フェイさんの能力値
フェイさんと出会ってしまった僕達。
わちゃわちゃした戦闘も、僕達の勝利で終わる。
地上に落下するフェイさんを娘であるファラさんが受け止めた。
無事にフェイさんを倒した僕は、一応その能力値を資料に書き込んでいる。
鎧がなくなってもう能力は使えないかも知れないが、この数値は魔王の力を推し量るものだ。
充分に有用な物になるだろう。
名前 :フェイ・ステラ・ラビス
レベル:42
HP :440
MP :500
力 :65
速 :85
大 :172
危険度:2 ただし、ファラさんに関することになると危険度10
技 :雷の魔法だけを使う。
確認されている魔法一覧。
サンダー。クラウド・ザ・ストライク。デビルズ・ライトニング。
パンデモニウム・メテオ・ライトニング。
考察 :魔王に力を与えられた人間。
胸の鎧に力が与えられている可能性が高い。
空中浮遊する為に、接近戦はかなり大変。
案外頑丈だから結構しぶとい。
雷の魔法を防いでしまえばほとんど無力化できる。
自身が使うからか、雷の魔法に効果はない。
(注意)パンデモニウム・メテオ・ライトニングは、速さや威力、規模までも凶悪なので、発動してしまえば全滅必死。
防ぐことが出来ないのなら、発動前に止めるしか手はない。
「これでいいかな?」
僕はできる限りの資料を書き終えた。
その作業をしている間にも、ファラさんはフェイさんを縛り上げていた。
あとはギルドに運んでしまうだけだろう。
「クー、その資料を貸しなさい。私は先にギルドに報告しに行くわ」
僕の書いた資料をパシッと奪い、ファラさんは町に戻って行った。
とんでもなく雑な扱いをしていても、この人はファラさんのお父さんである。
ちゃんと無力化できたからと報告しにいくのだろう。
……ん?
「あれちょっと、この二人を僕が運ぶんですか!?」
今ここに倒れているのはフェイさんとディザリアさんなのだ。
ファラさんが居なくなっては、どうあっても僕が運ばなければならない。
いや、ディザリアさんを起こしてしまえば一人だけで済むかもしれない。
「起きてくださいディザリアさん。二人を運ぶのは大変なんです。自分の足で歩いてください」
僕は気付けにと、ディザリアさんの頬を引っぱたいた。
「ふぐぅ……」
よく分からない声をあげて何の反応もみせない。
威力が弱かったのかと思った僕は、もう少し強めにパシッと叩いたが。
「…………」
息はしているようだけど全く反応がなくなってしまった。
一体なぜ……?
「……あっ、効果時間がまだ切れてないや」
どうやら一般人のディザリアさんに対してやり過ぎてしまったらしい。
一億となると何分……いや何時間……じゃない何日か?
普通に計算したら何週間となってしまうけど、強化時間も無限に続く訳ではない。
気を失ったり眠ったりした時点で効果は消失するのだ。
まあ強化されている今の僕なら二人ぐらい楽に運べるだろう。
そう思って持ち上げてみるものの自分より体積があるものを持つにはコツがいるらしい。
変に運んだら怪我をさせてしまいそうだ。
流石に女性を引きづるのは駄目だろう。
「……よし、フェイさんを引きずって行こう」
この人頑丈だし、多少の怪我なら平気だろう。
僕はディザリアさんを背に担ぎ、フェイさんの足を引きずりながら町まで帰って行く。
途中でロープが切れそうになって若干慌ててしまったけど、無事にギルドまで到着した。
「強化されてるとはいえ、やっぱり疲れるなぁ」
今日はそこそこ騒がしかったというのに、ギルド内部は何時も通りである。
まあ町へのダメージなんて知れたものだったし、騒ぐまでもないのだろう。
ファラさんは……と見回すと、今はスラーさんと話しているらしい。
僕も行ってみるとしよう
「ただいま帰りました。あ、スラーさん、これお土産です」
僕は背負っていたディザリアさんと、引きずっていたフェイさんをスラーさんに渡したかったのだけど。
「ディザリアさんは要りませんよ。邪魔ならその辺にでも寝かせといたらどうですか? まあ、そちらの人には色々聞きたいことがありますけどね」
スラーさんは、ディザリアさんを受け取ってはくれない。
「スラーさん、この人を助けたことにして口説いてみてはどうですか? 結構いい体していますし」
養女も居るスラーさんだけど、じつは独り身である。
だからもう少し勧めてみた。
だが決していい想いをさせて、借金を待ってもらおうなんての考えではない。
「ああ、私、スラーとなら結ばれても……」
と、背後からはまんざらでもない声が聞こえてきている。
ディザリアさん、本当は起きているんでは?
