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地下通路探索2

 地下通路を探索しようとするのだが、二人は一向に歩いてくれない。

 僕は三十分説得を続け、なんとか進んでくれることを納得してくれた。

 しかしまたトラブルがあり、二人は入り口に戻って行くし、もう置いて行こうと決める。

 僕とミアさんは進もうとするのだが、二人は置いて行かれることにも恐怖を覚えて、僕達を追い掛けて来た。

 全然進まないこの探索も、やっと始まるかなと地図を広げた僕。

 単純な道に、とりあえず行き止まりの道を進んで行く。

 やっぱり行き止まりで何にもないのだが、そこでまたしてもトラブルが。

 そのトラブルを解決すると、グリアさんは僕のことを我が君と呼び始めた。

 グリアさんは僕の服の端を掴んでいる。

 まあ腕を掴まれるよりは随分マシだろう。


「わ、我が君、黒鉄虫以外は護るから、黒鉄虫からだけは護ってくれ!」


 グリアさんは震えながらも何か期待された眼差しを向けている。

 僕だって積極的に触りたくないし嫌なのだけど。


「クーちゃん、お姉ちゃんも……護って」


 アーリアさんは腰をかがめ、上目づかいで僕に頼んでいた。

 もちろん足はガクガクと震えている。

 泣き叫んでも駄目だと知ったから今度は色香を使いだしたのだろうか?


 アーリアさんはいつも通りだとして、グリアさんはこの通路から出たらどうなるか分からない。

 今までのことを引っくり返し、ここぞとばかりに反撃に出るかもしれない。


「そーですねー」


 僕は適当に返事をして前に進んで行く。

 ちなみに、荷物が二つくっ付いて早く動けない僕より先に、ミアさんが先行している。


「ヨメ、ワカレみち、アッた!」


 安全を確認したミアさんは道の先を指さした。


「え~っと、そこの道は……また左ですね。じゃあ行ってみましょう」


 とうぜんだけど、左の道は行き止まりだ。

 僕はその道を進もうとするのだけど、足を上げても一向に進んで行かない。

 なぜならば、後ろから二人に掴まれているからなのだ。


「お姉ちゃん、クーちゃんのことは信じているわ。でもクーちゃんったら地図読めないのよね?」


「我が君、地図を確認させてくれ。私が確認をしてみるから」


 やはり二人共簡単には騙されてくれないようだ。

 だとしても、見せたらバレるので見せる訳にはいかない。


「大丈夫です、合ってますから」


 僕は懐に地図をしまって再び進もうとするのだけど、やはり足は進まない。

 二人共そんなに地下通路から出たいのだろうか?


「ふぅ、そんなに僕が信用できないのなら見てもいいですよ。じゃあチームとしては解散ですね。頑張ってくださいお二人共」


 僕は懐から地図を取り出し、丸めたまま二人の前に突き出した。


「「えっ?」」


 二人は地図を片手で受け取り、僕の服を掴んだ手をポロっと手放した。

 もう地図の内容は頭に入っているし、あとは迷う事もない。


「ではお二人共、いってらっしゃーい」


 僕は軽く手を振り、左の道を進むのだが。


「お、お姉ちゃん、クーちゃんを信じようと思うの! だから……」


「我が君、私は貴方を信じている! だから……」


「「見捨てないで!」」


 二人共ついて来てくれたけど、この道は間違った道なのだ。

 進んで行ったら二人にバレるけど、さてどうしよう?

