第4話
ナナキの操るリベーターが、ロドムの残骸からライフルを掴み取って振り向きざまに発砲する。
背後から攻撃を試みたロドムが光線に貫かれて大爆発を起こした。
四散する部品を横目にナナキは機体を旋回させる。
「これで二体」
反撃の光線が飛んでくるも、リベーターは身軽に転がって躱す。
ナナキの超人的な反射神経の為せる業だった。
回避の直後、リベーターが伏せ撃ちでライフルを二連射する。
光線はロドムの片脚とコックピットを正確に撃ち抜いた。
「もっとだ。殺してやる」
素早く起き上がったリベーターが疾走する。
まるで陸上選手のように自然で最適化された美しいフォームだった。
その手が無人のトラックを拾い、アンダースローで投げ飛ばした。
高速回転するトラックは、ロドムの頭部に直撃して仰け反らせ、そのまま尻餅をつかせた。
コックピットの男は焦る。
頭部のカメラを破壊されたことで行動不能に陥ったのだ。
男は視界確保のために機体前部を開く。
そして、ライフルを逆さまに掲げるリベーターを見た。
振り下ろされたライフルの銃床が、大質量の鈍器となってコックピットを叩き潰す。
パイロットは己の死を悟ることなく、大破したロドムの一部となった。
リベーターは弾切れのライフルを捨てて前方を注視する。
残る三機のロドムが撤退を開始していた。
常識外の力を誇るリベーターに敵わないと判断したのである。
彼らは足裏のジェット噴射で上昇し、追跡不可能な地点を目指して急ぐ。
ロドムの機動力ならば逃げ切れるという算段だった。
彼らの魂胆を悟ったナナキは憎しみを込めて呟く。
「卑怯者め」
三機を追うようにしてリベーターが走り出した。
トップスピードに達した瞬間、ロドムの残骸を踏み台に大きく跳躍する。
伸ばした手がギリギリで一機の足首を掴んだ。
そこから落下の勢いを乗せてロドムを地面に叩きつけた。
衝撃を受けたロドムの背面がひしゃげて駆動システムに異常が生じる。
オイルを流す手足が痙攣していた。
リベーターはそのロドムからライフルを奪い取り、飛んでいく機体を狙い撃つ。
大穴の開いた二機のロドムが墜落して爆発した。
仕上げにナナキは足元の一機もコックピットを踏み潰して抹殺する。
敵部隊を殲滅したナナキは故郷の様子を見回す。
記憶にあった襲撃よりも被害は少なく、民間人が彼の活躍に喝采を上げていた。
ナナキは満足して微笑んだ。