衝撃の連続
すいません。話の都合上前話のサブタイトルを変更させていただきます。
次に目を覚ますとそこは、教会の様な場所でした。
そこの祭壇の上にいた私は、目の前の景色にびっくりしました。
祭壇以外全て吹き飛んでいました。
これが、神殺しとやらの力だったのでしょうか。
そうだったら、凄い威力だったと思います。
それに、装備もしっかり整っています。
腰には長剣が、体には鎧が装備されています。
「おい、なんだよこれ?」
「……意味不明」
何者かの声がしました。
そちらの方へ首を向けると明るい髪の女騎士と軽装の茶髪が此方へ歩いていました。
私は、身の危険を感じました。
そちらへ向かおうと土を蹴りだすと
まるでロケットのような加速具合で私の体が飛んで行きました。
////////////////////////////////////////////////////////////////////////
「ここからは、あなたたちとの戦いです。まさか、最強といわれた直後に殺されるとは……」
ここは、王都へ向かう馬車の中。
悲壮な顔をしているのが、春乃。
腕を組み話を聞いているのが、夏菜。
その向かいで寝ているのが、秋月だ。
「ふーん。じゃあ、お前が勇者か。
……じゃあ、涼太郎は一体何のためにここに来たんだ?」
「どういうことですか?」
首を傾げる春乃に夏菜は説明する。
「実はな、冬香って仲間の魔導師がいるんだがそいつが『普通そんなに勇者は要らないから私達は唯のモブで涼太郎は隠された勇者の力を持っているんじゃないか?じゃなきゃ、いくらなんでも涼太郎がカスすぎる』っていう仮説を半年くらい前から立ててそれが仲間内での考えになってたんだけどな。」
「あなたたちがモブなら、最強の勇者の私はゴミでしょうか?」
「いや、涼太郎の方が本当にゴミクズだから。
あいつ、こっち来てからモンスターと一回しか戦ってないし。」
「どんなモンスターだったんですか?」
「それが、まだ調査中なんだがここだけの話私は七つの大罪の一体暴食のグラだったと思っている。」
「えっ?七つの大罪なんてのが、いるんですか?」
「いるらしいんだよ。グラ曰く『貴様らの世界をモデルに作成したからな』って。確かに技名とか神話から付けられているんだ。」
ひそひそと話していた二人だったが、
七つの大罪の所で声が大きくなっており外まで聞こえていた。
馬車は、急に止まり突然御者さんが外から話しかけてきた。
「ちょ、ちょっといいか?このままあんたらを乗せてたら七つの大罪が襲ってきた……何てことにはならねぇよな?」
「……どうしてまずいの?」
いつの間にか起きていた秋月が身を乗り出して聴いていた。
「あれは、別称なんだよ。魔王の配下のな。」
「へえ……ってええ⁉︎じゃあ、涼太郎は……」
御者の説明に突然慌てだす夏菜。
「そのリョータローさんが、どうかしたのかい?」
「涼太郎ってね。……その本人は気付いてないんだけど七つの大罪の一体暴食のグラに憑かれてるの。」
「「「はぁぁぁぁぁぁぁああ」」」
本人のいないところで衝撃の事実が暴露されていたのだった。
一方、涼太郎、冬香、レイカはというと……
「そりゃぁぁぁぁあ」
「収束せよ。」
「ぎょぁぁぁあ」
森のモンスター狩りをしていた。
王から『森に蔓延るモンスターの頭数を減らせ』という春夏秋冬組には、簡単で涼太郎には超過酷ミッションが発令されていた。
だが、俺も男だ。
可愛い女の子の前……しかも、いつもはかっこ悪いところしか見せられてないのだ。
『モンスターを蹂躙してかっこいい所をたまには見せたい!』
そう思っても悪くないはずだ。
それ自体は、悪くない。
ただ……
「こんなに強いなんて……聞いてないよぉ〜!」
逆にモンスター共に、蹂躙されかかっていた。
夏菜、冬香、秋月による一年の修行も虚しく涼太郎は弱いままだった。
「こんな異世界人に優しくない……チートがない世界もうやだぁぁぁあ」
心の底から叫ぶ俺を尻目に冬香は、例の中二魔法で敵をサクサクと倒していた。
あっ……レイカは?
レイカは、記憶喪失だった筈だ。
なら、弱いのでは?
俺が、最弱最弱と罵られる日々も終わるのでは?
そんな淡い期待を込め少し遠くのレイカを見た。
「はぁぁぁぁぁぁぁああ」
どこからともなく取り出した黄金の剣でモンスター共を細切れにしていた。
俺の頭には、『レイカのお料理教室』の文字が浮かぶ。
それをぶんぶんと頭を振ることでかき消すと心の声を叫んだ。
「記憶喪失だったんじゃないの〜!」
////////////////////////////////////////////////////////////////////////
「記憶喪失は?」
モンスターを狩り終わった直後、居ても立っても居られずレイカに聞いてみた。
すると、レイカから満面の笑みで衝撃の答えが返ってきた。
「記憶少し戻りました……私、勇者みたいです。」
モンスターを一匹残らず文字通りの粉塵に帰し隣に来ていた冬香も俺と同じ素っ頓狂な声を上げた。
「ハイィィィィィィィィイ⁉︎」
何やら予感がする。……途轍もなく嫌な予感が。




