71話 村での攻防
私たちは、久しぶりの旅をしていた。最近は、ずっとエルフの里におり、箒をこんな長時間乗ったのは久しぶりだった。
ナズナは、後で水分を取りながら景色を眺めている。フェクトは、とても退屈そうにしている。
「そろそろ休憩しようか?」
「それもいいけどよ、なんか魔物とかいないわけ」
体動かしたいと思っているのだろう。エルフ族の里では、ほとんど体を動かしていないからそれもあるのだろう。
「いるみたいだよ! 結構、うじゃうじゃしてる」
ワクワクが止まらないとでも言った方がいいのだろう。ナズナはとても楽しそうにしている。
「仕方ないわね二人とも、森を壊さないなら行ってもいいわよ」
その言葉を聞くなり、すぐに飛び降りる二人。とても悪い顔をしている。
下にいた魔物たちは、とても可哀想になっていく。それを平然に上空から眺めている私も同類だろう。
そして、しばらくして魔物たちの悲痛な叫び声が聞こえてくる。
とても心地よい声だ。
そして、しばらくして二人が呼んでる声が聞こえる。
「おーい、早くこいよ」
そして、私は呼ばれるやいなや降り立つ。地面は、魔物の血でぐちょぐちょだ。
私は、一眼見てため息をつきたくなる。
「あんたたちね、少しぐらい原型を残しなさいよね」
「えーだって、楽しかっただもん」
ナズナが、体をくねくねさせながら言って来る。フェクトは、すまないと手振りで謝ってくる。
「綺麗にするわよ」
そして、辺りに散らばった肉片を全て集め、結界内で燃やす。
そんなことをしていると、もう辺りは夕暮れになってきているのがわかる。
二人も気づいているのか、それぞれのテントを組み立てていた。
そういったことになると、めちゃくちゃ早く動く二人には、正直何も言えない。
私も、テントを組み立て食事の準備に取り掛かったのだ。
「二人とも、ご飯できたからお皿とか出して」
二人ともくつろいでいたのを邪魔されたのか、少しムスッとしている。
「ご飯、食べたくないのならそうしていいわよ」
それを聴いた途端、慌ててやり出すあたりツッコミをしたくなる。
そうして、夜は更けていったのだ。
「そろそろ出発しようか」
「「ヘーイ」」
そうして箒を取り出し、また暇な時間が始まった。でも、そんな時間は、すぐに終わった。
「こんな所に村があるなんてな」
「確かにね、でも山の麓っていいじゃない」
「流暢に話してる所悪いけどさ、なんか魔物がいるみたいだよ」
すっかり村に着いた安心感からか、村をよく見ていなかった。
見た所、挟み込まれているような形で魔物との交戦が始まっているのが見えた。
魔術師か魔法使いかはわからないが、魔法が至る所から飛んでいるのが上空からでも確認できるほどだ。
「あれ、激しすぎないか?」
「とりあえず行くわよ!」
私たちは、箒を急降下させ村の方に降り立つ。突然のことで、村人たちは驚いていたがすぐに指揮官らしき人が話しかけてきた。
「あなた方、見た所冒険者ですよね。厳しいので、お手伝いをお願いできませんか?」
私は、二つ返事で承諾した。フェクトもナズナもやる気充分みたいだ。
「二人とも、速やかに終わらすわよ!」
「任せておいてー」
「当たり前だ!」
そうして私たちは、別々に行動し始める。私を見るなり、魔物の本能がそうさせているのか、全身全霊の威嚇をしているようだ。
そんなのでは、私の足を止めることはできない。それでも、威嚇を続ける魔物。
コボルトの上位種、コボルト・キング。そいつは、仲間を守るためだろう。
「そんな行動では、仲間は守れないよ。それでもまだやり続けるのかい?」
コボルト・キングの知力は高が知れている。そのため、私が言葉を発しても、彼は結局同じ行動しかしない。
それを見て、私は何も思わない。
私は、ただ剣を抜いて目の前の魔物を殺すだけなのだ。向かって来るものも居ない。
それをただ、タスクをこなすかのように作業していくのだった。
魔法の攻撃が魔物を襲う。それを防ごうとするもの、抗おうとするもの様々である。
ただ、その戦いも長くは続かない。
フェクト、ナズナの攻撃に引いていく魔物たち。指揮官が有能なのか、確実に殲滅していくこの感じ。
我々の勝利が確定的となった。
「助けて頂き、ありがとうございました。あなた方が居なければ、もっと厳しい戦闘は続いていたでしょう」
指揮官が駆け寄り、そう言ってくる。
「私たちは、当然のことをしたまでです。それよりここってこんなにも魔物が出現するですか?」
「はい、今は発情期のシーズンでして凶暴化した魔物が出現することがなっておりまして」
ある意味、村からしてみれば最悪なシーズンと言っても過言ではないだろう。
辺りを見渡す限り、魔法を扱える者の消耗が激しいと感じる。
そして、村というだけあって平均年齢も高く若者はほとんど見かけない。
「あの、ここってギルドなどにクエストは出されてたりしてますか?」
こういった所は、早くから国の方にクエストを貼ってもらうことをした方がいい。
そうでもしないと、ここは廃村と化すだろう。
指揮官を見るに、とても難しそうな顔をしている。
「それは、難しいですね。それに見あった報酬をお支払うことができないのです」
薄々勘づいてはいた。村としては、大規模な銭湯といってもいいほどだ。
それを村人たちだけで守るにも、限度と言うものがあるであろう。
「分かりました、私の方から魔法界の方に問い合わせて見ます」
「それはありがたいですけど、あなたは一体……」
すっかりタイミングを逃して、忘れていた。
「申し遅れました、剣聖の称号を持つアリアと言います」
「俺は、アリアの使い魔フェクトだ
「わたしは、獣人族のナズナだよ!」
指揮官は、突然のことで目をパチパチさせている。そして目を閉じたまま動かなくなる。心配になり、何度か手を振るが反応はない。
指揮官と思われる彼は、立ったまま気絶していたのであった。




