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二人で…①
「あっ、星夜くん」
『美月ちゃん』
あれから、私達は何度もこの場所で会った。
約束なんてしていないけど、来るタイミングが同じ。
『今日も、月がきれいだよ』
星夜くんは、嬉しそうにそう言った。
月がきれいだよ…の言葉は、大好きだ。
ある人の名言。
「うん。きれいだね」
二人で月を見る。
私は、そっと隣にいる星夜くんの横顔を見る。
『ん?』
その時、星夜くんが私の方を向いた。
慌てて、月を見る。
だって、あなたに見とれていました…なんて言える?
言える訳がないよ。
だから、私は慌てて話題を振った。
「あっ、星夜くん」
『どうしたの?』
優しく私の顔を覗き込んでくる姿に、またドキッとする。
さっきから、私…どうしたんだろう…。