シャッター通り
閉じているシャッターの表面の雪の様子。数日開いてないって感じ。
ここも、あそこも。
ふぅ。
思わずため息が出る。
マイナス思考にならないようにって気をつけているのに……もう。
いけないいけない。
はじめから数年しか暮らさないなんて分かっているんだし、ゆとりをもって接さないと。ほら、パン屋あるし!
……とか言った舌の根の乾かぬうちに、気付いたら閉まりっぱなしのシャッターを数えはじめてた。
ざくざくと雪の中を進みながら、
もう長いこと開いてなさそうね……1、2、3。
都会のあの入れ替わりの早い時間の中だったら、こんな世界はあっという間に過去に埋もれていくんだろうな。
都会の振り返らない無関心さは、こっちの雪にちょっと似ている。そこにあったものをすぐに隠してしまうのよ。
……4、5……
看板だけがかつての活気を予測する手がかり。八百屋も肉屋も魚屋も、どれもシャッターが閉まっている。車でちょっと行ったところに大きな郊外型スーパーがあったからそのせいなのかも。6、7、8……
数を数えていたらふと、かくれんぼのことを思い出した。
引っ越しの準備の時に思い出した小さい頃の記憶。私がおにいちゃんを覚えている、唯一の記憶と言ってもいい。
普段は滅多に思い出さないあの緊張を、どうして最近こんなにも思い出すのかな。
なんだろ。
このどんよりとした雪国の冬の空に似た重さ。目に見えない何かに塗り潰されている感じの空気。
頭の奥がチクチクする。
同時に、背中にも何か冷たい震えが浮かんで、消えた。
んー。風邪引いたんじゃなければいいけど。
また肩が震える。
冷たい風……私は風見鶏みたいに風が来た方向を見た。
それは商店街の外れから延びてゆく細い道。
そこから小高い丘のようなところへ続いている。
その頂上近く。白い景色の中には珍しい「紅」という異色が見える。
……鳥居?
神社なんてあるんだ。しかも眺め良さそうだわ……ただそんな高台から見下ろす景色も、冬の間は真っ白けっけかしらね。
いままでゆらゆらとシャッターを数えて蛇行していた私の足跡。立ち止まった場所を境にまっすぐになる。
その神社へと続く路地へと入り込むと、改めて紅にたたずむ鳥居が際立って見える。なだらかな上り坂は車が一台なんとか通れそうな幅。
あ、この道、冬はスキーとかソリ遊びとか出来そうね! ……よし、またまたプラスが一個。
その角のタバコ屋は開いていて、曇ったガラスの向こうに石油ストーブと編み物をしているお婆さんが見える。お婆さんが膝にかけた毛布の模様をぼんやりと見つめている私のすぐ後ろを、声が近づき、そして追い抜いていった。
ランドセルを背負った小学生たち。
「きょうはたんけんしようぜ!」
「おー!」と、男の子たちが口々に叫んでいる。
すると、そこに一人だけ混ざってきた女の子。
「だめだよ! じんじゃにいったら、おこられるんだよー!」
ほほえましい、無邪気なこどもたち。
それなのに何故か胸がしめつけられる。なぜかしら。




