氷は水分で結構重い
自分が剣を持つのは嫌だと、フデに声をかけに行った。
丁重に頼むも断られ、別の方法を考える。
契約しなくても普通に剣で倒せば良いんじゃないかと思った僕は、相棒であるファラさんに声をかけた。
しかし不幸の剣なのを知っているから嫌がられ、軽く断られてしまう。
そんな時救世主であるミアさんが手を挙げてくれた。
剣を取りに向かうと、ミアさんは契約せずに触れることができたようだ。
これで大丈夫と準備を終えてサイクロプスに向かったのだが、そこには見張りとしてディザリアさんが配置されていた。
「じゃあこれを頼むわ」
「ぬああ、重いいいい……」
僕は手渡された氷の塊を運んでいるのだけど、大きくてかなり重い。
「ぬぐぐぐぐ!」
それを邪魔にならなそうな場所に滑り落とすが、一つ運んだだけでも僕の体力に限界が来そうである。
「ダメだこれは、戦う前に倒れてしまう。もうちょっと軽い物にしてもらおう」
僕は腰を叩き戻って行くと。
「ニャアアアアアアア!」
「どああああああ!?」
道の途中でミアさんが走って来ていた。
氷で顔が隠され、前は見えていない。
僕は急いで横に飛び退くと、ミアさんが通り過ぎて行く。
そして僕が落とした場所に氷を投げ落とし、またファラさんの所に駆けていった。
「うん、僕は出来る限り楽して頑張ろう」
僕は汗をぬぐい、歩いて戻って行く。
それでも二十往復ぐらいはやり続け、やっと足元に触れられるぐらいに穴を開けられた。
僕はもう動けないぐらいフラッフラだけど、攻撃するのはミアさんだ。
「やっちゃいなさいミア、今の内にガシガシ攻撃するのよ」
「ワタシ、ヤる! ニャー!」
ファラさんの指示に従い、ミアさんは不幸の剣を突き刺した。
あんまりダメージがあるようには思えないけど、時間は充分にある。
二日がかりでチクチクやれば足ぐらいは使えなくなるだろう。
運が良ければ急所っぽい場所を切ったりできるかもしれない。
……でもあの剣は不幸を呼ぶし、それは無理か。
それからもガシガシ攻撃を続けるが。
「ワタシ、ハラヘり! メシ、クう!」
ミアさんは剣を放り投げ、ディザリアさんが居るテントへ走って行く。
その方向からなんとなく美味しそうな匂いが漂っているようだ。
それにつられてしまったのだろう。
中でお昼ご飯でも食べているのかも知れない。
「メシイイイイイイイイイイ!」
走って行ったミアさんは、テントの中へ突撃して行く。
「なッ! 貴女は確かミアとかいう!? 何だか知りませんがいきなり入って来ないでくれませんか!」
「ワタシ、ハラヘリ、メシホシい!」
テントの中では、こちらにも届くほどの大きな声で何やら言い合っている。
少し時間が経つと言い合いも聞こえなくなり。
「ウマイなー!」
と嬉しそうな声が聞こえる。
一緒にご飯でも食べてるのかもしれない。
まあそっちは良いとして。
「……クー、剣が落ちてるわよ、拾ったらどうなの?」
ファラさんは落ちたて砂まみれになった剣を指さしている。
「まったく拾いたくないです! 出来ればファラさんがお願いします!」
別に触らなくてもミアさんが戻って来るのを待てばいいだけだ。
「私はただついて来ただけだもの、巻き込まれる筋合いはないわ。もし無くしたら大変じゃないの、早く拾ったら?」
「大丈夫です、ちゃんと見守っていますから! 見守るだけ!」
僕は落ちている剣をジッと見守った。
「あらそう、わかったわ。……じゃあ力づくでいいわよね?」
ファラさんの指がゴキっと鳴り、僕の首根っこを掴んでしまう。
「なんでそうなるんですかああああああああ!? 助けてええええええ!」
踏ん張っているが力で敵わない僕は、ファラさんにより前に倒されそうになっている。
倒れればまた契約されてしまうだろう。
そんな時、パキっという音が聞こえてきた。
「なに?」
「ん?」
僕とファラさんは後ろに振り向き、氷を切った部分にヒビが入っているのを見つけた。
時間は真昼間で、それなりに温かい気温である。
斬った場所が弱くなっているのだろう。
片足でバランスをとっているサイクロプスは、何だかグラグラしているように見える。
倒れるのは時間の問題だろう。
……そしてなんだか剣がある方向に倒れて来る気がしてならない。
「逃げるわよクー!」
「はいいいいいいいいいいいいい!」
全力で逃げ出した僕達の後ろから、デッカイサイクロプスが倒れてくる。
そのまま僕達の後ろすれっすれを通り過ぎ、盛大に地面に落ちて爆散する。
空には氷が飛び、僕達の頭上にも一個ドデカい物が降って来た。
「ぎゃあああああああああ!?」
僕は慌てて叫んだのだが。
「このぐらい、アイアン……スラッシュ!」
ファラさんは慌てず、僕の身長ぐらい分厚い氷を剣であっさり斬り裂いた。
分割した氷は僕とファラさんの左右に落ちて、またバラバラに砕けていく。
でも当たると結構痛い。
「……サイクロプス死んだんじゃないの?」
ファラさんは砕け散ったサイクロプスを見ている。
中まで凍り付いていたようで体はバラバラになっていた。
これはもしかして剣を使わなくても良かったのかも?
でもきっと油断しない方がいい。
「まだわかりませんよ? なんか不思議な力で元通りになるのかもしれませんし。とりあえず剣を拾いに……って持てないし! ミアさんを呼んでこないと! テントに行ってみましょう!」
僕は念の為とミアさんを呼びに行こうとするが。
「……でもテント潰れてるみたいだわ」
ファラさんの声で振り向くと、テントはペチャンコに潰れていた。
「うわああああああああ、ミアさああああああん!?」
氷の塊に潰されている訳ではないようで、たぶん流れ弾でやられたのだろう。
とにかく僕達は急ぎテントに向かい、中の二人を確認したのだが、氷は丁度二人の真ん中に落ちていたようだ。
「「…………」」
どうやら二人は寝ているようで……。
いや、よく見ると二人の頭にタンコブが出来ている。
何か白目をむいているし、丁度よく二人にぶつかったのだろう。
まあでも生きてはいるみたいだ。
僕は水で湿らせた手ぬぐいを二人のタンコブに置いた。
「じゃあ私は外を見張っているから、出来る限り手早く叩き起こしなさい」
ファラさんは手を動かしてビンタしろと言っているようだ。
「ええっ? 起こすんですか?」
「そうよ、起こさなきゃ剣を持って帰れないじゃないの」
「後で恨まれそうですからファラさんがやってください」
「私がやったら死ぬでしょ。だから任せているのよ。いいからやりなさい!」
僕はファラさんに命令されて二人を叩き起こすことになった。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
コーディ・フル・フラグメント(獣使い見習い)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
シャイリーン・ブラック・ダイヤモンド(防御職の人)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




