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目を覚ました僕

 夜のギルドで報告を終えた僕達。

 しかし看板娘であるリセルに話しかけてしまったのが運の尽きだった。

 変な男集団に目をつけられ僕はギルドの外へと連れだされた。

 もちろん誰も助けてはくれない。

 自分達はリセルのファンクラブだと言っているのだが、書かれている内容は全部犯罪めいたものだった。

 僕はそれを断りどうしようかと悩んでいると、助けに来た人物に恐怖を覚えた。

 敵事僕を昏倒させて高笑いしていたのだ。

「……大丈夫ですか?」


 っと、少年のような声に反応して目を覚ました僕。

 目を開けると、そこには声に見合った少年の姿が見えた。

 名をナオ・ラヴ・キリュウと言い、あのストーカー集団の被害者であるリセルさんの弟である。

 髪の色や瞳の色も一緒で、護ってあげたくなるような小動物のような感じの少年だ。


「アーッハッハッハ! 依頼終了ね!」


 ちなみに、このディザリアさんのチームの一人でもある。

 回復を得意としているから、僕の体を癒してくれたのだろう。

 じつはもう一人仲間が居るのだけど……ここには見当たらないようだ。

 まあ魔法に巻き込まれるし、仲間でも近づきたくはないだろう。


 他の男達はギルド職員に縛りあげられて連行されている。

 たぶん看板娘のリセルさんをなくしたくないから、ギルドへの入店不可となるだろう。

 そうなれば、この町のギルドでは働けなくなるんじゃないだろうか?


「ありがとうございます。僕はもう大丈夫ですよ。……おたがい頑張りましょう」


「あ、はい、そーですね……」


 僕が助けてくれたナオに挨拶すると、思う所があったのか目をそらしていた。

 彼にも色々あるのだろう。

 僕は頑張って立ち上がり、ナオにだけ手をふって別れようとするのだが。


「クー・ライズ・ライトオオオオ! 一人で居るとは良い度胸だああああ!」


 聞き覚えのある声が聞こえて来る。


「この声は、フェイさん!?」


 僕はその声に驚いた。

 これは既にギルドに手配されているフェイさんの声である。

 まさか娘に会いたいが為に町の中にまで入り込んだのか!?


 声の場所を見ると、ギルドの屋根の上に乗っていたフェイさんが、僕達を見下ろしている。

 しかも、前に壊した鎧まで復活しているらしい。

 でも、そんな狙い易そうな場所に居たら。


「オクタゴン・オメガ・ストリーム!」


 っと、ディザリアさんの風の魔法に吹き飛ばされるんだよなぁ。

 辺りに連射される風の弾は、フェイさんを高く高く打ち上げるのだけど。


「ヌハハハハ! 私が飛べることを忘れているのか馬鹿者めえええええ!」


 空を自在に飛んでいるから、落ちて来るダメージは期待できない。


「アーッハッハッハ、馬鹿はお前よ! オクタゴン・オメガ・フレイム!」


 今度は凶悪な炎の魔法が空を埋め尽くした。

 ゴーゴーと吹く風の魔法とは違い、町全体が夕焼けのように染まっている。

 ……ファラさん、お父さんは死んだかもしれないですよ。


 しかしいくら待っていても、フェイさんが落ちて来ることはなかった。

 まさか骨まで燃えてしまったのかと心配したが、炎の魔法がおさまるとフェイさんの姿が見え始めた。

 ダメージがあるかと思えば、まったく無傷で佇むフェイさんの姿。

 どこも焦げたりしていない。


「ヌアッハッハッハッ! そんなものは効かんわ! 私はパワーアップしたのでなぁ!」


 雷だけではなくて炎も効かなくなっている?

 たぶんフェイさんの着ている鎧が、炎を防ぐ効果があるのだろう。


「だったらとっておきのを……」


 っと、またディザリアさんが続けようとするが、爆風や豪炎が町中に連発されれば町やギルドの人も気づいたらしい。

 とうぜんギルドの中に居た、ファラさんもだった。

 ギルドから跳び出して、フェイさんが居る空を見上げている。


「またお父さんが!」


 ファラさんはギっと歯を噛みしめている。


「おお、会いたかったよファラ。でもごめんよ、今は別の用事があるんだ。だが……」


 そんな娘の表情を見ても、普通に喜んでいるから始末に負えない。

 しかし別の用事とは?


