それ色々不味いんじゃないですか?
魔物を退治し、父さんを探しに行った僕達。
移動しながらファラさんと話し、父さんの居る場所を発見した。
もう縛りあげられたフェイさん。
これは都合がいいと、ファラさんは自身の夢の為に父親を切り捨てた。
そして今現在、僕達はチームを組んでいる。
扉の前で食料をこんがんする僕に、牛肉のステーキを投げてくれた。
やはりファラさんは優しいという結論に達し、決着がついた。
まだまだ貧乏暮らしが続く中、とある日の朝ファラさんの父親であるフェイさんが現れた。
「あれ……お父さん?」
出社時間なので丁度よく来たファラさんは、フェイさんの姿を見て驚いている。
何方かというと、会いたくないという表情だろうか。
「ファラアアアアアアアア、会いたかったよファラアアアア! お父さんどれだけ心配したことか! さあ家に帰ろう。お父さん近くに家を建てたんだ」
フェイさんはファラさんに抱き付こうとしているが、思いっきり嫌がられてヒョイっと避けられている。
「嫌よ! 私は冒険者として一人前になったんだから、お父さんも一人で頑張って!」
ファラさんが嫌がるのも無理はない。
それはもはや溺愛というより、ストーカーちっくにまで至っているからだろう。
しかし、このギルドの中で暴れられるのは大変困ると、スラーさんは頭を抱えていた。
「え~っと、ファラさんのお父さんですよね? 出来ればそういう話は外でしてほしのですが……ラビス君も今日は休みでいいので、きちんと話し合って明日また来てください」
スラーさんは二人を止めようとしているのだが。
「スラーさん、心配してくれなくても大丈夫です! 私は帰りませんから!」
「まさか、まさかあの男の子供をおろさなかったのか!? 奴がお前を変えてしまったのか!? グゥゥ、許さんぞ、クー・ライズ・ライトオオオオオ!」
二人共あんまり聞いてくれないようだ。
しかも何故かフェイさんは僕にまで睨んでくる。
子供が居るという嘘をまだ信じているようだ。
「いやそうじゃなくてですね……あ~、ライズ・ライト君、相棒として止めてあげてください」
困ったスラーさんは僕に頼み込んで来ていた。
「親子の問題に僕が口を出す話じゃないと思いますけど?」
それっぽく断るのだけど。
「ギルドの運営が出来ないので、是非お願いします」
「ああ、そうですね」
二人の追いかけっこで、ギルド内部は相当ぐちゃぐちゃにされていた。
僕は結局受け入れるしかない。
二人を落ち着かせる為には?
とりあえず、子供がいない事でも伝えてみようかな。
「落ち着いてくださいフェイさん、僕とファラさんに子供がいるなんて嘘ですからね。この人、冒険者になりたくて嘘ついてただけですよ」
「なにいいいい、だったら孫は居ないのか?! 貴様、ことごとく私の楽しみを奪いやがってえええええええええ!」
フェイさんは狂気の表情で僕に襲い掛かって来た。
「私から敵視を奪うなんてやるわねクー」
「ちょっと、言ってないで助けてくださいよ! 僕は別に悪くないでしょう!」
ファラさんが休憩し、代わりに僕が逃げ始める。
しかし、ここで逃げてもギルドの被害が増すばかりだ。
僕はギルドの出口を目指して走って行った。
その途中。
「ヨメ、ワタシ、キタ!」
ミアさんが出社して来た。
「おはようございますミアさん! ちょっと急ぐのでファラさんに事情を聞いてください!」
僕はミアさんの横をすり抜けるように通り抜け、出口の前にやって来た。
「貴様ああああ、ファラだけでなく、その子にまで手を出したのかあああああああ?!」
その他愛無いやり取りに、フェイさんは更に怒りをにじませている。
「出してませんって!」
僕は否定して直ぐにギルドの出口を開けるのだけど。
「ウプ……」
丁度出社して来たアーリアさんの胸に頭が埋もれた。
「あらクーちゃん、お姉さんと付き合う気になったのかしら。だったら今日はお休みにしてお部屋にでも行きましょうか?」
アーリアさんは気楽にそんなことを言ってきた。
「……そうか、貴様は女の敵であるのだな。ファラの為、世界の女性の為に、死にさらせえええええええええ!」
その言葉に、フェイさんの怒りは最高値にまで達してしまったようだ。
その鎧からは紫電が迸り、自身の力を見せつけている。
やはり冒険者にでもなったのだろう。
ってそんなことを考えてる場合ではない。
「お姉さんごめんなさい、今は先を急ぎますんでえええええええ!」
僕は攻撃が来る前に、アーリアさんの脇を通り抜け町の外へと走り出した。
「逃がさんぞおおおおおおお!」
しかしフェイさんも追い駆けて来ている。
浮遊しながら左右に移動するのを見ると、魔法使い系の職業なのか?
