良心欠如
笑っていた
どうしてかと訊かれても
私はうまく笑えなかった
なにかを待ちくたびれたように佇んでいる
「生きているふりをするのに、少し飽きたの」
そんな独白を
私は誰に宛てたのだろう
忘れた
血ではなく
私は罪の匂いが欲しかった
「助けて」って
言われたかった
昔母が言った
「優しさだけでは、生きていけないわ」
だから私はずっと
誰にも優しくせずに一日を終えている
割れた壊れた
役立たずの心臓
全部この手で捨てたけれど
残っている鼓動
殺人をした
いとも簡単に
人の肌は絹のように
包まれているだけの薄皮だ
だから
笑っていた
面白かった
 