「……おっといかん、何時までもファラの顔を見ておきたい衝動にかられる。……ヌッ!」


「|エニアコンタエニアゴン《九十九角形》・オメガ・ストリーム! ぶっはぁ……」


 フェイさんが喋っている内に、またもディザリアさんが魔法を放つ。

 先ほどは効かなかった風の魔法だが、今回は規模が違う。


「効かぬと言っているのが分からぬ……何ぃ!?」


 無限に吹き上げるような風の弾と、永劫に数えきれないほどの撃ちおろす風の弾。

 その二つに挟まれてしまったフェイさんには、最早どこにも逃げ場はない。


「ぬおおおおおおおおおおおおおお!」


 もう大規模を越えて超規模の域に入っている。

 空中に居るフェイさんを狙ったから僕達に影響はないけど、ディザリアさんがそれを狙ったのかは不明だ。

 僕が見る限り、何にも考えていない気がする。


 その放った本人(ディザリア)はというと、魔力を使い果たしたようで、地面に座り込んでいる。

 魔力が回復するまでは大人しくしているだろう。


「ヌハッ……やはり敵陣では不利ということか。人目にもつき過ぎたな。潮時だ。魔王から頼まれた仕事をさせて貰おう。さあ来い魔物共!」


 フェイさんは小さな種のような物をばらまいた。

 それが地に転がると、ウネウネと成長し続け、緑色が人の形状を成していく。

 これはグリーンデビルと呼ばれる植物の魔物である。


 レベルは生きたオークぐらいだけど、傷の再生能力が高い。

 しかし中心にある核の部分を叩けば、その体は枯れて朽ち果てるのだ。

 数も相当多く、また四十は居そうだけど、ここには冒険者も多いから充分倒せるだろう。


「まさかギルドを襲撃するとはな! 舐めたものだぜ。冒険者の力を見せてやるぜ。やっちまえテメェ等!」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおらあああああああ!」


 っと冒険者と魔物との戦闘が始まるが。


「ファラ、お父さんは行かなければならないんだ。どうか悲しまないでくれ。また来るから。また来るからああああああああ!」


 そう言ってフェイさんは戦場から去って行った。


「逃がさな……ッ! 邪魔よ!」


 ファラさんも追い駆けようとしているのだけど、グリーンデビルや冒険者が道を塞いでしまっている。

 もう追いつけないだろう。


「よし、今の内にご飯を食べよう!」


 で、僕はというと、ギルドの中のご飯を食べに戻ろうとしている。

 だって、もう僕に出来ることはないんだもの。

 ご飯を食べに戻ったっていいじゃない。


「クー、何処へ行くつもり? まだ戦いは続いているわよ」


 しかしコッソリと戻ろうとする僕の肩に、ファラさんの手が置かれた。

 フェイさんを追い掛けられなかったから、諦めてグリーンデビルを倒そうというのだろう。


 しかし僕にはそんな暇はない。

 この場に居ないミアさんは、今もご飯を食べ続けているはずだ。

 間に合わなければ全部食われてしまう。


「……いや、僕が居ても邪魔でしょう。ここはむしろギルド内に避難して邪魔にならないように、邪魔にならないように避難したほうがいいんです! ほら僕って今全然役に立たないし邪魔ですから!」


 僕は必死に言い訳を始めたのだけど。


「あんたまさか、ご飯が食べたいからって逃げるんじゃないでしょうね?」


 やはりファラさんは相棒だ。

 僕のことを結構理解しているらしい。


「……ファラさん、確かにご飯は食べたいです。でも、魔物なんかよりもご飯の方がよっぽど大事ってだけなんですから!」


 もう隠すのはやめて、正直に打ち明けた。


「それ言ってること一緒でしょ」


 ファラさんは呆れているが。


「違います! 僕のお腹がいっぱいになってパックに詰めてもらってから、ちゃんと戦いに参戦しますから! もちろん魔物が残っていたらですけど! ほら、もう殆ど倒されてるし、僕一人居なくても平気ですって!」


 こうして言い争っている間にも、多くの冒険者の手により、魔物は殆ど倒されている。


「あっそう、これ倒したらもう一度料理を注文してあげようと思ったけど、じゃあ仕方ないわね」


「何しているんですかファラさん、さあ行きましょう! まず敵を殲滅させてからご飯です! あそこに敵が居ます。たああああああああ!」


 僕達は、冒険者の人達と一緒に魔物の群れを殲滅したのだけど、捕まえた男達の姿が見えなくなっていた。

 状況からして逃げたというよりは、フェイさんに連れられて行った。

 いや、自分から行ってしまった可能性は高いだろう。

 魔王の配下にでもするつもりなのかもしれない。


 それにしても、今日捕まえたのは偶然からだ。

 どこか近くに連絡役でもいるのだろうか?

 まあそれは、僕にとって重要なことではない。


「さあファラさん、ご飯を食べましょう! お腹いっぱい食べましょう! 持ち帰れる様に一週間分ぐらい注文しましょう!」


 ファラさんに出来る限りのお願いをしたのだが。


「何で私がそこまでしなきゃならないのよ。今日の分だけだから」


 今日はしのげるからそれでも大丈夫だ。


「ありがとうございます!」


 僕はキッチリ九十度にお辞儀をして、ギルドの中へと入って行った。

 クー・ライズ・ライト (僕)

 ミア・ミスト・レイン(元賞金首)

 アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)

 グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)

 ランズ・ライズ・ライト (父)

 ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)

 フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)

 スラー・ミスト・レイン(僕の上司)

 ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)

 デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)

 ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)

 リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)

 ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)

 デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)

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