ローザリアギルド入り口から出て右に三軒行って、曲がり角を右に進み、五本目の十字路の角にある、六丁目六番地、ケモネハウス六号室に住む黒髪の人はジョージ
僕はクー・ライズ・ライトという名のギルド職員である。
冒険者の為に日々働くのだけど、何故かお金が貯まって行かないのだ。
しかし、そんな血の涙を流す日々も、もう直ぐ終わろうとしている。
あとたった一月とちょっとで綺麗な体になれるのだ。
フェイさんを探すことなんてどうでもいい。
早く真面な生活がしたい。
この世界には魔王という存在が三体確認されている。
まず一体目は百眼の魔竜である。
竜が魔王? っと疑問を持つ人もいるだろう。
だが極限の力を持つという称号なので、人型であるとは限らない。
どんな魔竜かと言えば、名の通りに百の目を持つらしい。
曖昧なことを言っているが仕方がないのである。
何故なら、その姿を見ただけで死が訪れると言われるからだ。
事実として、五十人の精鋭調査隊を派遣して、四十七人が死傷している。
他三名は、偶然にも姿を見ずに助かって逃げ帰ったらしい。
この大陸とは別の大陸では、町の上空を飛ぶその魔竜を見て、五百人近くが亡くなったと噂がある。
もちろんそれが事実なのかは分からない。
偶然にも、五百人が同時期に心臓発作を起こして死んだのかも知れないのだが、可能性は低いのだろう。
その力が本当であるのなら、もう何万人規模で死人が出ているのかもしれない。
人の言葉を操るとも聞くが真実は不明だ。
二体目は、広大な海を根城にする純炎の海王だ。
大きな島のような巨大さで、背には絶えず炎が燃え続けている。
そんな巨体であるというのに海に居るどんなものよりも速いのだ。
その海王に狙われれば、巨大な帆船であれ飲み込まれてしまう。
果ては島国を一つ噛み砕いたとか、大波で町を壊滅させたとかそんな噂も聞く。
この魔物によって、海運業にかなりの被害が出ている。
別大陸とのやり取りが無くなったのはこの魔物のせいだ。
ギルドとして殆どの情報がそろっているが、圧倒的な巨体を倒す術は見つかっていない。
例えディザリアさんのような大規模魔法使いを千人そろえたとしても、海に潜られれば手出しは出来ないのである。
当然討伐を望む声もあるし、今でも挑んで行く冒険者も居るが、戻ってきた者は数名だけだ。
魔竜や海王を倒す為には、万を超える規模の討伐隊を必要とするが、国はそれを許可しないだろう。
多大なる犠牲者が出てしまえば、国の防衛にも関わって来るからだ。
魔王を一体倒しても、通常の魔物の進行により国が滅びては話にならないのである。
そして第三の魔王は六年ほど前に空に虚像を現した。
自身が魔王だと名乗っている。
確か名を、インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディステニーだったかな?
僕もその虚像を見たが、黒髪の少年の姿をしていたはずだ。
もちろんそれだけで魔王認定なんてされないが、インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニーの声に反応して、国中枢部に魔物が進行してきたらしい。
というか名前が長いし、言うのが大変だ。
もう頭文字を繋げて、イダロウキジシフデ……いやそれも言いにくいし、もうフデにしよう。
ということで魔王フデが操った魔物は国を襲うが、魔王本人が居なかったためか全滅させた。
だがその思想や、大量の魔物を操ると言う特殊性を考え、国が動く。
事態を重く見た国の重鎮は、フデを魔王として認定したのだ。
しかし魔王として認定され、度々あった国への進行も、二年が経った頃には全く見られなくなる。
今現在としては、ほとんど忘れられた存在だった。
だがフェイさんの存在が登場したことにより、その存在感を増したのだ。
もしかしたら、その魔王フデが力を貸しているんじゃないかと疑いがあるから。
で、僕達はフェイさんの居場所を探すようにとギルドから言われているのだけど、居場所はサッパリ見つからない。
まれにファラさんを見つめる視線があったりするが、フェイさんは空を飛べる為に追い駆けることが出来ないのだ。
だから結局一ヶ月探して見つからないので、通常の仕事をしつつ、手掛かりがあったら探す感じになっている。
今何をしているかというと。
「いらっしゃいませー。ようこそギルドへ-」
と、棒読みで冒険者に対応をしていた。
何故こんなことになっているのかと言えば、ギルド内で風邪が流行ってしまったからだ。
受付嬢の大半はダウンしてしまい、運営に支障が出るからと、戦力調査部にも人員を借りている。
「その依頼ですねー、受け付けましたー」
だから僕も臨時の受付係となっていた。
ギルドには今も大勢の冒険者が居るのだが、僕が男だからかあんまり人気がないらしい。
今対応している一人をさばけば、後ろに並んでいる人は居ない。
人が流れているのは、同じく受付をしているファラさんの所だ。
愛想も何も振りまいていないというのに、なんとなく悔しい。
ミトラの町の、デルメオ君の気持ちがわかった気がした。
ちなみにミアさんは受付をするには無理があるのでお休みしている。
「暇だ……」
っと僕は呟くが。
「クー、暇だったらこっちを手伝いなさい」
どうもファラさんに聞かれていたらしい。
「はーい」
僕は軽く返事をして行ってみると、ファラさんの受け持つ受付には小さな少年と少女が依頼を受けていた。
二人共背も低く、たぶん十二歳ぐらいだと思う。
赤い髪の子が男の子で、桃色の髪の子が女の子だ。
どちらも顔が似ているから、兄妹か双子かそんな感じだろうか?
