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魔物より怖いもの

 フェイさんを連れ帰った僕。

 スラーさんと話し、フェイさんの今後を考えた。

 西の王都に護送されることになり、ファラさんはそれに同行して行く。

 僕は町に残って仕事を続けなければならないようだ。

 ファラさんと一度チームを解消してしまった僕は、ミアさんと一緒に別のチームと合流している。

 ちなみに僕達が入ったチームは、何故か勝手にクジ引きで決められていた。


「クーちゃん待っていたわ、お姉さんのチームへようこそ」


 まあ知り合いであるアーリアさんの所だったので多少は気楽だけど、もう一人は喋ったことがない人だ。


「よろしくな!」


 爽やかに返事をしたのは、グリア・ノート・クリステルという女の人。

 かなり背が高く、茶髪で片目を隠している。

 怪我をしている様には見えないから、そういう髪型なのだろう。

 僕から見ても随分と凛々しく見える人だ。


 ギルドに居る人なので、僕としても多少の情報は知っていた。

 アーリアさんが防御担当だとすると、グリアさんは攻撃を担当している。

 前衛のグレートソードという職業だ。


 名前にソードとあるが、別に剣だけを使う訳ではない。

 武器種問わず、人が持てる限界ギリギリの超重量武器を扱うのを得意とする。

 今グリアさんが持っているのは、人の大きさぐらいあるぶっとい剣。


 他の職業よりも圧倒的に力持ちで攻撃特化だ。

 ただし、両手武器を使うから隙も大きい。

 逆に言えば、防御の手段があれば力強い攻撃を発揮し続けるので、アーリアさんとの相性はいいだろう。


「ワタシはミアだ! ヨロ!」


 ミアさんはピョンとジャンプして手を挙げた。

 ファラさんから勉強を強要されていたから多少言葉を喋れる様になっている。

 四人となった僕達は、町の周りを回ってチームワークを上げようとしていた。


「ミアさん、ローゼリアリザードが来ましたよ。もう調査済みなので倒しちゃってください!」


「ウン、ワカッタぞヨメ!」


 僕の指示でローゼリアリザードに突っ込んで行くミアさん。

 その近くに更に敵を見つける僕。


「ハッ?! 彼方からはオークファイターが三体向かって来ています! お姉さん、グリアさん、お願いします!」


「了解よクーちゃん!」


「ああ、私達に任せろ!」


 という感じで、アーリアさんとグリアさんは指示に従っている。

 別に僕はサボっているわけではない。

 直ぐ戦闘が終わってしまうから出番がないだけだ。


「ミアさん、あっちからもオークファイターが来ています。今日は大量ですね!」


「マカセろ!」


 今日はチーム感覚を養うために、四人で町の外を回っているだけだ。

 まだ慣れないミアさんにとっても慣らしは必要ものである。

 そんな日が三日続き、随分と連携が取れて来た頃。


「地下通路の調査ですか? 下水ですよね?」


 僕はスラーさんから、少し難易度の高い仕事を受けていた。


「いえ、違います。ギルドの地下にある非常用の通路ですよ。あそこも随分放置していますからね。これもいい機会ってことなのでお願いします」


 ギルドにある地下通路とは、万が一町が襲われて結界が壊れた時の為の脱出通路のことだ。

 秘密裏に管理されているので、存在を知っているのはギルドの人間だけだろう。

 しかしそれ故に冒険者の出入りもなく、僕も入ったことはない。


「じゃあ通路に入り込んだ魔物の退治ですかね?」


「そうですね。それと並行して地下通路の調査もお願いします。変な魔物が穴を繋げている可能性もありますから」


「はい分かりました。じゃあ皆さん大丈夫ですよね?」


 僕は一緒に行く三人に意思を確認した。


「ヨメ、ワタシはイイぞ!」


 ミアさんはピョンピョン跳んで返事をしている。


「大丈夫よクーちゃん。お姉さんに任せなさい」


 アーリアさんは僕にくっ付いて来た。


「私に問題はないよ。アーリアが行くのなら私も行くさ」


 グリアさんも大丈夫だということで、僕達はスラーさんに地下通路への道を案内された。


「さあここです」


 そこはギルドの中にある僕達が入れないかなり奥の部屋。

 進んで行くと、スラーさんは鍵のかけられた頑丈な扉の前に足を止めた。

 ここが地下への道らしい。


「ではお願いします。皆さんが入られたらこの扉は再び封印されますから、皆さんは出口から脱出してくださいね。ではこれが出口の鍵です。無くしてしまえば二度と出れませんから気を付けてください」


