魔王様の戦力調査
魔王と共にギルドを訪れた僕は、上司のスラーさんに会いに行った。
そこで魔王フデが普通の人に戻りたいと報告するのだけど、そう簡単に許されるものではなかった。
色々な交渉の末に、魔王フデの自由が保障されたかに見えた。(見えただけ)
僕はスラーさんからその危険度を調べるように言われた。
僕とフデはギルドの寮にミアさんを向かいに行った。
「ミアさん、部屋に居ますよね? 入りますよ」
「イイぞ!」
ノックをすると返事が聞こえてくる。
扉の中には、ミアさんが大きな葉っぱを体に付けて不思議な踊りを舞っていた。
「…………」
一瞬言葉を失うが、ここに居るのは普通の人物ではないのだ。
もしこれがファラさんだったら、即座に扉を閉めて見なかったことにしたが、相手がミアさんなのである。
「ミアさん、外に仕事に行きますよ」
野暮らしの長いから不思議でもないかと納得し、僕は普通に対応する。
「ウン、ワカッた!」
「? ダレだ?」
ミアさんはフデのことを気にしている。
どうやら魔王を知らないようだ。
「よく聞け娘よ、この俺は……」
フデは胸を張って、長ったらしい名前を言おうとしている。
「フデの人です」
だから僕は、覚えやすい名前をミアさんに教えた。
「おいコラ、勝手にその呼び方を広めるんじゃあない! 普通に言おうと思ったのに!」
フデは怒りだしているが、あんな長い名前をミアさんは覚えきれないだろう。
これが正解なのだ。
「フデ、ヨロダぞ!」
やっぱり一発で名前を覚えたし。
「あああ覚えられてしまったじゃないか! 変な名前が広まってしまううううう! お前ええええええええええ!」
フデは僕の体をガクガクと揺らして来る。
「まあいいじゃないですか、減るもんじゃなし」
僕はそう言ったのだけど。
「増えるのが嫌なんじゃああああああ!」
フデからは更に激しく揺らされて気持ち悪くなった。
ここに来る前に食べた草のお弁当が、胃の中でグチャグチャとかき回されて。
「うおえええええええええええええええええええ!」
僕は朝ごはんを吐き出した。
「ぎゃあああああああああああああ!」
「クササササササササ!」
部屋の中は大惨事で、僕達はミアさんに謝りつつ、三人で部屋を掃除を行う。
そして今、町の入り口より随分と離れて、誰の邪魔にもならないような広い場所に移動した。
「じゃあジョ……フデさん、使える技とか魔法とか全部教えてください」
僕はこれから、魔王フデの能力調査を始めようとしている。
「おいお前、何故今名前を呼ばなかった。まさかワザとやっているのか?」
フデは僕のことを不審がっている。
「いえいえ、気にしないでください。僕の中ではもう決まった名前なので」
だから僕は、確定していることを告げたのだ。
「勝手に決めるな! くそう、もういい、早く終わらせるぞ!」
フデが諦めてくれたので、僕は続けようとするのだけど、どうやら丁度よく魔物が現れてくれたようだ。
しかもこちらにズンズンと歩いて来ていた。
「うおおおおおお、でかーい!」
僕はその巨体に驚いた。
たぶんギガースと呼ばれる大巨人だろう。
この地域で見たという報告はないが。
「ハハハ! 驚いたか、俺が呼び寄せてやったんだぜ! さあ踊ってみせてやれギガース!」
どうやらフデが呼んだらしい。
言った通りに変な踊りを始めたギガースを見ると、やはり魔物を操るというのは本当らしい。
「ホウ、ハウ! ホウ、ハウ!」
ついでにその踊りを見ていたミアさんも踊り出している。
やってみたかったのだろう。
「さて、お前は俺の力を見たいと言ったな。丁度よく的も来たところだ。見せてやろう、魔王と呼ばれたこの俺の魔の力を! さあ、天よいななけ、神よ魔王の前にひざまずけ! トール・ハンムアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
見せびらかすようにフデの魔法が発動し、晴れ渡る上空から極太の光がギガースへと狙い違わずぶつけられ、たった一発をもって倒してしまった。
