魔王様困る
スラーさんから指令を受け、僕はミアさんを連れて魔王フデの戦力値を測ることに。
町の外に出て早速始めると、魔王の能力が判明する。
やはり魔王と名乗るだけあって相当の能力を持つようだ。
全てを調べ終えた僕は、ギルドへ戻って行った。
「スラーさん、魔王の資料をどうぞ」
僕はギルドに戻り、魔王の資料を提出していた。
「……ライズ・ライト君、このフデというのは?」
スラーさんは書かれている名前を見て不思議がっている。
確かに意味を知らなければ分からない名前かもしれない。
「これは名前の最後についていた、フンババルンバ・デンデンムシの頭文字をつなげたものです」
僕は適当に名前を言って答えた。
「ふむ、確かに。ではそうすることにしましょうか。元のままでは長すぎますからね」
でもスラーさんは、本来の名前を憶えていないのか、その言葉に納得してしまう。
「しかし略称だけでは不十分でしょう。本来の名前も私が書いておきましょう」
スラーさんはペンを取り出し、フデと書いた名前の下に何か書き込んでいる。
のぞき込むと、インクドンドン・ダート・ローバ・ウミウシ・ギング・ジョーズ四姓フンババルンバ・デンデンムシと書かれていた。
もしかしてワザとやっているのだろうか?
「スラーさん、インクドンドンじゃなくてイカゲソブンブンですよ」
ボケているのかと思って、僕は一応突っ込んでみた。
「おや、間違えてしまいましたか? はっはっは、私としたことが失敗してしまいましたね」
普通に書き込もうとしているところを見ると、名前を憶えていないのかもしれない。
それとも、変な名前の魔王として後世に残そうとしているのだろうか?
反省したとはいえ、人類に敵対した魔王には容赦がない。
まあその程度で許されたと思えば優しいものだ。
「どっちも違うわああああああああ! ハァハァ……」
「タノシー!」
丁度よく、魔王はミアさんを引きずり戻って来ていた。
「よく聞け、俺の名前はウミノメ・ジョージでいいから、是非それにしてください!」
たぶんそれが本名なのだろう。
かなり短くなって呼びやすくなっている。
しかし、まだフデと言った方が短い。
「つまり、頭文字をとってウジということでいいのでしょうか?」
僕はそう聞いたのだけど。
「謝るから勘弁してください。どうぞジョージでお願いします」
フデは頭を下げて許しを乞うている。
「ふむ、仕方ないですね。ではそうしましょうか」
スラーさんの許しが出て、ジョージという名前で資料が作成された。
今後冒険者の間では、フデ=ウミノメ・ジョージという名前で広がっていくだろう。
「さて、準備も出来ましたから、そのフデさんを封印して差し上げなさい」
スラーさんがパチンと指を鳴らすと、屈強な男達が現れた。
そしてフデを囲んで能力封印をこころみている。
僕達が外に行っている間に用意していたのだろう。
「甘んじて封印は受け入れよう! でもその前に、そのフデという名前も消すんだ!」
フデは資料に書いてある自分の名前を指さしているが、スラーさんは気にせず机に資料をしまい込んだ。
「フデの魔王として後世に名を残してしまううううううううううう! なんかやだああああああああ!」
フデは悲しんでいるが、大人しく封印をされようとしている。
しかしそんな時に、このローザリアのギルドが、ドーンと大きく揺れたのだった。
「何があったんですか? 皆さん、確認をお願いします」
スラーさんはなるべく慌てず皆に指示を出している。
「誰かが攻撃してるんじゃ? まさかフェイさんが!?」
何となく嫌な予感がしてしまう。
そして。
「魔王様ああああああああああ、捕まったとお聞きしてえええええええ、ファラのついでにお助けに参りましたあああああああ!」
建物の中に居ても相当大きなフェイさんの声が聞こえた。
その声で大体の目的は分かるのだが。
「違う違う、俺がやらせているんじゃないからな!? 信じて、お願い!」
屈強な男達に見下ろされて慌てているフデをみると、やっぱりフェイさんの独断だったりするのだろう。
僕はギルドの外へ確認しに行ったのだけど、騒ぎに気付いていた冒険者達も外へ出ていた。
