表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートを持たない俺は異世界で……  作者: 朱瓢箪
全ての始まり
17/22

神の使徒のいきさつ

兄が、身代わりになった。

この事を頭が理解したのは助けを求めに学校へと走り出した後だった。


「待っていてください。お兄様。」


走って5分ほどで学校へ着くと学校の教員を呼んだ。

ここで、足が沈んで……などと説明すると厄介なのでひたすら


「兄が、兄が」


と連呼した。

すると、先生も私の慌てぶりに何かを感じたのか走って付いてきてくれました。


「お兄様、只今助けを……」


私は、思わず言葉を失いました。

元の場所に戻ると兄は、涼太郎は存在しませんでした。


「そんな……」

「やっぱりか。」


先生は、何か知っていたようなので聞いてみることにしました。


「やっぱりってどういうことですか?」


すると、先生は困ったような顔をして頭をかくと私を見てこう言いました。


「だって、お前の血縁者はこの街にはいないだろ?」と。


おかしいではありませんか。

まるで、それでは

氷野涼太郎という人間は、この世界に存在していないようではありませんか。

私は、焦りました。

その時でした。

足元が光り出し魔法陣らしきものが浮かび上がるとくるくる回りだしました。

数秒後には、光につつまれました。


この時、私は自分がこの世界から消え去っていたということに気がつきませんでした。


////////////////////////////////////

次に目が覚めたのは、何やら暗い部屋でした。


「ここは?」

「ここは、神の部屋。ようこそ、我が眷属となりし者よ。」


その偉そうに名乗ったのは、子供でした。

しかし、顔と声が思い出せません。

ただ髪の色は白でした。

これは、間違いありません。


「私、死んだのですか?」

「ふん、皆そんな反応をするな。

……最近ではあの坊主くらいか。

『あっ、例のパターンですね』とか抜かしたのは。」

「その坊主とは?」


間髪入れずに聞くと神様は、バツの悪そうな顔をすると


「なんでもない。」

「なら、これは答えてください。

私は、何故ここに?」


神様は、待ってましたと言いたげな顔をするとわざとらしくごほんと咳をしました。

そして、衝撃の事実を告げました。


「おめでとう、君は世界を救う救世主になったんだよ。勇者だ。」

「はい?」


頭がおかしくなってしまったのではないかと思うほどの衝撃でした。


「勇者……どういう意味ですか。」

「魔王と魔神を殺すの。……まあ、魔王は現れてないんだけどね。」


そうして神様は、肩をすくめると昔話を聞かせてくださいました。




「それで、私はその勇者になれと。」

「そう、でも、この話には続きがある。この勇者は消えたんじゃなくて帰っていったんだ。」

「え……元の世界にですか?」

「さあ、ね。でも、いるべき場所だった。これだけは確かさ。」

「……わかりました。」

「それと、君は神の使徒だ。」

「へ?」


神の使徒?かっこいいですけど……


「僕が、使わすんだからね。

特殊能力を授けるよ。」


神様は、私に手のひらを向けました。

そして、光が手のひらから私の方へと入ってきました。

すると、みるみるうちに力が湧いてきました。


「これは?」

「神殺しの勇者って能力。

これで、君は現在世界最強の能力を手に入れた。……一応言っておくけど現在進行形でってことだから。」

「ありがとうございます。」

「いってらしゃい」


私の前に黄金の扉が出現しました。

その扉を開けてくぐるとその先の景色に圧倒されました。

多くの木々が、生い茂っていたからです。

その自然に目がいっていてつい神様の言葉を聞き逃しました。


「……役者は、……あとは、……か。

あいつは、……まあ、グラが…………」

「はい?」

「いや、独り言だ。」

「では、また。」

「うん、頑張っておいで」


私は、一歩踏み出しました。


////////////////////////////////////

春乃が扉をくぐる直前


「全ての役者は、揃った。あとは、復活か。

あいつは、涼太郎はまあ、グラがいるから第一候補かな」

「はい?」


神は、慌てた。まだ自らが駒だと気付くのは早い。


「独り言だ」

「では、また」


神は、胸を撫で下ろした。

気づかれなかった事は、良かったけれどあんなミスを繰り返してはならない。

涼太郎の記憶を消したのは失敗だったから。


「うん、頑張っておいで」


駒としてな。と心の中で一言付け加えるのを忘れない。

春乃が、出て行った後で神はぼそっとつぶやいた。


「さあて、僕……いや私も行きますか。待ってろよ、あいつ。あいつの予言通りには私がさせない。この世界を消させはしない」


神は、髪をおろすと出発の準備をした。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