あたらしいおまじない
じぶんに、いくら、そういいきかせても。
わたしのからだはすくみ、なにもできずにふるえているだけ。
そんなとき、わたしをたすけてくれたのがあの、おまじない。ぽけっとのおくで、こいしをにぎりしめて、いつものじゅもんをとなえると、せかいはもとどおりになる、そんなおまじない。
わたし、そのとききづいたんだ。
あたらしいおまじない!
そうよ。
いちからかぞえるじゅもん、じゅうからぎゃくにかぞえたら、せかいはあたらしくかわる、って。このあたらしいおまじないなら、わたし、ここからにげだせるって。
あのころのわたし、いつもぽけっとにこいしをいれていた。いつだってじゅもんをとなえられるように。
ぽけっとのなかで、こいしをにぎりしめる。
いつものおまじないを、ぎゃくむきにとなえる。あたらしいおまじない。
じゅう、
きゅう、
はーち、
なーな、
ろーく、
ご、
よん、
さん、
かずをかぞえるじぶんのこえが、わたしをとてもあんしんさせてくれるの。
かぞえはじめるまえまでもどったら、わたしはすべてをわすれるの。
だって、いまいるせかいじゃないせかい、だから。
ここにいるわたしがしっていることは、あたらしいせかいのわたしはしらないの。
に、
いち……
ぜんぶわすれて……
あたらしい、せかい、に……
ぜろ。




