日常の一幕
「1〜2週間であげます。」
って言っておきながらこの始末反省しております。
これ迄あげられなかった分として少しだけペースアップしていけたらと思っております。
前書き長くてすいませんそれではどうぞ
俺は、その惨劇をただ見ていることしかできなかった。
先程まで動き言葉を発していたそれら(・・・)はいつの間にか動かないぢの肉塊と化していた。
それらの血をすすり肉を喰らう四つん這いの獣。
一口、また一口と肉塊へとかぶりついていく。
ズズッという不快な音が辺りに響きわたる。
それを最後に獣は肉塊を食べるのをやめてゆっくりゆっくりとこちらを向いた。
せめて、そいつの顔だけでも見てやろうと生唾を飲み込みながら待った。
そして、振り向いた奴の顔に衝撃を受けた。
血塗れの乱杭歯の覗く歪んだ口。
ギラギラと危ない光を放つ黒の瞳。
鋭く長く伸び赤黒い爪。
そう。そいつは、人狼化した俺だった。
○○○
「うわぁぁぁぁ‼︎……って夢か?……よかった……城に帰ってきてたのか」
あまりの恐怖に叫ぶも辺りを見渡して違うという事に気がつく。
俺は、豪華な天蓋付きのふかふかベットの真ん中で。
横には見覚えのある白髪の美少女と黒髪の美少女が両脇に。
まさに両手に花。
「ん……涼太郎」
白髪の美少女もといレイカが、俺の腕に絡みついてくる。
ふにゅんと形を変える柔らかい何かが二の腕に当たって心地よい。
すると、まるで対抗心を燃やすかの様に反対側で寝ていた黒髪の美少女もとい春乃が俺に抱きついてきた。
「春乃⁉︎やっぱりこっちに来てたか……。無事でよかっ_____」
春乃は、俺の頬に手を伸ばすと自らの唇と俺の唇を_____
_____ガチャ
へ?突然、扉がギィーと音を立てて開く。
そこには、木のお盆をもって立ち尽くす冬香の姿が……。
「何をしてるのかな?涼太郎?」
額に青筋を浮かべながら聞いてくる冬香。
その後ろに揺らぐ何かの影を見た気がした。
_____鬼の様な何かの。
次の瞬間、俺は恐怖に顔を引きつらせた
○○○
「ごめんなひゃい」
俺は女性陣に、よってたかって叩かれ続けたせいで膨れ上がった頬を押さえながら謝った。
当の女性陣は、尚も底冷えする冷ややかな視線を俺に向けた。(当事者であるレイカと春乃は、ニコニコしている)
夏菜は、燃え盛る焔の剣『レーバティン』を顕現させると俺の顔に突きつけた。
「……覚悟はいいか?六股男」
(そ、そんな六股なんて……
端から見たら夏菜、秋月、冬香、レイカ、春乃……五股だろ!)
と叫び出したかったが頭の中に響く声に遮られた。
『……私も入れて6人です。』
そうだった……
密かに落胆する俺に追い打ちをかけるが如く拗ねた様な声音でグラが頭の中で呟く。
そういえばグラに聞きたいことがあったんだった。
(グラ、お前まさか他の七大罪を喰ったか?)
すると、グラは下手くそな口笛を吹き始めた。
やっぱり……
(俺の体で生き物を出来る限り殺さないでくれ。頼む)
『それもそうですよね……でも、断ります!何故ならこのグラは、無駄に生き物を殺しているわけではないからです。……ネタの使い方これであってますか?』
(いや、あってないから)
「涼太郎?さっきからぼっーとしてない?ねぇ?」
夏菜が、レーバティンをぐっと近づけたながら聞いてくる。
喉の肉が少し香ばしい匂いを発し始めた。
慌てて首を左右に振ろうとするもレーバティンが危険で振ることが出来ない。
「まさか!はは……」
(グラ、お前魔法使えたろ?頼む!閃光で目くらましを!)
グラは、渋々といった様子で答える。
『しょうがないですね。じゃ、身体の所有権お借りします。』
次の瞬間、俺は気絶し……なかった。
幽体離脱とでも言えばいいのだろうか……
自分の身体を横から見ている形になった。
俺は、小声で閃光魔法の詠唱をしていたが途中から何か思いついた様に別の呪文を唱え始めた。
それから5秒ほど経つ。
すると、左目が赤く煌々と輝きだし右目には真っ黒な眼帯が出現した。
そして、高らかに笑い出した。
「フフ、フハハハハハハ!我は、この神が統治せし世界に君臨した魔王人呼んで『セキガン(赤眼と隻眼をかけている)の魔王』である!」
皆がポカンと口を半開きにする中で
春乃は、口を押さえておいおいと泣くふりをし始めた。
「兄さんの……厨二病再来」
ち、違う!そんなじゃない!
確かに某ロボットアニメの主人公に憧れて左目に赤のカラコン入れたりしてたけど断じて違う!
と叫ぶも誰も聞こえる様子はない。
と、そこではたと気づいた。
まさか……グラの奴【記憶共有】で俺の記憶見たんじゃねぇのか?
後で……痛めつけてやる!
そんな事を知ってかしらずかグラは尚も調子に乗る。
……それが、墓穴を掘ったという事に気が付かずに。
喉に突きつけられていた【レーバティン】に向かって左手を突き出すと高らかに詠唱した。
「我が腕を媒介としここに地獄を顕現させる!」
途端、氷が左手と【レーバティン】を覆った。
【レーバティン】の焔を閉じ込めたままで。
それを見た夏菜がニヤリと口元を歪めた。
「分かったわ!あんた、グラでしょ!」
「は、はぁ?そ、そんなわ、わけねぇっの!馬鹿じゃねぇの!」
激しく狼狽する俺に、やっぱりという顔をする夏菜。
【レーバティン】の柄から手を離すと両手を胸の前に持ってくると叫んだ。
「来い、【バルムンク】!」
現れたのは、龍の装飾がほどされた美しい白銀の剣。
かつて、竜殺しの英雄がもっていたとされるあの武器だ。
「てことは、さっき春乃とレイカに手を出そうとしたのもあんたよね?なら……みんなでやっちゃおうか?」
途端に各々の武器を取り出す女性陣。
俺の姿をしたグラは、必死に言い訳をする。
「ちが、違う!あれは涼_____」
しかし、聞き入れて貰えるはずもなく。
「言い訳無用!【バルムンク】!」
「収束せよ!死ね、涼太郎を誑かした悪魔!」
「……消えた方がいい。涼太郎はみんなのもの!」
「私の兄を返せ!神殺し!」
「不潔な悪魔め!ハァァァァ!」
「(ギャァァぁぁぁぁあ!)」
大絶叫が広い城の中に響き渡った。
その日以来、その部屋には誰も出入りしないそうです。
なんでも部屋の至る所に血痕があるそうです。
……人間の致死量を明らかに超えているであろう血痕が。




