神との邂逅
「……あと、二人でしょうか?」
「その様だなぁ」
「全く何してるのでしょうかねぇ?」
ふと聞こえた話し声で、俺はゆっくり覚醒した。
辺りを見渡すとそこには、7脚の椅子が丸いテーブルを囲む様に置かれていた。
そして、その椅子に座っているのは
真っ白い髭を顎に蓄えたご老人と
青い髪が特徴的な美少年、
そして、むすっとした顔で腕を組むおっさんの三人だった。
_____いや、三体と言うべきだろうか?
三体から立ち昇る覇気のようなものからは、並々ならなぬ力を感じた。
例えるとグラと同格かそれ以上だった。
俺の意識が覚醒したことに気がついたのかご老人が白い髭を手で梳きながらゆっくりとした口調で話しかけてきた。
「貴方は……”誰”ですかな?」
された質問の意味が分からずキョトンと俺は首をかしげる。
その様子にイライラしたのかぶっきらぼうに美少年が言った。
「グラだろ?悪ふざけは止めろよ」
そこでようやく俺は質問の意味を理解した。
”お前は誰の生まれ変わりか”という意味ではないだろうか?
これは勝手な推論でしかないが恐らく七大罪は、生まれ変わりをするのだ。
何度生きようとも何度死のうとも結局生まれ変わる。
そして、その名を受け継いでいく。
……真相についてはまたグラに聞こう。今は取り敢えず……
と、イライラした様子の少年に一言言い放つ。
「俺は、暴食と色欲の咎人だ」
その一言に、3人は表情が強張った。
「なっ⁈まじかよ!……同族食い」
「ほぅ……それは、また厄介な……」
「通りで気配だけは察知できると思っていましたら」
と、その時だった。
パァン‼︎
辺りに乾いた炸裂音が響き渡る。
何事かと見渡すと……そこに奴は、居た。
「はぁ〜い!注目!」
どこから持ってきたのか手に持った拳銃から硝煙を吹かせてそこに立っていたのはレイカによく似た女だった。
かなりそっくりだったが、何故そうなのかを知ってる俺にとっては不思議なことではなかった。
「貴女が神様ですか?」
俺は、臆せずに聞いてみる。
こういうのは思い切った行動が大切だ。
すると、彼女は寂しそうな笑顔を浮かべるとこくりと頷いた。
「うん……そうだよ。……は、初めましてだね。氷野涼太郎君?」
相手を神だと認識した途端、七大罪と思われる3人_____老人、美少年、おっさん_____は剣呑な雰囲気を醸し出す。
一番最初に口を開いたのは、老人だった。
「ほぅ。そうですか、貴女が神と。
なら、今来ていない者達についてお教え願いたいのだが?」
すると、神と名乗った少女はそれはそれは楽しそうに笑う。
「あははは。もうこの世界に君達以外の七大罪なんて存在しないよ?
私達がみんな殺したの!あははははははははははは_____」
_____ドン‼︎
その時だった。
美少年が、机を叩きつけながら叫んだ。
「ふざけんなよ!この……お前も殺す!」
途端に美少年の手の中に現れた禍々しき剣。
これは、後で知ったことなのだがこの剣の名は『神殺しの魔剣』と言うそうだ。5000年前に最初の神を刺し殺したと名高い剣だそうだ。
それを見た神は、本当にイライラとした口調で美少年に話しかけた。
「君に言いたい事は二つ。
君の能力『強欲』でも、やって良いことと悪い事があるってこと!
もう一つは……それは死亡フラグだってこと!」
神は、不意に俺の方を向いた。
そして、ニヤリと笑うと呟いた。
「……来ちゃってグラ」
すると、俺の頭の中から声がする。
『御意』
途端、俺の意識は薄れていく。
最後に聞いたのは「あははははははははははは食い尽せ!グラ‼︎」
という神の高笑いだった。




