hana 第8章
第八章 「コンクール」
蓮「今日いつも以上に自信あるんだ!
なんだってショパンだもん」
当時小学五年生・十歳の橘 蓮。旧名楠木 蓮。
小学三年生以降どんどん腕を上げ、特にショパンは強かった。
ショパンコンクールは毎度上位入賞で、毎回優勝候補だ。
今年は曲のレベルも上げ、優勝を狙っていた。
母「今日お仕事忙しくて、コンクール見に行けない。ごめん」
父「おれも昼休憩になり次第、行くから」
蓮「別に無理しなくていーよ。今回はその代わりに桜とおばさん来てくれるから」
父「とりあえず、頑張れ蓮!」
蓮「おう!今回は優勝してくるぜ!」
桜「蓮〜行こ〜」
蓮「桜見とけよ!今回は優勝してやるから」
母「今日は蓮のことお願いします」
桜母「いいえ!いいえ!いつものことですよ、蓮くんも頑張ってね」
蓮「おばさんもいつもありがとう。今日優勝するから。ちゃんと見ててね」
桜「翔は野球だって」
蓮「あいつは来ても寝るだけだから、来なくていーよ」
母「蓮、迷惑かけないで頑張ってくるのよ」
蓮「おう!行ってくる」
そしてその日が、楠木 蓮(橘)の最後のピアノになると誰も想像してはいなかった。
出番の一時になっても蓮パパは来ていない。
桜母「蓮くんの出番がもう少しで始まりますよ」
蓮父「今向かっています。席はどのへんですか?」
桜母「真ん中を挟んで少し後ろのGの列です」
蓮父「今、走って向かいます」
そして蓮の番が来た。さすが優勝候補と言われるだけはある。堂々としていて迫力がある。
蓮は広いステージの真ん中で礼をした。
そして一瞬にして桜達を見つける…
蓮「やっぱりいないか…でも今日は優勝する。」
弾いてみて分かる…今日は指が動く。
ピアノが合ってる、今日はきてる。絶対勝てる。
今日の俺は絶好調だ。
ここにいる全員、俺を見ろ。
俺の音を聴け。
そして蓮は優勝した。
しかしそこには、お父さんの姿はなかった。
続く…
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