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二度目の地下通路

 ミノタウロスとの戦いが終わり、僕のレベルが上がった。

 またも食べようとするミアさんを制止し、僕達は帰る準備をする。

 その前にと、覚えたての魔法を試そうと皆に許可をとって使うのだが、皆の能力値を吸い上げる効果みたいだ。

 一通り試し終えた僕達は、外に出てギルドへ帰った。

 そして上司のスラーさんに報告をするが、あの出口の警備を任される。

 しかしアーリアさんとグリアさんがそれをやると言い出し、僕達はもう一度地下通路へ入ることに。

 地下通路の中。

 僕とミアさんは、道の上下左右を見ながら、魔物が居ないかを調べている。

 そのまま進み続けるが、一本目と二本目の行き止まりには何も無いようだ。

 今はあの二人が嫌だった虫が徘徊しているだけだろう。

 油断はするべきじゃないが、僕は少し気が抜けている。


「じゃあミアさん、このまま真っ直ぐ行って突き当りにまで行ってみましょう」


「ヨメ、ワカッた!」


 僕の軍資金で牛肉をお腹いっぱい食べたミアさん。

 その元気と引き換えに、僕の未来は失われてしまった。

 また草でも取って来なければ。


 足を進ませて、カギのかかった格子状の扉の前。

 壊れたカギ穴はそのままで、何か入って来た気配はない。

 一応外の景色を見てみると、ここは朽ちた馬小屋の中なのかな?

 少し前にはワラと打ち付けられた板があり、その間から少しだけ光が入り込んでいる。


 その先に何があるのかは知らないけれど、カギは回せないから外には出れない。

 とりあえずこの詰まったカギでも引き抜いてみようかな?

 僕は、数ミリだけカギ穴から跳び出しているカギを、爪の先でグッと掴む。


「うぬぬぬぬぬぬぬぬ!」


 しかし、力を入れ過ぎたのか、爪の先がツルっとすべった。


「~~~~おふ!?」


 そして爪同士がバチっとぶつかり何とも言えない痛みが走る。


「ヨメ、ダイジョウブか?」


「……大丈夫です」


 心配してくれたミアさんに強がって答えた。

 道具もないし無理そうだ。

 ここは諦めるしかないだろう。


「他の場所に行ってみましょうか」


 僕はそう言ったんだけど。


「ワタシ、ヤる!」


 ミアさんはこのカギに興味をもったようだ。

 まあ特に急いでいる訳でもないし、やらせてもいいだろう。

 僕が場所をゆずると、ミアさんはカチャカチャとカギを玩具にしている。

 爪でカリカリしたり、格子の方をガシガシ叩いたりするが、変化はない。


「ワカッた!」


 時間が経ち諦めるかと思ったら、ミアさんは何故か武器を取り出している。

 二つの剣を装着すると、鋭い先端で壊れたカギを挟み込む。

 ミアさん器用にカギを引き上げ、カギはカギ穴からポロっと落ちた。


「ワタシ、ヤッた!」


 ミアさんは、ピョンピョン跳びはねて喜んでいる。

 僕は落ちたカギの破片を拾い上げた。

 これを元にすれば、新しいカギも出来るはずだ。


「おお、やりましたねミアさん。すごく偉いです! じゃあこのカギは持ち帰るとして、他の場所へ行ってみましょう」


「ギギ!」


 ミアさんは、ほめられて嬉しかったのか、またその場でピョンッと跳ねた。

 そして移動するのはオークの巣がある道。

 一匹のスライムが這い出て来たぐらいで他にもなにもなく、無事にミノタウロスが倒れていた広場の入り口に到着した。


 とうぜんだが、ミノタウロスは少したりとも動いていない。

 もう完全に成仏しているらしい。

 しかし何もないはずのこの場所でおかしな光景が見えている。

 オークの住処の一つから、モクモクと煙が上がっているのだ。


「まさかオークの生き残りが!?」


 僕達はミノタウロスを倒したけど、住居の全てを調べたわけでもない。

 どこかに隠れる場所があったのかも?

