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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
第1部-2章 王都で再開! 13歳の私は、他種族との交流していこう!

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75話 国の周囲から感じるきな臭さ


 スカイは、緊張していても飛べる子だと私は信じている。それがスカイにとって重圧になるから言わなかった。

 そして、スカイは飛んだのだ。空高く、安定してとても気持ちよさそうに飛んでいた。

 私は、地上から大きな声で声援を送る。


「その調子! 楽しんで!」


 スカイは、言葉を返すことはなかったがそれでもよかった。スカイが喋らない方が上手く飛べるのなら、そっちの方が断然いい。

 そしていつしか、遠くまで飛んでいた。その笑顔は一生の思い出に残りそうな勢いだ。


「スカイが喜んでいるなら、それでいいよね」


 私は思わず口に出していた。そして私も飛び上がる。


「スカイ、随分と楽しそうに飛んでいるね」

「え!? 剣聖様本当にありがとうございます。私空飛べてます!」

「そうだね、えらいぞ」


 私は、ぽんぽんっと頭を触れた。その後、一通り飛んだのち地面に降り立ったのだ。

 とても満足そうにしているスカイを見て、後悔なんかするはずなかった。


「じゃあまたどこかでな」


 そう言って私たちは別れたのだ。そして、私は街の中を一人で歩いてく。

 先ほどより視線を感じていた。

 嫌な予感がこんな時に限って、よぎってくるのが鬱陶しい。

 そう思っていても現実は甘くない。

 私は、号外と思われる新聞を拾い上げる。大勢の人に踏まれ、ボロボロなった新聞だ。


『剣聖、暴走箒少女に大金を使う』


 なんとも嫌な書き方だ。確かに、スカイの箒技術は上手いとはいえなかった。

 だが、魔力のコントロールが悪いだけでそこまでの問題ではない。

 それを教えない大人たちが悪いのだ。

 そのようなところまで、教育が行き届いていない国が悪いと思ってしまう。

 そんな新聞を眺めていると、何処からか見られているような気分になる。

 誰に見られているかは、とっくにわかっているつもりだ。


「フェクト、ナズナ。大人しく出てこい、無駄なことをやってみろ、どうなるかわかっているよな」


 私のドスの効いた声がし静かな通りに響き渡る。

 その声を聞いて、観念したかのように二人が路地から出てくる。

 とても気まずそうな顔をしているのが、遠くにいてもわかる。

 そして、ゆっくりと近づく二人。


「話があるなら聞いてやる?」


 フェクトは、とても言えそうになかった。完全にどんな反応が返ってくるか、わかっているかのような顔つきだ。

 一方ナズナは、聞きたくてうずうずしているかのような動きで、こちらを見てくる。


「アリア、どうしてあの子にお金を使ったの?」


 やはり話はそのことだったか。わかりきってはいたものの、違うのを期待していた自分がいる。


「箒を壊してしまったから、新しいのを買ったまでだよ」

「そうなんだ、それにしてもダイナール五枚は流石にやりすぎじゃない?」


 値段のことまで新聞に書いていたのか。とんだおしゃべりエルフだ。箒を取りに行った時、一回ぶん殴ろう。


「お金はね、天下の回りものだよ。だから使ったまでだ」


 それにお金なんて、稼ごうとしたら幾らでも稼げる代物だ。

 それを腹一杯溜め込んでいても、良いことの方が少ない。定期的に、吐き出した方がいいに決まっているのだ。


「明日は、ギルドの方に行こうと思ってるけど二人はどうする?」

「「行く」」


 二人とも、自分が見ていなかったばっかりになんて顔で見てくるが、間違いを訂正するのも面倒で私は何も言わなかった。

 宿に行って、ご飯を食べて、お風呂に入って、必要最低限の会話しかしないまま、ベッドに入る。

 外は、風が吹くだけで人々の声なんて聞こえてこない。どこも真っ暗で、明かりがついている方が珍しかった。

 私は、外を眺めるのを止め目を瞑る。そして次に目が覚めたのは、朝日が登る頃であった。

 窓を眺めるが、まだ外は騒がしさはなくとても静かな朝だといえる。

 窓はずっと開いているが冷たい空気は入ってこない。外は夏の暑さで、すぐにでも汗が出そうになってくる。

 そんな中、私はよく熟睡できたものだと感心してしまうほどである。

 

「今日も暑いな」


 結界の中ですら、気温二十七を超えている。風系と魔法である冷風がガンガンに冷ましてこの有様だ。

 国外は、暑さでとろけてしまいそうになると直感してしまう。


「あぁ、ギルドに行っていいクエストないか探さないとなぁ」


 怠さを感じさせつつ、服を着替えて部屋を出る。そうすると、タイミングがピッタリかのように二つの扉が開く。


「フェクト、ナズナおはよう!」


 二人とも気だるそうに、出てくる。見た感じ暑かったのか、少し機嫌が悪そうにも見えた。


「二人とも、冷たい物食べに行こうよ!」

「冷たい物だったら、食べたいかな」

「わたしも食べるー」


 二人とも、先ほどと変わって元気になる。本当に食に関して、優先度が高いのを伝わってくる。

 そして私たちは、冷たい物を食べつつ今日のことを話し合っていた。


「今日は、ギルド行くんだろ? それにしてもきな臭い感じが漂ってるな」

「行くよ。あ、フェクトも感じてたんだ、やっぱり魔物が近いのかな」

「え、魔物!! 倒しに行こうよ、早く早くー!」


 ナズナは、すぐに料理を掻きこみ私たちを引っ張る。


「ナズナ、まだご飯を食べてるでしょ! それにまずはギルドが先だよ」

「えーー! 早く倒したい、倒したい」


 駄々をこねていたが、私たちは聞く耳持たずにご飯を食べ進めていく。

 それに気がついて、膨れ顔でこっちを見つめてくるのには笑ってしまった。


「ご飯食べたらすぐ行くから、大人しく待っててね」


 返事はないが、ちょこんと座り指遊びをして時間を潰すのだった。

 そして私たちは、ギルドに向かう途中スカイと再開した。スカイは、とてもボロボロになっており今にも泣き出してしまいそうだ。


「スカイどうしたの?」


 私は慌てて駆け寄る。


「剣聖様ごめんなさい、私、私、箒を悪い人たちに取られちゃった」


 その言葉で私は完全にキレた。殺気が溢れ出し、それが国中を覆う。

 フェクトは、抑えるように言っているが私は無視をした。


「フェクト頼み事を頼まれてくれるかい?」

「ナズナとギルドに行けってことだろ、くれぐれも国を壊さないようにな」


 フェクトはナズナをひっぱり、ギルドの方に走って行った。


「ここからはお姉さんに任せておいてスカイ。私の可愛い教え子を泣かすようなやつに、ちょっとお仕置きしてくるわ」


 私は、箒屋にスカイを預け街に駆け出して行くのであった。

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