 僕はスラーさんから地下通路の地図と出口の鍵を受け取った。

 なくさないように大事にしまわなければ。


「あ、はい」


 そして扉には鍵が掛けられ出ることが出来なくなった。

 一応確認の為にノブを回して見るが、ちゃんと鍵がかかっている。


「クーちゃん、お姉さんが先に行くわね」


「敵は私が倒すから、安心していいよ」


 アーリアさんとグリアさんの二人も相当に自信がありそうだ。


「はい、お願いしますねお二人共」


 僕はそう返事をして、地下への階段を進んで行く。

 アーリアさんが先頭に立ち、グリアさん、ミアさん、最後尾には僕。

 しかし、先頭を進む二人が、いきなり引き返して来た。


「いやああああああああ!」


「ちょ、まっ、きゃああああああああああ!」


 先頭のアーリアさんとグリアさんの可愛らしい悲鳴が聞こえ、勢いよく僕の横を通り抜けて行く。


「出して出して出して出して!」


「開けて開けて開けて開けて開けて!」


 二人はもう閉められたてしまった扉を叩き、スラーさんを呼んでいる。

 でも向うからの反応は無く、たぶんスラーさんは部署に帰ってしまったのかもしれない。


 でもアーリアさんが逃げるなんて、どんな魔物が?

 ゴクリと喉を鳴らし前を確認するも、何もない。

 ……いや、何か小さな物体が無数に動いている。


「こ、これは……黒鉄虫ですか?」


 カサカサと動いている黒鉄虫は、一匹や二匹ではない。

 僕の足元を抜ける数は百匹を優に超えている。

 ちなみに黒鉄虫とは、台所とか色々なところでみかけるアレである。

 嫌いな人にとっては相当キツイ光景だろう。

 もしかしてこの扉に鍵がかけられているのって黒鉄虫が逃げ出さない為だったり?


「ゴチソウだ。ワタシくう!」


 ミアさんは一匹を手に掴み、キラキラした表情で口に運ぼうとしている。

 別に害がないならいいのだけど、後ろに居る二人に引かれると困る。

 これは止めた方がいいだろう。


「駄目ですよ絶対。こんなもの食べたらお腹壊しますからね」


 僕はミアさんの肩に手を置き、食べるのを引き止めた。


「エー、オイシイぞ」


 じつはもう食べたことがあるのだろうけど、その辺はツッコまない方が幸せだろう。


「お姉さんアレだけは駄目なの! 開けて、開けて、開けて、開けて、開けて!」


「やだ、帰る。お家に帰る! 私を帰してええええ!」


 アーリアさんとグリアさんは、扉を叩いて泣きわめいている。

 あれだけ自身がありそうだったのに三秒で戦力外となってしまった。

 しかし何時までもここに居てもスラーさんは戻って来ない。

 この部屋自体かなり奥にあるし、そもそも人が来ない場所なのだ。


「あのお姉さん、ここで待っていても帰れませんから、もう先に進みましょうよ。ここから出ないと黒鉄虫は居なくなりませんよ」


「やだやだやだやだやだやだやだやだ!」


 僕はアーリアさんに声をかけたのだけど、しゃがみこんで首を振って否定された。


「あの、グリアさん、話しを……」


「きゃああああああ、いやああああああ、だめえええええええ!」


 グリアさんにも声をかけたのだけど、しゃがみ込んで両手で耳を塞いでいる。

 これでは話を聞いてくれないだろう。

 僕は泣いている二人を慰めながら三十分ほど説得し続けた。

 クー・ライズ・ライト (僕)

 ミア・ミスト・レイン(元賞金首)

 アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)

 グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)

 ランズ・ライズ・ライト (父)

 ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)

 フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)

 スラー・ミスト・レイン(僕の上司)

 ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)

 デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)

 ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)

 ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)

 デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)


 ミアさんの言葉で、カタカナ文字の中に平仮名が混じってるのは仕様です。

 虫の名前は黒鉄虫に変更します。

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