63話 召喚術式で何が呼ばれるか楽しみです!
リッチ・キング。ボロボロのローブを羽織っており、スケルトンの魔物。
キングと言うことだけあって、頭には骨でできた王冠がある。
「先手必勝!」
剣を突き出すが、リッチには当たらない。結界がリッチの周りを覆っている。
魔道書での瞬時に防御発動か。コイツは、基本的な守り型かバランス型である。
リッチ・キングには様々な戦い方があるとされている。超攻撃型、絶大な魔力での攻撃を得意とするやつ。防御型、守りを徹底しカウンターを狙うタイプ。バランス型、攻撃、防御を上手く使い分けするタイプ。
それが、今現在でわかっているリッチ・キングの戦い方である。私は一度大きく離れるが、その間一切攻撃に転じる様子はない。
完全に、警戒されているのがわかる。
「こないのならこっちから行くぞ!」
私は、一気に間合いに入り斬り込むが結界に阻まれて、剣は弾かれる。
魔道書がパラパラと捲れる音がする。
魔法陣!?
どんな攻撃が来るか予想が付かない。焦る気持ちを瞬時に切り替え、どう動いても行けるように体勢を整えることに集中する。
「チェーン」
微かに声が聞こえてくる。コイツもしかして、そう言うことなのか。
「判断をミスったね、そんなので私は捕えられない」
鎖は、一直線に飛んでいくだけで追尾機能なんてものはない。
それだけ簡単に避けられるというものだ。そして、魔法を発動したことで、結界に緩みが生じている。
おそらく魔力が心許ないのがわかる。
そこを一気に叩く!
「喰らっておけ!」
パリンーと、結界が砕ける音が洞窟内に響き渡る。そのままもう一撃、剣を突き出した。
リッチ・キングは、後に下がろうとするが一歩遅く、剣はクリティカルに当たる。
そのまま後に倒れ込み、悲痛な叫び声が聞こえる。
「そんな声あげてないで、しっかり対策しやがれ!」
私は、一切迷いない一撃を浴びせる。リッチ・キングが立て直すのは、ほぼ不可能であるだろう。
それだけのダメージを、一瞬のうちに叩き込んだのだ。
「まだ消滅しないだけ、耐久力はあるんだな」
「――――――まだ、終わりでは、ない」
リッチ・キングが最期の悪あがきをするのであろうか。ダンジョン内の魔力が一点に集中していくのを感じ取る。
光っていた魔光石が、段々と薄暗くただの石になっていく。
魔道書がまたパラパラと捲られていく。倒れていて、手元になくても使えるとは、思わなかったので感心して見ていると、何やらフェクトの怒鳴り声が聞こえてくる。
「アリア! 何やってんだ、トドメをさせ!」
「え、別にいいよ。どうせ、この魔法が唱えたところでコイツは消滅するよ」
「コイツ今、召喚術式やってんだけど! ソイツが消滅したところで、召喚された奴は死なない」
召喚術式か、どんな者が召喚されるかは、一切不明とされているのが召喚術式である。
ほとんどがランダムらしく、召喚の例として挙げられるのは、魔物、魔族、異世界人なんて居たそうだ。
どれも相当な実力者だったが、召喚に使った魔力が無くなり、全員消滅したと書いていた。
「まぁ、どんな奴が来ようが別にいいよ」
そうして、魔法陣が地面全体に広がり光に包まれる。
眩しく、目を隠した直後だった。
私の目の前に、男が現れる。
「なんだここ? ライカの反応ねぇな」
男は、呑気そうな顔をして周りを見ている。そして私に気がつくなり、剣を取り出し構えている。
「俺はロード、魔王を倒した元勇者ってところかな」
魔王? 私は、なんのことか全く分からないが強そうな奴なのは分かる。
「私は、剣聖の称号を持つアリアよ。あなたは異世界人って所ね、リッチに召喚されたのよ」
「へぇーそうなんだ。魔力量的にも十分が限界かな、せっかくだし手合わせしようよ」
次の瞬間、剣が火花を散らす。お互いなんて悪い顔をしているのだろうか。
悪魔が宿ったような顔で、戦いが始まった。
「やっぱ強いね。聖女の願い発動!」
消えた。いや違う、迫ってきてる。
一歩遅かった、私は壁にめり込むような形で吹き飛んだ。
「神速式・ソードインパクト!」
私は、この人生が始まって以来の大怪我をしている。血はダラダラと流し、全身が痛い。というか、剣が体を貫通してるしね。
「この程度じゃないよな、アリアならもっと強いはずだ」
「初めてこんなに喰らったよ、こんなに痛いんだね」
私たちは、お互いに高笑いしながらぶつかり合った。こんなにも楽しい時間はなかった。
そこからは、一歩も引かない戦いと言ったらいいのだろうか。
私たちは、血だらけで立っている。
「技なしでここまでやるなんてすごいね」
「そっちこそ、神速式なんてやば過ぎでしょ。見えねぇよ」
ロードはふと視線を上げる。何かを悟ったかのように言葉を呟いた。
「あーもう時間かよ」
ロードはとても悔しそうに言っている。それは私も同じである。
こんなにも楽しい戦いは、初めてだ。
「じゃあな〜」
「またこっちに遊びに来たら手合わせしようね!」
そうして彼は、強制的に退去したのだった。
アドレナリンが出まくっているのがわかる。ただ、それは長くは続かないこともわかっているつもりだ。
そのまま私は倒れ込んだ。
「アリア! すぐにポーションを掛けるからね」
そう言ってナズナは、すぐさまボックスからポーションを取り出し浴びせてくれている。
傷は、だんだんと塞がり痛みも引いていく。
「ごめんね、二人とも心配をかけたね」
「アイツ、俺たちがいつ襲いかかるか待ってるようにも見えたぜ」
「わたしも思った」
「全員と戦いたかったんだろうね、少し休んだら行くわよ」
……
「やっと見つけた、どこに居たのってその傷どうしたの?」
ライカが、心配そうに駆け寄ってくる。
「ライカ、いや楽しい経験したぜほんと。異世界に召喚されてめっちゃ強い女剣士と戦ったぜ」
ライカは、その時頭の検査をしてもらうために仲間を呼ぼうかと、考えていたのをロードもわかっていた。
「いや楽しかったな、感覚で神速式に付いてくる化け物だったわ」
「それは良かったわね、それよりご飯を作ってよね」
そうして元勇者ロードは、今日も元魔王城で元気に余生を楽しむのであったとさ。
ソードストーン主人公ロード、久しぶりに書けて楽しかった!
知らない人は是非、さわりだけでも読んでいただけたら嬉しいです。




