邂逅
涼太郎が目の前で倒れた。
「涼太郎君⁉︎」
突然の出来事に驚いた夏菜が急いで駆け寄る。すると、涼太郎はすぐに起きあがって夏菜をジッと見つめる。
「な、なに?」
「貴様、サーナリア王国の騎士か?」
「えっ、なんでそれを……」
「貴様の鎧を見ればわかる。」
急に様子がおかしくなった涼太郎。
夏菜の頭には、ハテナしか浮かばない。
「えっと……涼太郎君だよ……ね?」
夏菜はおずおずと訊ねた。
顎に手を当て考え込む涼太郎。
「…………」
黙られては仕方がないので夏菜がもう一度問いかけようとした時、涼太郎はやっと口を開いた。
「そうであると、同時にそうではない。」
意味不明ななぞなぞのような答えが返ってくる。涼太郎は、深く考え込む素振りを再び見せる。
「えっと……」
夏菜が再び口を開こうとした時だった。涼太郎がその言葉を遮る。
「思い出した。……私の名は、グラ。
暴食の罪だよ」
「はい?……暴食の罪?……それって七つの大罪ですか?」
頭に疑問符が付く夏菜。涼太郎はこくりと頷く。
「うむ。……この世界は貴様らの世界をモデルに作られたからな……聞き覚えがあるだろう」
「状況がよくわからないのですが……」
「なら、これでどうだ?《記憶共有》」
夏菜の頭の中にどんどんこの グラ の情報が入ってくる。
「えっと……まとめると……あなたは、涼太郎君が食べた狼に憑依していたと。それで落下寸前に涼太郎君に憑依して助かった。で、今私の前に出てきたのは頼みがあるからということですか?」
「ああ、その通りだ。流石だな、異世界人は」
うんうんと頷く涼太郎。
「えっ……私異世界人なんていつ言いましたっけ?」
「……ん?共有した記憶をみたのだが?」
「あ、そうですよね、ははは。
ってそんなわけないでしょ。ふざけないでください。」
顔を真っ赤にしながら怒り出す夏菜。
少し済まなそうにする涼太郎。
「頼みをきいてくれんか?」
「頼みによりますね。」
ふんとばかりに顔を背ける夏菜にグラは手を擦り合わせて頼む。
「で、なんですか頼みって?」
夏菜が、聞くと顔をパァアと輝かせる涼太郎。
「頼みというのはじゃなーーー」
涼太郎の切り出した話は、驚愕の話だった。
読んでいただき有難うございます。
ちょっと話が逸れますが、すぐに戻したいと思っているでお待ちください。