 それとも、狩りにでも出て戻ってきたのかもしれない。


「ブタニク?」


 ミアさんはオークを豚と認識しているらしい。


「豚肉じゃなくてオークですよ。どこかに生き残りが居たのかな? とにかく戦闘準備からです。僕は結界を作っておきますから、ミアさんはここで待機……は止めて僕について来てください」


 僕はミアさんとの行動を決めた。

 まだまだ臨機応変さが欠けるからだ。


「ヨメ、ワカッタ!」


 ミアさんが返事をすると、こっそりと準備を始めた。

 敵に気付かれないように僕が戦える結界を作っていく。


「よし完成」


 ということで、僕は鉄棒の最後の一本を地面に突き刺し、結界を完成させた。


「ヨメ、ヤルか?」


 ミアさんのやる気は充分だ。

 しかし。


「いえ、少し待ってください」


 僕はそれを制止した。

 オークの一体なら別に問題はないけど、大勢いた場合は厄介だ。

 僕が狙われると少し危うい。

 まずは敵戦力の確認かな?


「じゃあちょっと行って来ますから、あそこで待っててください」


 僕は出口へ向かう道の前でミアさんに待機をお願いした。


「ヨメ、ガンバれ!」


「あ、はい」


 僕は一人で煙が上がっている住居へ向かって行く。

 まさか罠じゃないよなとか、ドキドキしながら住居の中をのぞいてみた。


「ええ!?」


 オークが居ると思った住居の中には、僕の知っている人物が眠っていたのだ。

 それは数日前にファラさんに護衛されて行ったはずの、フェイさんだった。

 一体なぜここに?

 というかどうやって逃げて来たんだろう。


 まあでも、脱走者を見つけてしまったからには捕まえなければならない。

 リュックにはロープもあるし、今の内に縛ってしまおう。

 直ぐに縛れるようにロープで輪を作り、フェイさんをサッと縛りあげるのだけど。


「き、貴様、一体何をしている!? なっ、お前はああああああ、クー・ライズ・ライトオオオオオオオオ!」


 その途中で目を覚まして、気付かれてしまったようだ。


「大人しくしてください。直ぐ終わりますから」


 だからと言って、もう上半身はガッチリ縛ってある。

 あとは下半身を動けなくするだけだ。

 僕はバタバタと暴れる足を押さえつけようと、太腿の辺りに手を伸ばした。


「ま、まさか、ファラだけでなく私までも毒牙にかけようというのか!? させん、させんぞおおおおおおおおお!」


 フェイさんに物凄い勘違いをされている。


「何言ってるんですか、全然違いますからね!」


 僕はキッパリ否定するが。


「私のケツは、私のものだあああああああ!」


 フェイさんは足をバタつかせ。


「あ痛ッ!」


 縛りあげようとする僕の(あご)に、つま先が直撃した。

 後ろに倒れてしまい、その間にフェイさんが壁を使って立ち上がっている。


「……あの、もう魔法も使えないんですよね? その状態じゃ勝ち目なんてないですし、抵抗しない方がいいですよ」


 僕も頭を振って立ち上がり、一応説得してみるのだが。


「抵抗せずに、ケツの穴が護れるかああああああああ!」


 フェイさんは、どうにも話を聞いてくれない。


「だから違いますよ!? そんな気は未来永劫ありませんからね!」


 僕は何度も否定する。

 元から話を聞いてくれない人だったけど、やっぱり全然聞いてくれない人だ。

 それに、腕が使えなくなっているというのに、その表情には余裕がある。

 電撃以外に何かあるのだろうか?


「例え縛られようとも、貴様一人ぐらいどうとでもなるわ! 倒れし魔物よ、我が命に従うがいい! 立ち上がれええええええ、ミノタウロスゾンビイイイイイ!」


 フェイさんの呼びかけに、ミノタウロスが倒れていた地点からドオオオンという音が聞こえた。


「うええええ!?」


 僕は音に振り向くと、そこには死んでいたはずのミノタウロスが起き上がっていた。

 目はこちらを向いてもいないし、息をしている様にも見えない。

 やはりゾンビなのだろう。

 これは屋敷で見た、魔物を操っていた力か?


 いやいや落ち着いている場合じゃない。

 助けを呼ばなければ!


「ぎゃああああああ、ミアさん来てええええ、来てえええええええ!」


 僕はミアさんに助けを求めると、こちらを見ながらずっと待ってたミアさんが動き出した。

 クー・ライズ・ライト (僕)

 ミア・ミスト・レイン(元賞金首)

 アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)

 グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)

 ランズ・ライズ・ライト (父)

 ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)

 フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)

 スラー・ミスト・レイン(僕の上司)

 ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)

 デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)

 ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)

 ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)

 デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)

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