魔王様、ギルドへどうぞ
青年の家で起こされた僕。
何故か説教を始められたが、僕にも言いたいことがあった。
あの子供達の常識の無さを説教し、逆に言い負かした。
言い合ている内に、この青年がフデの魔王だと思い出し、僕はギルドに戻ろうとする。
しかしフデに気付かれ、僕はフデを説得してみることに。
何とかそれに成功し、僕とフデはギルドへ向かったのだった。
町はまだ静かで、小鳥がチュンチュン鳴いている。
「ぼーなああああああああああす!」
「自由への疾走だああああああ!」
そんな中で全力疾走してギルドに向かっているのが僕とフデだった。
道に建ち並ぶ住居からは、うるさいとか声が聞こえてくる。
しかし今の僕達は気にしてはいない。
贅沢じゃなくても、程よい暮らしが出来るかもしれないからだ。
「さあフデさん、ギルドですよ!」
僕はそう言って、ギルドの扉をバンと開けた。
既に出社して来ていたファラさんやミアさん、他の仲間達も驚きこちらを振り向いている。
そこには正装したかのように真っ黒な衣装に身を包んだ魔王フデが居たからだ。
顔を知っていた人達からザワっとしたどよめきが聞こえる。
「誰がフデか! というかそのフデっていうのはどこから来たんだ!?」
まあそのフデと呼ばれて怒っているこの人は、結構な小心者なのだけど。
「最後のファイナンス・デンデンの頭文字からとったんですよ」
そんな魔王の本心を知ってる僕は、適当にからかったりしている。
「そんな名前はどこにもついとらんわ!」
胸を張って偉そうにしているものの、その体はロープでグルグル巻きにしてある。
何もないと怖がらせるかもと言った僕の言葉を聞いてくれたのだ。
「はいはい魔王様、もういいですから上司に挨拶に行きますよ。こっちです。ついて来てください」
僕はスラーさんの下へ案内しようと、持っていたロープを引っ張った。
「そ、そうだな……お前、絶対フォローしろよな!」
フォローしろと言ってるこのフデの内心は相当ドキドキしているんじゃないだろうか?
「ああ、はいはい」
しかしそんなことはどうでもいい。
適当に答えて引っ張っていく。
そしてこちらを見続けているスラーさんの前。
「スラーさん、魔王を捕まえました! これでボーナスくれますよね!?」
僕はフデの魔王を突き出したのだけど。
「……確かに、本物ならそうなりますけど、偽物を連れて来ても意味はないんですよライズ・ライト君。むしろ不正を働こうとしたとしてそれなりの対応を……」
何故か信じてもらえなかった。
そんなに僕の信用はないのだろうか?
「いや、この人、本物ですから!」
僕は不正をしていないと証明する為に、フデをずいっと突き出した。
「そうだ、俺は本物だ!」
自分でも宣言しているし、曲がり間違って僕の不正にはならないだろう。
「ふむ、顔も本物のようですし、一応本物ということで取り扱いましょうか。それで、覚悟を決めて死にに来た訳ですか」
スラーさんの瞳はギンと輝く。
「違う違う違う違う違う違う違う違う違う! こらお前、早く俺のフォローをするんだ!」
ブンブンと首を横に振るフデの人は、僕に丸投げして来た。
まあ約束したので少しは庇ってあげようか。
「え~っとスラーさん、もう追われたくないから魔王辞めたいらしいです。それで死にたくないから奉仕活動をしたいんですって。魔物を操る能力も結構有能ですし、町とか国を護るのに凄く有用なんじゃないですか?」
僕はそういったのだけど。
「そんな危なそうな能力じゃ町や王都を護らせる訳には行かないでしょう。魔物を操る人物が心変わりしたらどうするんですか? その能力が突然切れて町中で暴れたらどうするんですか?」
スラーさんは、あまり乗り気ではないらしい。
言わんとすることは分からなくもないが、それはこのフデの魔王と敵対するということだろう。
抵抗するって言ってたし、あんまりいいことにはなりそうもない。
「俺はそんなことはしない! だってもう草とか食いたくないし!」
もちろん反論しているフデの人だが。
「一度やってしまった人に信用があるとでも? 町を占領したほうが手っ取り早いと考えないとも限りませんし。死んでくれた方が手っ取り早いんですが……」
無慈悲なことを言ってるスラーさん。
「死ぬのはいやあああああああああああああ! しょ、処刑されるぐらいなら、俺だって徹底的に交戦するからな!」
処刑されると聞いて、魔王フデは暴れ出そうとしている。
「まあ落ち着いてください魔王さん。こちらとしても無駄に交戦をして死人を出す訳には行きません。ある程度の能力封印や拘束を受け入れるのなら、こちらとしても受け入れられる可能性は零じゃありませんよ。もし受け入れてもらえるのならば、食事の面はギルドで保障させてもらいましょう」
スラーさんは、徹底的に否定した上で譲歩したように見せた。
「食事つき……」
相当苦労して来たであろうフデの魔王は、その言葉に心を動かされている。
もう落ちるのも時間の問題だろう。
出来れば僕にも食事をください。
「足りませんか? ではギルドに奉仕してくれるのなら、それなりの給金や住居も用意出来ない事はないんですけどねぇ」
更に譲歩したスラーさんは、ボロ小屋のようなアパートに住むフデに畳み掛けた。
「やりま~す!」
色々なことにに目がくらんだ魔王フデは、もろ手を挙げて喜んでいる。
でも別にスラーさんが権限を持ってる訳ではないので、今の交渉が正しく上に伝わって、国に許可されなければ無駄なのだ。
「それはよかった。ではまず今後の仕事の為にその力を測定させてもらいましょうか。ライズ・ライト君、頼みましたよ」
スラーさんは、仕事の為とか言ってるけれど、たぶん裏切られた時の為の保険だろう。
「了解です!」
そのくらいなら問題はないと、僕は引き受けることにした。
どうせ連れて来た僕には拒否権はないし。
というわけで今日の仕事が決まったようだ。
僕はファラさん達を誘おうとするが。
「今日も受付よ。ミアが暇そうにしてたから誘ってあげたら?」
どうやら受付の人の風邪は治っていないらしい。
「分かりました! じゃあミアさんを誘いに行って来ます! 行きましょうかフデさん」
僕はフデのロープを引っ張った。
「もうジョージで良いから、フデと呼ぶな!」
フデの魔王は抗議しているが、もう定着しちゃったので諦めて欲しい。
「いってらっしゃい」
ファラさんに手をふられ、僕達はギルド寮へ向かって行く。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




