王都での出会い
ガタゴト ガタゴト
揺れる車内。ここは、超高級馬車の中。師匠のコネで乗せてもらっている。異世界人てそんなに重宝されるのかと驚いたが。
その師匠はというと……
「んにゃ……もう涼太郎くんたら。
なに?修行をしたい?いいよ、じゃあね……」
恐しいの夢を見ていた。俺をいじめ倒すのが余程楽しいと見え時々えへへと笑って幸せそうである。
師匠ってこうしてみると春乃とタメ張れるレベルで可愛いよな。ちょっといじめてみたい。よし、起きたらやってみよう。
そんな事を考えている内に王都が見えてきた。
「師匠!王都ですよ」
「んにゃ。……はっ、そ、そうだね。」
なにやら慌て出す師匠。
ニヤリと笑う俺。反撃チャンス。
師匠の耳元に口を持って行き囁く。
「師匠の寝顔、滅茶苦茶可愛かったですよ」
「なっ、やっぱり見たの?」
「ええ、それはもうじっくりと」
ええ、嘘?とか言いながらりんごより真っ赤な頬を抑える師匠。いつもいじめられる分かえってきた感じがした。いやお釣りがくるかも。
やばい真っ赤になる師匠、可愛すぎ。
「ほら、王都だよ」
御者のおじさんが声をかけてくれた。
どうも、と一言言って馬車を降りると
目の前に王都が……
「スゲェな、異世界。」
目の前に広がっていたのは思い描いた通りの城と街。
真っ白な壁に沢山の人。鎧を着た兵士が徘徊し商人が物を売る。
正に異世界だった。
「おい、こっちだ。」
まだ立ち直っていないのか師匠が真っ赤な頬のまま俺を呼ぶ。
うん、やっぱ可愛い。
俺は師匠が手を出したのでその手を掴む。
「 転移王宮 」
次の瞬間、気がつくと見知らぬ部屋にいた。金で彩られた豪華な部屋。
そこにいたのは、二人の少女。
「おかえり、夏菜。はじめまして。夏菜の弟子さん」
「おかえりなさい、夏菜。……はじめまして、夏菜の恋人」
二人が似たような事を俺に言う。
おい、二人目そんなの初耳だが?
「ただいま、冬香、秋月。」
「初めまして。氷野涼太郎です。」
俺が自己紹介した直後、水色の女の子がにこっと笑った。
……まるで幼子が、新しいおもちゃをもらった時のように。
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