だったら早くおりてほしい。
で、返事は……。
「すみませんが、ギルド内で女性との関係は望みませんので、丁重にお断りします」
スラーさんに断られてしまった。
後ろの人は無言だが、腕にはなんか力が入っている気がする。
首が締まるからやめてほしい。
「クー、スラーさんは紳士なのよ、あんたも見習いなさい」
ファラさんからも怒られてしまった。
「あー、はい」
僕は適当に返事をして背の荷物を先に降ろすことにした。
近くにあった長椅子に寝かせようとするのだけど。
「勝手に振られてもらったら困るんですけどねええ!」
「ぐああ苦しい……本当に苦しいからやめてくださいディザリアさん!」
首元を締め上げ僕の意識を奪おうとして来る。
「ぬあああ!」
しかしまだ強化状態が続く僕は、なんとかパシっと振り払う。
後ろを見ると、ディザリアさんは絶対起きているはずなのに、寝たふりを続けているようだ。
僕はかまわずスラーさんとファラさんの下へ戻って行った。
「それでは彼の処遇を話しましょうか」
スラーさんがフェイさんの話を始めた。
「あの、スラーさん、お父さんのことは私からも謝ります。ですから、死なない限りは何をしてもいいので許してあげてください」
意外とひどいことを言ってるけど、まあファラさんも心配しているのだろう。
「ラビス君、この人は魔王の手下と名乗ってしまいました。国としても許すわけにはいかないでしょう」
当然のことだ。
どんな理由があっても人を襲う側についてしまっては許されないだろう。
「そうですか……」
娘であるファラさんは少しだけ悲しんでいるように見えた。
しかし、その足はフェイさんを足蹴にして踏みつけている。
「しかし、私としても部下を悲しませるのは本意ではありません。こちらとしてもギリギリまでは上と掛け合ってみましょう。まあ安心してください。やったことが石畳を焦がした程度ですから、魔王側の情報と引き換えなら充分に釣り合うでしょう。とうぜん、この人が話してくれないというのなら無理な話ではありますが」
やはり僕の尊敬するスラーさんは違う。
部下を気遣う心遣いまで持っている。
出来れば借金も待ってください。
「それは大丈夫です。お父さんには知らないことまで喋らせてあげますから!」
ファラさんは決意したように頷いている。
拷問でもするのかもしれない。
「……いえ、嘘をつかれるとあとあと混乱してしまいますから、取り調べは王都でやることになるでしょう。あとのことは私に任せて、本来の仕事に戻ってください」
やはり王都に護送されるらしい。
あとは国の判断を待つしかないだろう。
でも、ファラさんは諦めてはいないようだ。
「あの、待ってください。私も王都に同行してはいけませんか?」
ファラさんは、スラーさんに同行を申し出る。
「まあ、気持ちは分からないでもないです。ではラビス君一人の同行は許可しましょう。ですが、ライズ・ライト君の同行は認めません。いいですね?」
「はい、大丈夫です」
ファラさんは納得しているようだけど。
「えつ、何でですか?」
僕はスラーさんに聞き返した。
「君は私に借金を返さなければならないでしょう。無駄に休んでまた借金を作るようなことはさせたくありません。もし支払いが滞るようなことがあれば……」
スラーさんの眼光が鋭くなっている。
やはり待ってはくれないようだ。
「喜んで残らせてもらいます!」
そしてフェイさんは西の王都へ護送されることとなり、ファラさんも同行することになった。
相棒の僕はこの町に残されてしまったらしい。
まあついて行けなかった一番の原因はお金の問題なんだけど。
とにかくこれでフェイさん襲撃事件は終わった。
これからは平和な時間が訪れるだろう。
たぶん?
クー・ライズ・ライト (僕)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
クーにはラブクラッシャーの名を与えても良いかもしれない。
まだまだ終わりませんのよね。