そして男の子の体は、剣や鎧で武装している。
まだ歳も若いが、僕とファラさんも十三で冒険者に登録しているし、あり得ないことではないだろう。
「それであの、手伝えって何をです?」
僕はファラさんに声をかけたのだが。
「クー、この子達の面倒を見なさい」
ファラさんから、どうもおかしなことを言われている。
「えぇ? 僕にその子達を養えっていうんですか? お金の無い僕には絶対無理ですからね!」
「冒険者として面倒を見なさいって言ってるのよ。この子達の保護者も風邪をひいたみたいで、それで薬を買うお金が欲しいんだって。でも流石にこの子達だけで行かせるわけにはいかないじゃない。だからあんた、ついて行きなさい」
ファラさんの話をちゃんと聞くと、家で面倒をみろという話ではないらしい。
つまり僕はこの子達の保護者代わりになれというのだろう。
他の冒険者に任せるという手もあるが、その人物が悪人だったら……考えればきりがない。
「う~ん、まあ暇ですし、それならいいかなぁ?」
僕は首をひねりながら考えていると。
「「おねがいしま~す!」」
その少年少女から屈託のない笑顔が向けられた。
なぜかその顔に怯んでしまうのは、僕の心が邪悪だからだろうか?
いや、そんなことはないと思いたい。
二人だけで行かせるのもなんだし、まあいいだろう。
「じゃあよろしくお願いします」
僕はお客さんに頭を下げた。
このぐらいの歳の子なら、まだ冒険者になりたてだろう。
「ありがとう兄ちゃん! 俺っちグリス・ナイト・ジェミニだよ!」
男の子はそう名乗り、親指をグッと立てた。
恰好を見ると、体に合わせた白い鎧と、腰には剣がある。
たぶん前衛系なのだろう。
「お兄さん、あたしリューナ! リューナ・ナイト・ジェミニよ!」
リューナと名乗った女の子は、ペコっと頭を下げている。
こちらの女の子は、魔導士風の恰好をしているようだ。
体に合わせたローブと、手には木製のロッドを持っている。
だがじつは、子供に合わせた装備というのは、武具店であまり売り出されていない。
子供の冒険者というのがそもそも珍しいので、作ったとしてもなかなか売れないのである。
つまりこの子達の装備はオーダーメイドなのだ。
だとするならば、この子達がお金を持っていなくても、保護者の方は意外と金を持っているのかもしれない。
それはつまり、貧困生活から抜け出せるチャンスだといえるだろう。
「僕はクー・ライズ・ライトと申します。ではまずはその保護者様に挨拶に行きましょう! 案内をお願いします、お坊ちゃまとお嬢様!」
僕はこの二人の手を掴み満面の笑顔を向けた。
「えっ、兄ちゃん?」
「なに、お兄さん?」
この二人に事情を説明している暇はない。
「ちょっとクー……」
僕はファラさんに止められる前に、二人をギルドの外へ連れ出した。
その二人の手を解放したのは、ギルドから少し離れた場所だ。
「お坊ちゃん、お家はどこでしょうか?」
僕は敬意を払い、グリスに声をかけるのだが。
「兄ちゃん、お坊ちゃんとかやめてよ。恰好悪いだろ!」
「お兄さん、私も名前で呼んでね」
どう二人共、呼び方が気に入らないらしい。
「じゃあグリス君、保護者様の場所に案内してくれるかな?」
僕は名前を言いなおし、保護者様の居場所を聞いた。
「兄ちゃん、俺っち達はジョージに秘密で行きたいんだ。だから先に仕事をしてからならいいよ」
「あたしお金が欲しいの、だから先に仕事して!」
この兄弟は自分達で稼いだお金で、そのジョージという人の薬を買いたいのだろう。
そう言えば、魔王の名前にもジョージというミドルネームが入っていたような?
まあ町中に居るはずもないし、全く関係ない人だろう。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
エピソードタイトルで落ちてる気がしないでもない。




