ミノタウロス見つけた!
ミノタウロスから逃げ出した僕達は、最後の行き止まりの道を進む。
やはり何者かの手で通路が作られていて、先に進める道があるようだ。
その道を進むと、オークの住処が見えて来る。
しかしミノタウロスにより全滅させられてしまったらしく、生き残ったものはいない。
まず出口を探し、外に出て行く。
一安心した僕達は、お弁当を食べてまた内部へと戻る。
今度はちゃんと準備を済ませてミノタウロスを待つのだが、ちっとも現れなかった。
ミノタウロスは結局全然来ないし、探しに行くにしてもあの通路内では、アーリアさんとグリアさんは役に立たない。
とはいえ、ミアさん一人に任せるのは少し心配だ。
行きたくはないが、僕も行くしかないらしい。
「じゃあ僕とミアさんがミノタウロスを連れて来ますから、二人共ここで待っていてください」
「ギ!」
僕はそう宣言し、ミアさんと地下通路へと歩き出すのだが。
「クーちゃん、二人で大丈夫!?」
「我が君、私も手伝いたいところなんですが!」
アーリアさんとグリアさんは、一緒に行きたそうな顔をしている。
でもどうせ答えは知っているけど、一応聞いてみよう。
「えっ? 二人共来ますか?」
「「行ってらっしゃい」」
ほら、二人からはやっぱり予想通りの答えが返ってきた。
「じゃあ待っててください」
と言って僕とミアさんは道を進んで行く。
僕は緊張して進み続け、地下通路の道へと出た。
今の所この場所にはミノタウロスは居ないようだ。
ミアさんと二人で分岐路にまで進むが、ここからは少し慎重に行かなければならない。
ミノタウロスが移動しているとなると、僕達が帰れなくなる可能性もあるからだ。
左は格子への道で、右はギルドへの道だ。
「ミアさん、僕が左の道に行ってみますから、右側の少し先で待っていてください。もしミノタウロスが来たら皆の居る場所に戻るんですよ。僕のことは気にしなくてもいいんで」
僕はミアさんに対応を伝えた。
「ヨメ、ダイジョウブか?」
ミアさんは首をかしげて心配してくれている。
「はい僕は大丈夫です。もう一度言いますけど、僕の方ではなくて、アーリアさんとグリアさんが居るあの広いところに行くんですよ?」
「ワカッた!」
ミアさんは手を挙げてピョンと跳んでいる。
ってことで、僕は一人で左の道を進みだす。
今のところミノタウロスが居るような音は聞こえない。
一歩一歩確認しながら進み続け、出口であった行き止まりにまで到着した。
犠牲になったオークの姿も消え果てて、ここにはもう何もない。
食べられてしまったのだろうか?
もし逃げられなかったらと考えると少し震えがくる。
道を引き返しミアさんと合流しようとしたのだが。
「ヨメ、ツレテきた!」
「えっ?」
分岐路に着くと、ミアさんは広場への道を走って行く。
その後ろには、メイスを振り上げたミノタウロスが走って来ていた。
「どわあああああああああああああ!」
慌てた僕は、ミアさんと一緒に広場へと誘導して行く。
しかし、考えるまでもないが、ミアさんの方がとても足が速い。
置いて行かれた僕がどうなるかといえば。
「ブモオオオオオオオオオ!」
「ぬああああああああ!?」
完全にターゲットにされていた。
通路が狭いから攻撃パターンは限られるけど、僕が一発当たれば死ねる攻撃だ。
「ぎゃああああああ、ミアさん待ってえええええええ!」
ミアさんの姿はもう見えない。
確かに気にしなくても良いと言ったけど……もうこのまま逃げ切るしかないだろう。
「ンモオオオオオオ!」
「うはああああ!?」
僕の頭上すれすれに、ミノタウロスの巨大なメイスが薙ぎ払われた。
ドカーンと地下通路の壁に命中し、瓦礫がバラバラと落ちて来る。
命の危機を感じた僕は、火事場の力で人の領域を突破した。
「にゃああああああああああああああ!」
ただし、後衛の僕が限界突破しても、そんに足が速くなるわけではない。
ギリギリなやり取りが長く続き、オークの巣へ続く横道へ。
逆にスピードが出過ぎて行きすぎてしまったが、指を洞窟の角にひっかけ速度を殺す。
その横道へ大振りに振られたメイスの一撃が。
あのまま行ってたら頭が吹き飛んでいたようだ。
冷や汗が垂れるけど、止まったら死ぬ。
戻されるメイスの下を滑り込み、僕は通路の先へと進む。
「うおおおおおおおお!」
「モオオオオオオオオオ!」
もうあとは道を進むだけだ。
しかし、この道はそこそこ長い。
全力で走っても後六分。
僕の体力が持つのだろうか?
でもやるしかない!
絶対やるしかない!