 ……まあその時になったら考えればいいだろう。


「ヨメ、テキダぞ!」


 先に行ったミアさんの声が聞こえる。


「おっと、魔物が入り込んでいたみたいですね。二人共、出番ですよ!」


「……クーちゃん、ここで戦わなきゃ駄目なの? お姉ちゃん、怖い……」


 黒鉄虫のはいずり回るここでは、アーリアさんはやりたくないみたいだ。


「……我が君、確かにさっきは黒鉄虫以外任せろと言いましたが、ここではちょっと……」


 グリアさんも同様だった。

 この地下通路に入ってから二人ともポンコツに成り下がっている。

 自分達で脱出してくれたら楽なのに、それも出来ないとは。


「やっぱりもう帰ってください」


「「やだあああああああああ!」」


 どうにもならない二人を無視し、僕は結界の為の二つの鉄棒を地面に突き立てた。

 そして直ぐに左の通路を進んで行く。

 通路の先にはミアさんが魔物と戦っている。

 相手は……。


「え、ミノタウロス!? まさか鍵が壊された?」


 僕はその魔物の姿に驚いた。

 巨人の体に牛の顔がついた姿は、とても有名である。

 ただ、人々に知れ渡った魔物だとしても、その能力値は謎が多い。

 防御職であれ、手に持つ大振りのメイスに耐えるのは困難だからだ。


 そのミノタウロスを相手に、ミアさんは優位に戦っているかに見える。


「ウシ、タベる!」


 今の所は洞窟の狭さを利用して少しずつダメージを与えているようだ。

 ただ、あれは断じて牛ではない。


「ミアさん、勘違いしちゃダメです。あんなもん牛じゃないですからね!」


「エッ? ウシチガウのか!?」


「ンモオオオオオオオオ!」


「……ウシダぞ?」


「違います。あれは顔が牛なだけですから!」


「ウウウ、ムズカしい……」


 ミアさんは攻撃をしながら頭を抱えている。

 少し悩ませてしまったらしい。


「が、頑張って、ミアちゃん。お姉さん応援してるわ!」


「クッ、黒鉄虫さえ居なければ私もいけるのに……」


 ポンコツ二人の言葉は聞き流すとして、あのミノタウロスはミアさんだけで倒せる魔物ではない。

 つけられた傷も次第に塞がって無傷に戻っている。

 これでは延々に倒せないだろう。


「きゃあああ、黒鉄虫イイイイイイイ! クーちゃん助けてえええええ!」


「いやああああああああ! 我が君、我が君いいいいい!」


 この二人が使い物になれば別なのだけど。

 しかし状況は変わらないし、何時までも言っていても仕方がない。

 今は僕が参戦して勝てるかどうかが重要だ。


「ウシイイイイイイイ!」


「ブモオオオオオオオオ!」


 ミアさんと僕が全力で戦って勝てなければ意味がない。

 一応ここに結界を作り出せば、ミノタウロスの回復能力を奪うことは出来るが、見る限りあまり強いものではないらしい。

 予想値として、増えて百が精々だろうか。


 百の数字で勝てる方法は……。

 駄目だ、どう考えても勝てる未来が見えない。

 いっそこの地下通路から脱出したら。


「そこよ、いいわよミアちゃん!」


「右から攻撃が来るぞ。気を付けてミア!」


 周りにビクビクしながら応援を続けるこの二人も、外に出たら使えるようになるかも知れない。

 しかしそれには、この地下通路に他の魔物が居ないことが条件だ。

 もしいた場合は、この僕を含め頼りない二人に任せなければならない。

 まあこの状況を脱出するには、やるしかないだろう。


「ミアさん、外へ誘導しますから付いて来てください! お二人もお願いしますよ本当に」


 僕は三人に声を掛けた。


「ワカッタぞ!」


 ミアさんは跳び回りながら元気に返事をしている。


「う、うんお姉さんに任せて」


 任せられないアーリアさんが任せてと言っている。


「我が君、出来る限りは、出来る限りだけなら頑張るよ!」


 きっとできないグリアさん。

 逃げ遅れても助けられないですからね。


「じゃあこっちです」


 僕は先頭を走る。

 後ろからアーリアさんとグリアさん、そしてミアさんがミノタウロスを連れて来た。

 急いで結界の為の鉄棒を引き抜き、分岐路で正解の道を選ぶ。

 敵は……。


「うわ、居たし!」


 僕が見つけたのは腰ぐらいまであるスライムだ。

 本来僕達にとっては相手にもならない存在だが、ゼリー状の体内には見たことがあるような虫の足や翅っぽいものが無数に浮いている。

 このスライムは、黒鉄虫にとっての捕食者なのだろう。


 是非頑張ってもらいたい所だけど、二人の足が止まっては困る。

 ここは僕が!


「たああああああ!」


 走る勢いのままに、持っていた鉄棒を叩き落した。

 スライムはパンと弾け、僕の体が汚れてしまう。

 でもそれを気にする時間はない。

 後ろからは。


「きゃあああああ!」


「あああああ、我が君、我が君いいいいい! 一緒に、一緒にいいいい!」


 ポンコツ二人が泣きながら走って来ている。

 凶悪そうなミノタウロスより、やっぱり黒鉄虫の方が嫌みたいだ。

 でもこの調子なら別に問題は……。


「おわぁ、何で出て来るんですか!?」


 僕が最後の別れ道を右に曲がった瞬間、目の前にオークを発見してしまう。

 こちらに気付き、武器を構えようとするのだが、後ろから来るミノタウロスを見て逃げて行く。

 オークを追い掛けているような状態で、妙な行列になりながら地下通路の出口を発見した。

 先には大きな格子に人が通れる扉がある。

 でもそれは壊されていなくて、鍵は掛けられたままのようだ。


「カギカギカギカギカギカギカギカギィ!」


 僕は懐にしまってあった出口の鍵を取り出す。

 オークは先に格子の前に到着していて、なんとか開けようと頑張っている。

 でもその程度で開けられる物ではなさそうだ。

 オークが慌てふためいている間に、扉についた鍵穴に鍵を差し込んだ。


「よし、これで!」


 バキィっと、扉を開ける前に、カギが根本から粉砕した。

 何故今!?

 これじゃあもう開けることが出来ないじゃないか。


「ちょ、えっ、あっ、えええええ!?」


 格子を叩くオークと混乱する僕。

 一瞬口を開けて止まるしかなかったが、僕は首を振って次の行動を考える。


「開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けてええええ!」


「ああああああ、もう嫌だ! 我が君、助けてええええええ!」


 泣き叫びながら向かって来るアーリアさんとグリアさん。


「ウシ、ニク! ウシ、ニク!」


「ブオオオオオオオオオオオオ!」


 以外と楽しそうなミアさんと、でっかいミノタウロス。

 後ろはもう混雑状態だ。

 僕がやれることといったら……。


「こ、こうなったら! たあああああ!」


 オーク君に犠牲になってもらうことぐらいだろう。


「ピギイイイイイイ!?」


 怯えるオークの背中を掴み、全力でミノタウロスの前にまで引き倒した。

 確実に倒せる絶好の得物を得たミノタウロスは、僕達より先にオークに狙いを定めた。


「今の内に逃げますよ!」


「ああああああああああああ!」


「我が君いいいいいいいいいい!」


「ウシ、ウシ!」


 ミノタウロスが大きくメイスを振り上げている間に、僕達はその横をすり抜けた。

 クー・ライズ・ライト (僕)

 ミア・ミスト・レイン(元賞金首)

 アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)

 グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)

 ランズ・ライズ・ライト (父)

 ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)

 フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)

 スラー・ミスト・レイン(僕の上司)

 ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)

 デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)

 ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)

 ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)

 デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)

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