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次なる目的は

 ミトラの町に戻って男に報告するけど、こんなの倒せないとか言って疑われてしまう。

 説得をしても無理そうで、僕達はディーラさんの受付に並ぶのだった。

 ディーラさんに報告を済ませた僕達は、自分の町へと戻って行く。

 スラーさんに報告をすると、ミアさんの扱いが決まったらしい。

 その報告を聞き、僕は凄く安堵した。

 ミアさんは、ミア・ミスト・レインとしてスラーさんの養子となった。

 その彼女を世話するチームはというと、やはり見知った顔の僕とファラさんらしい。


 という訳で、僕達は三人のチームとして、今日が初めての仕事となる。

 スラーさんから言い渡されたのは、町の外を見回る魔物の生態調査である。

 今僕達は、外に出て見回っている最中だ。


 ミアさんにとっては初めてのチーム戦なので、当然慣らすという意味合いが強い。

 相手もスライムとかゴブリン、弱いものを重点的に狙って行くつもりだ。

 命懸けとは程遠いのんびりしたものである。

 ピクニックに近いかもしれない。


「クー、ワタシ、ハラヘリ。メシ、クウ!」


 ミアさんはお腹が減ってるようだ。

 僕はリュックからお弁当を取り出した。


「あ~お弁当を五つほど持って来てあるので、食べて良いですよ。野菜やお肉も入っていて栄養のバランスもいい特上の料理ですよ」


 このお弁当はギルドが用意してくれたものだ。

 ミアさんの体調を崩さない為に、バランスのいい弁当をスラーさんから手渡されていた。

 しかもミアさんのものだけじゃなく、僕達の分まであるのである。

 僕はリュックから三つのお弁当を取り出し、二人に一つずつ手渡した。


「ワタシ、クウ!」


 ミアさんはお弁当の蓋を開け、フォークを使って食べ始めた。

 たぶんファラさんが教えてくれたのだろう。


「ミアの分だけじゃなくて私達の分まであるなんて太っ腹よね。まっ、食費が浮いて助かるわ」


 ファラさんも全く同じお弁当を食べている。

 同じ時に物を食べるというのは、案外チームワークに繋がるものだ。


「そうですね。今後も是非続けてほしいです! 出来れば風習にしてくれるとありがたい!」


 僕もそのお弁当を食べ始めた。

 チームを組むにあたって、ミアさん実力は心配していない。

 一度激しくやりあっているし、戦えば強いのは分かっているからだ。

 しかし、それ以外のことは結構心配ではある。


 人の常識も足りないし、言葉遣いもたどたどしい。

 それに魔族の姿を人に見られると、騒ぎになるだろう。


 一応その為の対策として、ミアさんの人とは少し違う体を隠す為に線が見えるほどのボディスーツが着せられている。

 人前で脱いだりする時には気をつけないと。


 特に着ていることを気にしてもいないから下手なことにはならないだろう。

 僕達は美味しく食事を食べ、小さな敵でも倒して行こうかと立ち上がった時。


「クー、アレ、ナンダ?」


「ん、何ですか? ……おっ、あれは……」


 そこには魔物が立っていた。

 相手は僕達に気付いていないようで、少し遠くを歩いている。


 魔物は人の様な体型で体には鱗が生えている。

 顎の辺りには魚のエラに、顔はまさしく魚の様だ。

 フィッシャーマンやサハギン、この大陸ではもっぱら、ハーフサーフィスと呼ばれたりする。


 普通であれば緑や青い鱗であるが、こいつは赤い色の鱗を持っている。

 資料で一度も見たこともない魔物かもしれない。

 しかもこの辺りには海はなく、小さな川ぐらいしか存在していないのだ。

 珍しいものが珍しいところに現れたのだ。


 つまりは、相当貴重な新種でボーナスの期待が高まるというもの。

 もうお金の心配はしなくてもいいけど、ボーナスのチャンスは逃したくない。

 来月にはスラーさんに借金を返さなければならないから!


「絶対新種ですよファラさん、ボーナスゲットのチャンスです! 急いで準備をしましょう!」


 僕はお弁当を片付ける手を止めた。


「見れば分かるわよ。じゃあミア、私達と初めての仕事よ、気合入れなさい!」


 ファラさんは立ち上がり、一度背伸びをしている。


「ウン、ワタシ、タオス!」


 ミアさんは超速で走りながら両手に剣を取り付け、魔物に向かって行く。

 まだ僕達が準備もしていないというのに。


「ミアさん、待って! 止まって! 僕のボーナスがああああああ?!」


「ちょっとミア、まだ準備が終わってないわよ!」


 僕とファラさんは大声で引き止めるが、ミアさんはもう相手に剣を振るっていた。

 そのまま止まらず滅多切りにして、元の状態とは程遠い残骸が出来上がってしまう。


「「あああああああああ?!」」


 もうこれを新種だと言っても絶対に信じてもらえないだろう。

 他に仲間が居ないかと探して見るが、何処にも見当たらなかった。

 これでは僕のボーナスが貰えない。


「ワタシ、ヤッタ!」


 ミアさんは魔物を倒して嬉しいらしい。

 まあ、ミアさんだってワザとやってる訳ではない。

 これが初めての仕事なのだ。

 教えなかった僕達にも非がないわけじゃないだろう。


 一度息を吐き出し落ち着くと、喜んでいるミアさんに話しかけた。


「……ミアさん、僕達の仕事は魔物を退治することではないのです。一度やり方を教えますから聞いていてください」


「そうね、それがいいわ。ちゃんと仕事内容を教えるから覚えてね」


「? ワタシ、ダメ?」


 ミアさんは首をかしげている。

 キョトンとして可愛らしい顔をしているけど、それとこれとは別である。

 別なのである!


「ボーナスが貰えなくなるから駄目です!」


 僕はハッキリと宣言した。

 ミアさんの今後の為にも、僕達の今後のお金の為にも言うべきことはちゃんと言わなければ!


「そうね二度やったら許さないわよ! 今回は許してあげるから、ちゃんと聞いておきなさい。いいわね?」


 ついでにファラさんも同じ思いらしい。


「ウウウ、ガンバル……」


 ミアさんも僕達の話を真剣に聞いてくれた。


「いいですかミアさん、ボーナスは大事です! ボーナスは素敵なんです! 聞いていますかミアさん。お金がないと雑草を食べる生活が待っているんです!」


「そうね、美味しい物とか食べたいし、綺麗な服とかも買いたいし、綺麗になる為にはお金が必要なのよ! よく聞いてね!」


 僕とファラさんは、今日の仕事でやってはならない事を教え、主にボーナスのこと、ボーナスの貰える条件ことを特に重点的に話し尽くした。

 しかし。


「オカネ、ホシイ! ボーナス、ウレシイ!」


 ミアさんは混乱しながら近くに居た魔物へと突っ込んで行った。

 どうやら内容の理解はできなかったらしい。

 これはまず言葉から教えないと駄目そうだ。

クー・ライズ・ライト (僕)

ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)

スラー・ミスト・レイン(僕の上司)

ミア・ミスト・レイン(元賞金首)

デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)

アーリア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)

ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)

ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)

デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)

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