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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
第1部-2章 王都で再開! 13歳の私は、他種族との交流していこう!

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74話 剣聖、教え子のために大金を使う


 スカイの箒は、完全に粉々になってしまった。スカイは、まだ状況を飲み込めていないのか、何も喋ろうとはしない。


「スカイ、私がもっと見るべきだった。本当に申し訳ない」

「いえ……大丈夫ですよ」


 そんなことをなんとか振り絞っているが、どう考えても強がっているのが丸わかりだった。

 私は、スカイを地面に下ろし少し落ち着かせる。その間私は、箒を回収した。

 元通りにはならない箒。結界を貫くほどの衝撃、そしてそれまでに蓄積されたであろうものが耐えきれなくなったのだろうか。

 私は、そんなことを考えていた。


「あの、私が不甲斐ないばかりにこんなことになってしまって」


 スカイは、自分を責めるかのような言い方で私に話しかけてきた。

 そして私が振り向いても、目を合わせようとはしてこない。


「君のせいではないよ、私も悪い点があった。箒は、私が責任を持って用意するよ」

「そんな訳にはいきません! 剣聖様にそのようなことまでしていただく義理はありません、私が悪いのですから」


 私のことを剣聖と知っていたのか。それとも、門番などに教えてもらっていたのかは、わからない。

 それでも、この結果を生み出したのは私の責任でもある。


「いいや、君を教えたいと言ったのは私だ、君がどうして乗れないのかもわかった気がするよ」

「え!?」


 スカイは、とても驚いた表情を浮かべる。自分では、わかっていないのは明白だった。


「スカイ、魔力の制御が苦手かい?」

「得意とは言いませんが、どうしてですか?」

「箒を乗りこなすには、まずは魔力を制御するのが必要だからさ」


 私は完全に感覚で最初の時点でできていたけど、それをできるのはほんの一握りだ。

 私は、師匠から魔力の制御方法も一般的な知識として教え込まれているため、人に教えるのは得意な方である。


「まず、精神統一をやってみようか? そこにあぐらを組んで足を両足上に置いてみて」


 私もスカイに見せるかのように、やってみせた。そして自然と背筋がピンとなるのを確認する。


「魔力を全身に一定に巡らせてみよう」


 スカイは目を閉じ、魔力を自分なりに一定で巡らせているのが見える。

 始めたばかりなので、まだ歪さは残るが箒に乗っている頃に比べたらだいぶ安定している。

 先ほどは、緊張に加えて今までの失敗からか、魔力が多く箒に伝わっていたと思われる。

 そこさえ克服できれば、スカイは自由に箒で飛べることができるであろう。

 そうして、休憩を挟みつつ一時間程度で私たちは街の方に戻ってきた。


「箒屋さんってどこにあるの?」

「エルフ族の方ですか? それとも委託販売の方ですか?」

「エルフ族の方かな」


 スカイは、とても申し訳なさそうにしている。その理由は簡単だ、とてつもなく値段が高いからである。

 その分、とてもいい箒を取り扱っており評判の高いお店だ。

 それに比べて委託の方は、質が悪いが値段が安いことで有名である。

 集団で使う場合は、委託の方が値段が安いため売れるが、実際に使うとなるとほとんどがエルフ族である。

 私の箒は、最初から師匠が選んだエルフ族の作った箒だった。

 そうして旅立つ前日に、新しいこの箒をくれた。本当に感謝してる。


「君には、いいものを乗ってほしいからね」


 私は、微笑みかけ街を歩いていく。周りを見るに私に気づく人も少なくない。

 だが、誰も話しかけようとはしてこなかった。私も、そっちの方がいいので気が楽だと思った。


「ここです」


 スカイの足が古びた店舗の前で止まる。古びた店舗だが、相当いいものが置いてあるのが感覚でわかる。

 それだけ、肌に直接伝わってくる気分だ。


「じゃあ入ろうか!」


 そうして私たちは、お店の扉を開き中に入る。店内には、所狭しに箒が置いてある。

 どれも丁寧に扱われているのが一目でわかるほどだ。


「ここまで品揃えの良い箒屋も珍しいね」


 私は、思わず思っていたことが口にでた。それを奥の方で聞いていたのだろう。エルフ族の女性がこちらに歩いてくる。

 入った時から感じていた強者の風格。


「ほほう、お主にわかるのか。剣聖様よ」

「そりゃね、多少は知ってるよ」


 今にも、剣が出そうだ。というか、このエルフ族。魔法をいつでも打てるように、準備しているのが丸わかりだ。


「用はなんだい?」

「この子の箒を買いに来たんだよ。良いの見繕ってくれねぇか?」


 エルフ族の女性は、スカイをジッと見つめる。緑の髪をポリポリと掻きながら、何かを感じ取ったかのように一本の箒をスカイの前に出した。


「これはどうだ?」


 店主が見せてきたのは、素人が見てもわかるほどの物だ。


「耐久、結界特化の箒か。確かにスカイにはぴったりだな」

「鑑定を使わなくてもお見通しか。ダイナール五枚だ、どうする?」


 スカイは、流石の高さにびびっているのか首を横に振っている。


「いや買うよ。あなたが選んだんだ、スカイにそれが一番ぴったりということだろ」

「申し遅れたわラルよ、いい買い物をしたわね」

「私は、アリア。こっちが今成り行きで箒の飛び方を教えているスカイだ」


 ラルは、スカイを知っている様子だった。おそらく箒の件で、幾度か見たことがあるのだろう。


「剣聖様、箒のメンテナンスはいかがですか? 今回ここまで高価のお買い物をしていただいたお礼にお代は入りません」

「じゃあお願いするわ」


 そうして私は代金と箒を渡した。店主は、とても興奮した様子なのがわかる。

 相当いい箒だと、すぐにわかったのだろう。

 箒を撫で回すかのように、触っている始末だ。


「いつ取りに来たらいい?」

「一週間は、最低掛かるわね」


 そうして私たちは、店を後にした。


「あの剣聖様、こんな高価の物いただけません。お金だって返せませんし」

「いいのいいの気にしないで、それより練習行くわよ」


 申し訳なそうにしているが、本能は手放したくないと言わんばかりに箒を握っている。

 それだけ、自分に合っていると判断しているのだろう。

 そうして、また私たちは箒の練習に赴くのであった。

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