でも浮遊できる職業なんて聞いた事がないんだけど?
「クフフ、随分と驚いているようだな。教えてやろう、この力は魔王様から頂いたものだ! お前などには決して手の届かない力なのだあああああ!」
フェイさんから発せられた言葉は、ハッキリ言って問題である。
「えええええ、魔王の力ああああ!? ってそれ駄目じゃないですか! 人としてどうなんですかそれ。恥ずかしくないんですか!?」
僕は走りながら抗議するが。
「煩い黙れええええ! この私の気持ちが、貴様などにわかるかああああ! もうこれで消し炭にしてやろう。邪悪の稲妻、デビルズ・ライトニングウウウウウ!」
っと僕の言葉に聞く耳を持ってくれない。
しかも魔法まで唱えて攻撃を仕掛けて来た。
フェイさんの鎧から漏れ出る雷撃の力が、突き出した腕に絡みつき、掌へと流れている。
「行けええええええええ!」
力の波動が集約して紫電の塊が現れた。
それが僕の方に飛ばされるが、かなり横へとそれて行く。
制御はまだ上手くいっていない感じだ。
「きゃああああああああ!」
「なんだ。魔族の襲撃か?!」
「誰か、誰かあああああああああ!」
しかし町の中にはそれなりに人が居て危険なことこの上ない。
今回、人に当たらなかったのは幸運だけど、何度も発射されれば怪我人が出てもおかしくない。
この力の威力によっては死人も出るだろう。
「フェイさん何してるんですか、町の中で力を使わないでください!」
僕は走りながら注意をするのだけど。
「うおおおおおおおおおおおお!」
やっぱりフェイさんは聞いてはくれない。
魔王に師事したというのは本当だろうか?
何にしろここまで見境なしだと、町中に出たのは失敗だったかもしれない。
「黒雲よ嘶け、クラウド・ザ・ストライク!」
更にフェイさん小さな黒雲を呼び出し雷撃を落としている。
でも。
「ぎゃあああああああ!」
命中精度が低いらしく、町の人達の近くに流れて行っている。
どうも僕には全く当たらないようだ。
ワザと外して僕を脅しているようにも見えなくもないが……。
「クッ、外したか。やはりまだ慣れないようだ。しかし……お前で練習してくれるわあああああああ!」
この感じだと本気で狙っているように感じる。
何時か当てられてしまいそうだ。
何か手を考えなければ。
「ハッ、思いついた!」
一応方法を思いつくが、やれるかは微妙なところだった。
「やらないと逃げれなそうだし、やるしかない!」
覚悟を決めた僕は、測量士の武器である鉄棒を四本取り出した。
それを両手に二本ずつ指に挟む。
「結界の内なる電力よ、数値となって強さを示せ。ナンバーズ・フィールド!」
そして呪文を唱えながら、両腕を上空へと振り上げた。
これで僕一人分の結界が完成して魔法が掻き消えるはずである。
しかし、これは禁断の方法なのだ。
「いけえええええええええええええ!」
フェイさんから気合を入れて放たれた雷撃は、振り上げた鉄棒の先に引き寄せらせるように落ちて行く。
しかし魔法は掻き消え、それ自体にダメージを食らわないのだが。
「ぬああああああああ、やっぱり来たあああああああ!」
代わりとなる数字の石が、遥か上空から結界の中へ落ちて来る。
逃げても追い駆けて来る様に数字の石が移動し、僕の頭の上へと振って来る。
自分で出したとはいえ、あんな物を食らっては本当に死ねるかもしれない。
「にゃあああああああああ!」
とにかく数字を見て計算している暇はない。
とりあえず百を速度に回し、残りは全て使用時間だ。
そう決めた瞬間、頭の上に来ていた石の数字は消えていた。
しかし、僕は何故こんなギャグ展開で命を懸けなければならないのだろう。
そのことは家でゆっくり考えるとして、今はフェイさんを引きはがさなければ。
「貴様あああ、一体何をしたあああ!」
「教える訳がないでしょおおおおおおおおおおお!」
移動速度を増した僕は、フェイさんの視界から消えて行った。
クー・ライズ・ライト (僕)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)




