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地下通路探索3

 相変わらず怯え続ける二人を引き連れ道を進む僕とミアさん。

 先の分かれ道でまたしても不正解の道を選んだ。

 先に進んだミアさんは敵を発見するのだが、大きなミノタウロスらしい。

 敵の凶暴さに脱出を試みようと出口まで逃げるのだが、扉を開く前にカギが壊れてしまう。

 絶体絶命の僕達はオーク君を犠牲にして無事に道を引き返した。

 ミノタウロスから逃げ出した僕達は、最後の行き止まりの道を進んでいる。

 格子が壊されていないのなら、この道が抜け道になっているはずだ。

 そうじゃないと僕達が困る。


「やっぱり抜け道がありました! あとはもうこの道にかけるしかないです!」


 発見したのは、地図にない横道だった。

 僕達も余裕で通り抜けられるぐらい広い。

 あのミノタウロスが追って来ると厄介なので、直ぐに道を進んで行った。

 どうやらこの通路はかなり新しいものらしく、頻繁に見られた虫の姿が消えている。


「! ……ここ、黒鉄虫の気配がないわ! グリアちゃん、私達助かったのよ!」


 アーリアさんはシュババっと首を動かしながら、黒鉄虫から逃げられたことに歓喜している。


「神様、ありがとう! 我が君、私はもう平気だ。どんな魔物が来ても叩きのめすから!」


 それを知ったグリアさんはシャキッと立ち直り、凛々しかった姿を取り戻した。

 やる気は充分だろうけど、この道にも黒鉄虫が入り込んでいたらポンコツになるだろう。


「ウシ、ウマイぞ?」


 そしてミアさんは、まだミノタウロスを狙っているようだ。


「ミアさん、もう一度言いますけど、あれは食べないですよ」


「ウシニク、ホシイ……」


 ミアさんの口元からはヨダレが垂れている。

 もう地下通路に入ってから二時間ぐらい経っているし、お腹が空いたのかも知れない。


「それはファラさんが帰って来てからお願いしてください。今の僕には現金が足りませんので」


「ウウゥ、ワカッタぞ」


 ガッカリしているミアさんだけど。


「安心してミアちゃん、ここから出たらお姉さんがご馳走してあげるわよ! さあ早くついて来て!」


 今や怖いものが消え去って調子に乗ったアーリアさん。

 ミアさんにお肉をご馳走してくれるらしい。


「ニク、タベる!」


 それに喜び飛び跳ねるミアさん。


「待てアーリア、私が先頭を行こう。今まで休んでいた分取り戻さなければな。我が君、見ていてください私の活躍を!」


 先頭を行くアーリアさんに、いいところを見せたいグリアさんが申し出た。


「グリアちゃん、だったら競争よ! さあ行くわよとおおおおおおお!」


「ずるいぞアーリア! でも負けないから!」


 二人が前を走り、それを追ってミアさんが続く。

 さて、僕も行くとしようか。


 僕達が歩き続けること数十分。

 一本道がクネクネして続いている。

 今の所、魔物が居るような気配はしていないのだが。


「クーちゃん大変よ! ここ魔物の巣だったわ!」


「まさかこれほどの規模の巣があるとは」


 先頭を進む二人が何かを発見したようだ。


「マジですか!?」


 二人の声に反応して、僕も急いで前に進む。

 出た先には、広い空間がある。

 その場所は確かに巣と言える場所だった。

 無数に造られた丸い住居のような穴や、広場の至る所にオークが転がっている。


 だが、その全てが倒されているようだ。

 傷口からみると、あのミノタウロスがやったものだろう。


「我が君、ここに道がある。きっと外に続く道だ。さあ行ってみよう!」


 っとグリアさんが僕に掌を向けている。

 これがファラさんだったら殴られるし、ミアさんならカジられるだろう。

 アーリアさんなら抱きしめられた後に自分の物にしようと罠を仕掛けて来る。

 グリアさんは……?


 危険度は不明だし、やめておこう。


「はい、行きましょう」


 そう言って僕は横をすり抜けて行く。


「我が君いいいいい! 手を、手をおおおおおおおおおお!」


 涙ながらに訴えて来るが、この地下通路に入ってから見慣れたものだ。

 やはりやめておこう。

 僕達三人が進むと、グリアさんも後ろをついて来た。

 たまにいるスライムを叩きながら道を進むと、外の光が見えて来る。


「やっと出れた」


「ウゥ、マブシイぞ」


 外に出て景色を見渡すと、遠くに町が見えている。

 あれはきっとローザリアの町だろう。


「え~っとここは?」


 僕は地図を見て場所を確認する。

 今居る場所はというと、ローザリアの南、かつてフェイさんの屋敷があった近くだろう。

 五本の木が生えた中心地に、大きな岩の影に隠された場所である。


「ああ、私達は助かったのね」


 アーリアさんの右目からツーっと涙が垂れた。

 主に黒鉄虫が嫌だったのだろう。


「アーリア、この仕事は大変なものだった。この場所は二度と入れないように封印をしよう!」


 グリアさんは大きな剣を構え、洞窟を崩そうとしている。


「わかったわ、グリアちゃん!」


 アーリアさんもそれに賛同するのだが、ここは地下通路の唯一の出口である。


「壊したい気持ちは分からなくもないですけど、僕達にそんな権限はないですからね。カギが壊れてもここは大事な脱出路なんですから。壊すにしてもスラーさんに相談してからです」


