいだ。
目を回す程度で怪我もしていないフデや、落ちた手首の上でシュタっと着地したグリアさん。
まあ例え無事であっても、何千人の前に放り出されたら無事で居られる保証はないが。
「き、貴様は一体何者……ハッ!?」
フェイさんは像の上を見上げてしまった。
そして、一応心配して下を見ていた僕と、バッチリ目が合ってしまう。
「「…………」」
僕はまだ大丈夫だと思いながら、ゆっくりと腕の部分から後退して行く。
気のせいだったと思ってくれればいいのだけれど。
「クー・ライズ・ライトオオオオオオオオオオオ!」
やっぱりフェイさんに気付かれていたようだ。
そう上手くはいかなかった。
「侵入者だ、ひっ捕らえろ!」
フェイさんはそう指示を出したのだが。
「え、でも娘の馬鹿彼氏じゃないし」
「大司教、やっぱり逃がしてあげましょうよ、この人は娘の恋人じゃないんですから。魔王様以外は要らないでしょう?」
こんな感じである。
「何を言っておるか! この娘は兎も角、あの男は娘の彼氏なのだぞ!」
フェイさんが説得しようとしているが。
『うちの娘の彼氏じゃありませんから』
何千人と人数が居ても、ただの良い人達のようだ。
それと、僕はファラさんの彼氏になった覚えはありません。
「ぬおおおおおお、役に立たん奴等め! だったらこの私の手で葬ってやろう! だあああああ!」
全く無事のグリアさんを無視して、フェイさんが空中に浮き上がって来ていた。
しかし、僕はもう逃げ始めていた。
通路の角に鉄棒の一本をぶっ刺し、ファラさんが居る場所へ戻っている。
背を向けて逃げるよりも安全だと考えたからだ。
「クー・ライズ・ライトオオオオ、私に向かって来るとは良い度胸だ! そんなにファラと結ばれたいのかああああああ!」
フェイさんは、相変わらず僕とファラさんがつき合っていると思い込んでいる。
「全然違いますからね! 僕とファラさんはああああ!?」
「全世界の父親の怒りだああああああああ」
僕の反論なんて聞かず、フェイさんは真っ直ぐ殴りかかって来た。
怒りのオーラで拳が巨大に見える。
しかし体術までは強化されていないようで、僕はヒョイっと躱して背後に回り込んだ。
そのまま脇に手を入れて拘束したのだけど。
「は、はなせええええき、貴様、やはり私の尻までも!? させるかああああああああ!」
フェイさんは、まだ僕が尻を狙っていると思っているらしい。
「誰がそんなことをすると言いましたか!?」
だが僕は、断じてそんなものに興味はない。
このままファラさん達が来るのを待っていようかと思ったけれど、どうもそうはいかないらしい。
「うおおおおおおおお、黒雲よ嘶け、クラウド・ザ・ストライク!」
フェイさんが魔法を使ってしまった。
洞窟の上の方に雲みたいなものが現れて……って見ている場合じゃない、効果が無いからって自分ごと食らう気だ。
僕が危険を感じてフェイさんから飛び退くと、ドーンと雷が落ちて来る。
それはフェイさんに直撃するが。
「クフゥ……私を捕まえようなんて無駄なことだ。諦めて成敗されるがいい、クー・ライズ・ライトオオオオオオオオオ!」
黒い衣装が弾け跳び、中から何時もの鎧が現れた。
その体が空中に浮かびあがる。
そして、やっぱり何時も通りに僕に襲い掛かって来た。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