その中には受付で仕事をしていたファラさんの姿も見える。
やはり自分の父親だし気になったのだろう。
フェイさんに見つかると厄介だし、僕は隠れながら状況を見つめているが。
「ファラアアアア、お父さんが助けに来たよおおおおおお! 魔王様と一緒に家に帰ろうじゃないかああああああ!」
結構人が多いというのに、娘を見つけるセンサーは凄いようだ。
フェイさんはファラさんを軽く捜し出し、空から見下ろしている。
「お父さん、下りて来て大人しく捕まりなさい。今なら百叩きぐらいで勘弁してあげるわ」
ファラさんは怒っているのだけど。
「ふむ、娘にポカポカ叩かれるのは父親の特権ではあるが、今優先すべきはファラちゃんの救出と魔王様の奪還だ。おおそうだ、魔王様とならば付き合うことを許可してもいいのだぞ? あのお方は素晴らしいからな」
フェイさんはその言葉を全然聞いてはくれないし、その恋人まで勝手に決めようとしている。
周りには種から産まれたグリーンデビルが大量に現われ、更に空からは鳥の魔物まで引き連れていた。
前回の襲撃より数も多く、もはや劣化魔王とでもいう存在になり果てている。
「さあ者共、ファラちゃんを奪い返すのだああああああああ!」
フェイさんの命令で魔物達が一斉に動き出した。
冒険者が必死で戦い続けているが、僕は戦いには参加せずに結界を作ることに専念している。
だが。
「お前を逃がすと思ったのかクー・ライズ・ライトオオオオオオオオオオオオ! ゆけえええい、グリフォンよ!」
しっかりフェイさんに見つかってしまったようだ。
しかもあのグリフォンさんは、キャンドルリザードから助けてくれた恩人の鳥さんなのでは?
「ぬああああああああ!」
僕は結界を作るのを途中で諦め、ギルド内へと避難した。
なんとか避難出来たのはいいけど、中は中で魔王の封印は続けられている。
男達に囲まれて、フデの魔王は何やら変なアイテムやらを取り付けられていた。
今は急ぐからと、僕はフデに声をかけた。
「フデさん、今外にフェイさんが来ています。魔物を操るアイテムってどんなのを作ったんですか?」
そう僕はフデに聞いてみたのだが。
「おいお前、俺の名前を言ってみろ」
なんか名前を言って欲しいようだ。
「ん? フデですよね?」
「違うわ! 俺はジョージだって言ってるだろうが! 答えて欲しいのなら俺の名前を呼んでみろ!」
僕はそれに答えたのだけど、何故か怒りだしている。
そんなにジョージって言ってほしいのだろうか?
「分かりましたよジョージさん、お願いしますから教えてください」
僕はその意思に従い、素直にお願いした。
「うおおおおお、やった! やっと呼んでくれたのだな! 良いだろう、早速教えてやろう。魔物を操ることが出来るアイテムは、腕に装着する腕輪なのだよ。どうだ、役に立つ情報だろう? その分減刑してくれると嬉しいですはい」
フデの魔王は、囲んでいる男達に頭を下げながらお願いしている。
もう魔王としての威厳はないだろう。
「ありがとうございます。じゃあもう一度行って来ますね」
僕は外に出ようとすると。
「待て、お前にも一つアイテムを分けてやろう。これを持って行け」
フデからポンと投げられたのは、銀で作られた指輪だった。
「これは?」
僕はフデに説明を求めた。
「それを持っていれば一体だけ魔物を操ることが出来る。奴から好きな魔物を奪い取ってやれ」
たぶん力の方向性が違うのだ。
一体に力を集中しているから、多くを操るフェイさんからでも魔物を奪えるということだろう。
僕は一応封印していた人達を見るが、早く行けと言わんばかりに手をふっている。
「じゃあフデさん、ありがたく使わせてもらいます!」
僕はフデにお礼を言って、手をふった。
「やっぱり返せええええええええええええええ!」
僕は小指に指輪をはめて、外へ出て行った。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アーリア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