「「えええええええええ!?」」


 二人から驚きの声が聞こえる。


「それにですよ、もしここを壊してしまったら、ミノタウロスの退治にギルドにある扉を通らないといけなくなりますよ?」


 僕はもう一言いっといた。


「「「えええええええええええええ!?」」」


 今度は二人と一緒にミアさんまで声を出している。

 楽しそうだと思ったのだろう。

 まあでも、ミノタウロスの討伐に駆り出されるのは確実だろう。

 ここは冒険者にも秘密にされた脱出通路なのだから。


「え~っと、ここかな?」


 僕は地図に今の場所を書き記す。


「じゃあもう一度戻りましょうか。どうせミノタウロスも退治しなきゃいけないですし」


「クーちゃん、お姉さんはそれには反対よ! 一度帰って体を洗ってから出直しましょう!」


「そうだぞ我が君! 私達の心情も考えてくれ!」


「ワタシ、オナかヘリヘリ」


「確かにお腹は空きましたね。じゃあお弁当を食べたら戻りましょう。ちなみにお二人の意見は却下で」


「クーちゃん、まさか言うことを聞いてほしいなら今晩付き合えっていうのね? お姉さんそれでもいいわ! だから、ねっ。ねっ?」


「確かに仕えるとは言った。だが体まで……仕方ない。今回だけだ。今回だけだぞ! だから、お願いだ我が君! 私を町に帰してくれ!」


 そこまで黒鉄虫が嫌なのか?

 しかしこれは罠だ。

 受け入れてしまった次の日には、ギルド内部に拡散されるだろう。

 アーリアさんにはそんな前科がある。


 僕の平穏な暮らしの為にも絶対聞いてはいけないのだ。


「ふう、ごめんなさい。要りません。それに帰ったらあの扉から入らなきゃいけないですよ? 二度手間になりますから」


 僕はキッパリ断った。


「クーちゃん酷ーい!」


「我が君、私では気に入らないのか!?」


 今度は何故か怒り出すアーリアさんとグリアさん。

 しかし僕は気にせずお弁当を取り出した。


「ミアさんご飯ですよー」


「メシ、クウ!」


 僕はミアさんにお弁当を手渡し、美味しく食べていた。


「ヨメ、ウマイな! ウマイな!」


「美味しいですね」


「お二人の分もありますから置いておきますね」


 そんな僕達を見て、怒っていた二人もご飯を食べ始める。


「クーちゃんったら、お姉さんの胃袋を掴もうっていうのね。……そんな手には……クーちゃん大好き!」


「このような物で私は……クゥ、天の恵みか……」


 ちなみにこれはギルドが作ってくれた物で、僕が作った物ではない。

 そんな物にチョロくやられてしまったらしい。

 美味しくお腹を満たした僕達は、また洞窟に入ろうとしていた。


「あそこは黒鉄虫も居ないし、もう覚悟を決めてください」


 僕は二人の説得を続けていた。


「クーちゃん、お姉ちゃん頑張るわ。でもその代わり、私のお願いを聞いて?」


「我が君、もしこの戦いに勝つことが出来たなら、私の願いを聞いてください」


 アーリアさんとグリアさんが真剣な表情で見つめて来る。

 ここは僕も本気で答えなければならないだろう。


「嫌です」


 僕はキッパリそう答えた。


「クーちゃあああああああん!」


「我が君いいいいいいいいい!」


 何時も通りのやり取りである。

 洞窟の道を進み、また戻って来たオーク集落跡地前。

 今の所、ミノタウロスの姿は見えない。


「どうやら、まだ向う側で迷ってるんでしょう 今の内に戦いの準備をしましょう」


 僕は皆に指示を出した。


「そうね、お姉さんも賛成よ。じゃあ始めましょうか」


 アーリアさんも、もう大丈夫だろう。


「ワタシ、テツだう!」


 ミアさんも手を貸してくれて。


「ああ、手早く済ませよう。我が君、何か有れば言ってくれよ。直ぐに飛んで行くからな!」


 グリアさんも戦闘体勢は整っているようだ。

 僕達四人は手分けして戦いの準備を始めた。

 足場の確保や結界の準備、地形の再確認である。


「……結界の内なる治療の力よ、数値となって強さを示せ。ナンバーズ・フィールド! ……ふう、終わった」


 これで結界の準備は万全。

 二人の戦意も充分だ。

 ミアさんも元気だし、あとはミノタウロスが来るのを待つばかり。

 そして三時間経つが、一向に来る気配がない。


 迷ってるんだろうか?

 頭が牛だし、軽い道を覚える知能もないのかもしれない。

 クー・ライズ・ライト (僕)

 ミア・ミスト・レイン(元賞金首)

 アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)

 グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)

 ランズ・ライズ・ライト (父)


 虫の名前は黒鉄虫に変更しました。

 ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)

 フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)

 スラー・ミスト・レイン(僕の上司)

 ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)

 デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)

 ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)

 ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)

 デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)

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