ミノタウロスの攻撃を、壁に張り付きやり過ごし、跳んでしゃがんで逃げ躱す。
「で、出口だ!」
もう広場への道は見えている。
あそこに行けば安心安全だ。
そう思った僕は、ホッと一息ついたのだが、安心してしまったが故に限界を超えた力が抜けて行く。
「どあああああああああああ?」
足が絡まってしまったけれど、もうこのまま行ってしまおうと体を丸める。
ゴロゴロ回転してもう少しという所で、ミノタウロスのメイスが地面から突き上げられた。
「いったあああああああい!?」
それは僕のお尻に直撃し、ボールのように打ち上げられる。
広場の中央付近にポテっと落ち、限界を迎えて力尽きてしまう。
でも僕の代わりに、元気な三人がミノタウロスの前に立ちはだかった。
「来たわねミノタウロス、お姉さんが相手してあげるわ」
待ちに待って体力も充分にあるアーリアさんは、ミノタウロスに向かって防御の体勢をとる。
「我が君、ここまでこればもう安心だ。後は私達に任せてくれ!」
グリアさんは巨大な剣を肩に担ぎ、準備万端なのだろう。
「ウシ、ニク! ニクー!」
ミアさんは肉が食べたいらしい。
さあ、ここは僕が作った結界の内側だ。
ミノタウロスがここに足を踏み入れた時、もう数値は現れている。
予想より少し多い数字の百二十が地に落ちていた。
だからあの数値を使い、僕の能力を強化するだけである。
では始めよう。
この息が整って、体力が回復したなら。
「うひぃ、はひぃ、ぶはぁ、ふぅ、はふぅ、うげ、ゴホ、ゴホ……」
すでに虫の息であるから、邪魔にならないように転がって壁際に行くので精いっぱいなのだ。
しかし転がるのも中々に大変で、底をついた体力が零に近くにまで減っている。
とりあえず五分ぐらいは動けないだろう。
心の中で三人を応援しておくとしよう。
「クッ、あのメイス、両手で受け止めないと無理そうだわ!」
「だが止めてしまえば私が強烈な一撃を入れてやれる。アーリア、一瞬でも隙を作ってくれ!」
「ウシ、タオす!」
といっても、壁際に顔を向けているから状況が分からない。
なんとかして向うを向きたくても、僕の体が動かないしどうしよう。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
いっそ数字の力を使って体力全開にしようかとも考えたが、時間が来たら元通りだ。
それだとあんまり意味がない。
「くうううう、今よ、グリアちゃん!」
「ああ、ここだあああ!」
「ウシイイイイイイイイ!」
「ブモオオオオオオオ!」
見えないからサッパリ分からないが、たぶん善戦しているのだろう。
「ンンモオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「きゃあああああ……」
「アーリア!? だったら、体勢を立て直すまで私が!」
「ワタシ、ヤル! ウィーアー・グリーアー!」
ん?
確かこれは速度を上げる魔法だったかな?
見えないけど、激しい戦いが続いている気がする。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」
大分楽になってきた。
いや、まだ動けないけど。
「ブオオオオオオオオオ!」
「今度は止めて見せるわ!」
「おおおおおお、私の一撃をくらええええええええええ!」
「ギギギギギ!」
振り向けるぐらいは回復で来ただろうか。
試してみよう。
「うぐぐぐぐ、ぷはぁ!」
必至で振り向くと、アーリアさんとミノタウロスは傷だらけになっている。
治癒能力もなくなっているし、僕が居なくてもたぶん勝てるだろう。
しかし、何もしてないというのは罪悪感がわいて来る。
「ブモオオオオオ!」
ミノタウロスが振り上げたメイスを、アーリアさんに向けて振り下ろす。
「ふううううう!」
それはアーリアさんの両手で受け止められ、体をゆっくり沈めながら勢いを殺している。
押し負けそうになると、攻撃を受け流してやり過ごしていた。
そのやり取りはたったの五秒ほどではあるが、他の二人の攻撃タイミングとしては充分だろう。
「うおおおおおおおおおおお!」
グリアさんの巨大な剣が、ミノタウロスの太腿を切り裂く。
「ウシニクウウウウウ!」
ミアさんは風のように移動し続け、ミノタウロスの全身を斬りつけていた。
もうそろそろ倒せそうだし、無理をしてでも行くべきかもしれない。
「フゥゥゥゥ……ああ、落ち着いた。じゃあ行こっかな」
僕に使える武器はない。
アーリアさんが攻撃を引き受けてくれるから、攻撃にだけ集中すればいいだろう。
だから、力の値は百で、秒数は二十ということで!
「くうううううう、早く決めちゃって! お姉さんそんなにもたないわ!」
アーリアさんは、ミノタウロスから横に薙ぎ払われた攻撃を、足を滑らせながら受け止め続けている。
「これで終わらせる。たあああああああああ!」
それを見て、グリアさんが最後の攻撃をしかけようと走り出す。
「ギギギギギギギギギ!」
ミアさんは後方に下がり、勢いをつけて走り出した。
そして僕も。
「うおおおおおおおおお!」
拳を握って突っ込んで行く。
アーリアさんに武器を押さえつけられたミノタウロスに、三方向からの攻撃が叩きこまれた。
「ブオオオオオオオオオォォォォォォォ……」
そしてミノタウロスは、地に膝をつけ、ドオオオンと体を倒した。
ふう、最後に間に合ったから良しとしよう。
で、戦ったのを元に作った資料がこれだ。
名前 :ミノタウロス
レベル:40
HP :670
MP :70
力 :268(測ってないので予想値)
速 :70
大 :300(そういえば姿をボードに写してない)
危険度:7
技 :メイスの一撃。メイス薙ぎ払い。
自動治癒。
考察 :顔が牛の巨人で、手には体に見合ったメイスを持っている。
大きなメイスをブンブン振り回す力は相当に強い。
強烈な一撃を受け止めるのは、それなりの実力がいるだろう。
自動治癒がある為、小さな傷はものともしない。
倒すには相当な攻撃力が必要だ。
迷宮や地下に良く出現するという噂がある。
牛なのに肉食。
クー・ライズ・ライト (僕)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
地下通路の道でもうちょっと書こうと思ったら、雰囲気がガチ系になったので中止になりました。