「どうだ、この俺の力を目に焼き付けたか! これぞ魔王の力だああああああ!」
自分の力に酔いしれているようだ。
「ヨメ、ピカーなっタ!? スゴい!」
魔王だというんだから、このぐらいはやって貰わないと困る。
変にしょぼかったら、そんな奴を魔王認定したのかとか世間に言われてしまうからだ。
「あ、はい、分かりましたから次行きましょう」
僕は次の魔法を行うように指示した。
「お前はもう少し驚け。もういい、次へ行くぞ!」
こうして魔王フデは何度も魔物を呼び寄せ、その度に別の魔法を撃ち込み威力を見せていく。
どうやら全ての属性が扱えるらしいが、単発魔法しか撃てないようだ。
強力な魔法を使えるというのに、力や速度も高くて、魔王たり得る能力を持っている。
しかしそんな能力よりも、一番厄介なのは誰でも扱える武具の作成なのかもしれない。
軽くて丈夫で誰にでも扱える魔力を込めた装備は、無造作にフェイさんのような存在を作り出してしまうのだ。
悪人の手に渡ってしまえば、それだけで国の危機にもなりかねない力である。
当然厳重封印対象だろう。
でもそんな武具を作り出せるフデの魔王が、何故負けてしまったかといえば、ひとえに人望の無さが原因なのかもしれない。
もし人員が居たならばこんな貧乏生活はしていないはずだ。
僕はなんとなく可哀想になり、フデの肩にポンと手を置いた。
「なんだ、俺の力に恐れおののいたのか? 仕方のないやつだ。俺を尊敬するというなら一つぐらいなら道具を分けてやってもいいんだぞ?」
だが何故か変な風にとらえられ、自分が尊敬されているとでも思いこんでいるようだ。
「いやぁ、今はいいんで、ミアさんとでも遊んでいてください。僕はちょっと資料を書きますので」
僕は、地面を行進しているアリを口に入れようとしているミアさんを指さした。
「任せておけ、女の扱いは手慣れているからな! おいお前、アリを食うぐらいだったらバッタの方が腹がふくれるぞ!」
あまり手慣れていそうもないフデに任せ、僕は資料を書いていく。
名前 :魔王フデ(名前は省略)
レベル:56
HP :3700
MP :9999?
力 :235
速 :155
大 :167
危険度:今の所1
技 :属性魔法色々。魔王の剣(名前が長いので省略)
一属性を扱えて、同属性を防げる防具(浮遊効果あり)
考察 :魔王と呼ばれた長い名前の人。
省略してフデと呼ぶのを推奨。
反省しているようで今の所は安全。
大量の魔物を操れることを除けば、単体攻撃しか出来ないようだ。
町の中に居る限りは、多属性結界を使えば安全に対処できる。
もし敵対することになったら一対一では勝ち目は薄い。
ある程度の力を持つ冒険者を集め、数の力で対抗した方がいいだろう。
注意 :特殊な武具を作り出せる為に注意が必要。
変に流通したら国の危機に発展しそう。
厳重封印推奨。
「ふう、書けた」
僕は描き記した資料をリュックに移そうとするが。
「ちょっとそれを見せてみろ。俺がチェックしてやろう」
フデが資料を奪おうとしてきた。
「駄目です。これは冒険者に見せるための重大な資料なので勝手に書けないようになってるんです。本人が書いたら絶対誇張するでしょう?」
僕はフデと書いたことを知られないように、資料をリュックにしまい込んだ。
「お前まさか、俺の名前を変な名前にしているんじゃないだろうな!? ちょっと見せろ!」
おっと、フデに気付かれてしまった。
「そんなことはないですよ? じゃあ終わったので帰りましょうか。ミアさん、その人を引きずって帰って来てください。ゆっくりでいいんで」
「ワカッたー!」
ミアさんはそれを素直に聞いて、フデの足にしがみ付き引き倒した。
「やっぱり書いたな貴様! ちょっ、放せ、動けんだろう!?」
そのままズリズリ引きずっている。
僕は今の内に先にギルドへと戻って行った。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




