04 ふるい
――――
【堂万寿 鳥宮】
――――
なんとか歩いているパアラトの手を握っているケビン。
側にはメイト。
先導はスナッピーで、あとから王子と姫たち。
リールーが言った。
「精神体って立会人も見えるのかな?」
「どうなのかしら?」
「人型かな?」
「あら、意外・・・動物だと思ってたわ」
「「ほーう・・・」」
姫と王子たちの会話をなんとなく聞きながら、芯間に通される。
そこには脇差ムラサメが奉納されていて、パアラトが一歩前に出た。
「我は守る力が欲しいっ」
そうパアラトが言うと、白い鳥の群れの絵が壁から飛び出した。
何羽飛んだのか知れず、そして視界を遮っていたその鳥たちが透明になって消えた。
そこに立っていたのは、耳が翼になっている人型の精神体。
「力を貸そうぞ。手に取るといい」
男とも女とも知れぬ美しいその姿は、いつの間にか姿を消した。
パアラトは両刀の脇差を手に取り、そして立ちくらんだ。
ケビンが慌てて体を支える。
「戦い方を、教えてくれるそうだ。しばらく眠くなるって・・・」
「分かりました。お守りいたします」
「うん」
再びペガサス馬車に戻り、次の目的地へ駆ける。
――――
【堂万寿 猫宮】
――――
廊下を歩きながら、リガパトが言った。
「そろそろお腹すいてきた」
眠っているパアラトをだっこしているケビンが言う。
「では、ここでつるぎをたまわったら、朝ごはんにしましょうね」
「うんうん」
廊下には、歴代の王らしき人物たちの絵画が並んでいる。
「このどれかに、仕掛けがしてあるのだそうです」
芯間に入り、真正面の絵画を見て、リガパトが言った。
「どうやら、僕の番だ」
皆が見守る中、リガパトが前に進んだ。
つるぎを持った大きな青年の絵画の前で膝をつき、丁寧な挨拶をした。
すると絵画が淡く光り、そこからつるぎが出てきた。
気づくと絵画からつるぎの絵が消えていて、リガパトの側にるつぎがあった。
リガパトはつるぎを手に取り、そして納得したのか何度かうなずいた。
「エクスカリバー、って名前らしい・・・なんだか眠くなってきた・・・・」
「お食事をされませんと」
「ああ、忘れていた・・・」
馬車に戻り出発して少しすると、飲食店があった。
そこで食事をすませた。
――――
【堂万寿 花宮】
――――
花宮はきっと、カドア姫だろう、と誰もが言った。
そして予測は当たっていた。
堂万寿に入り、拓けたのは芯間。
そこに、つる植物のつぼみが大量にあり、真中につるぎが奉納されていた。
「わたくしの番ですわ」
カドアは皆が見守る中、つるぎを手にし、そして抜いて見せた。
そうするとつぼみだった植物の花がいっせいに咲いた。
「つかの飾りが花柄ですわ。可愛い。つるぎの名は、インテリー」
少ししてよろけると、眠い、とカドアは言った。
――――
【堂万寿 犬宮】
――――
芯間に入るまで、スナッピーは、そんなはずはありませんと何度も言った。
「今度は我の番だと言ってるだろうに」
「そんなはずはないのです」
「なにが言いたい?」
「プボスマ王子が次の王でございます」
「何を根拠にそんなことを言っている?」
「スナッピーは分かっております」
「何を?」
「プボスマ王子は、次の王でございます」
「話にならんな」
芯間の真中には、長剣を持った像があった。
プボスマが前に出て、皆が見守る中、その像に礼をした。
すると煙のようにさわさわと辺りは光りだし、いつの間にかその光りの霧が晴れる。
気づくとその手に長剣を持っていたプボスマが言った。
「菊一文字、まるで我のためにあつらえたような姿ではないか。気に入ったぞ」
「わーーーーーーーーーっ」
スナッピーが頭を抱えながら叫びだす。
「眠いな・・・」
「はい、馬車に戻りましょう」
ケビンの先導で移動する中、その場でスナッピーが大声で言った。
「イメージ的に長兄が王だと思ってたのにぃーーーっ」