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月と彼岸花
彼岸花は、私の好きな花。
嫌われる事も多いけど、何故か好き。
花言葉を知った時には、もっと好きになった。
種類が3種類ある事は最近、知ったけど。
「星夜くん」
今日も二人で、月を眺める。
月を眺めている時は、本当の私でいられる。
彼に対しての罪悪感もない。
『どうしたの?』
「彼岸花って、好き?」
彼は、どうなんだろう…と気になった。
『好きだよ。種類もあって、それぞれ違うんだよね、確か…』
今まで、好きなんて言ってくれる人はいなかった。
「そ…そうなんだ。私も好きなの」
この好きは、あなたの事を"好き"というのも含めている。
気付かないだろうから良いけど。
『そうなんだ。俺達、気が合うよね』
その言葉は、心臓が痛くなる。
嬉しいけど、お別れしないといけないのに…苦しくなる。
「うん…。あっ、月が彼岸花を照らしてる…」
私は、話を逸らすように言った。
『本当だ。きれいだなぁ…』
感心しながら見ている彼を見たら、涙がこぼれそうだった。