In darkness Surpriser
……暗い夜。
人工的な明かりは無く、光というものは一切―――唯一の自然光である月光でさえ、届かない場所。
そこが、ワタシの仕事場である。
暗い、という感想を第一に考えさせられる一室で、ワタシは仕事をする時を待つ。ただただ、待つ。
時刻は深夜か丑三つ時か、そんなこと考える必要はないが、ふと考えてしまう。それくらい、待つ。
そして、時は来た。
誰かの足音、ゆっくりと、しかし確実にこちらへと近づく。
何やら会話も聞こえてきた。どうやら二人組だ。
一歩、一歩、また一歩、ワタシの仕事場へ、ワタシの仕事の時へ、何も知らない二人組は近づいてくる。
ふと、足音が止む。だが声ははっきりと聞こえ、ちょうど扉一枚挟んだ向こうにいるというが分かる。
二人組のどちらかが、扉のノブに手をかけた音が響く。
カチャリ、ノブを回す音が響く。
ギィ……、古びた扉を開く音が響く。
そこで久しぶりに、光を見る。人工的な光、二人組の持っている懐中電灯。
その光が、まさか誰かいるとは思わないこの部屋の中を照らす。
そして、ワタシと目があった。
『キャーーーーーーー!!』
……ふぅ、今日も良い仕事をした。
ワタシは、名付けて『In darkness Surpriser』
またの名を、こういう心霊スポットの『闇の中で驚かせる役』だ。
怖い話だと思って読んでいた方はすみません。全くホラー要素は無いので。
ああいう方を見る度、よくあんな暗闇の中(さすがに少しは光があるんでしょうけど)にいられると思います。
ちなみに題名の『In darkness Surpriser』で『闇の中で驚かせる役』と読むことはありません。『Surpriser』は造語です、ありません。
本来は『Position to surprise in darkness』と書きます。
それでは、