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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
1部-9章 剣聖は詠唱を唱えて戦いたい

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393話 新しい強さ


 ナズナが帰ってきた。服がボロボロになっている、何も自分からは話そうとしないが、何かあったのは明白だった。

 それでもフェクトと私は、自分から話出さない限り、聞くことはなかった。

 そして、私は気付いたことがある。ナズナは、明らかに変化していた。

 なんと言葉で示せばいいかわからないが、感じ取れてし舞う。


「とりあえずナズナも帰ってきたことだし、ご飯を食べようか」

「そうだな。一日中寝てたとはいえ、お腹は空いた」

「わたしも話たいこともあるし、早くご飯を食べたい!」


 私は簡単に調理を済ませ、料理を提供した。そして、ナズナは食べ始めると同時に、今日あったことを話してくれた。

 それは、まるで私の中に存在しているマインと似たようなものを感じた。


「それでどれぐらい、強くなったんだよ? 気になるよな、アリア」

「それは確かにそうだけど、今から組み手なんてしないでよね」


 フェクトは「バレた」と、言いたげな表情で私の顔を見る。

 そしてナズナもうずうずしていたのが、すぐに収まった。


「明日の予定なんだけど、とりあえずこのまま進む方向で行こうと思う」

「俺もそれには賛成だ。それに今日はゆっくりしたから、その分何かあってくれた方が、俺からしたらありがたいんだけどな」

「わたしも問題なし!」


 翌日。私たちはいつものようにほうきに乗って空の旅をしていた。

 そして、それからいくつもの日を跨ぎ、フェクトが期待したことが実際に起こっている状況に、私たちは出くわしたのだ。


「おいあれを見てみろよ! 村が魔物に襲われてるぞ」


 優雅に飛んでいたのが一変、一瞬にして緊張感が増す。鼓動が早くなっていくのを感じる。

 それになんだか、妙な気配が魔物の中に紛れ込んでいた。


「二人とも一気に降下する。それに、これはどうやら人為的に起こされたみたいだ」


 ほうきを全速力で降下させ、私たちはド派手な登場で村の前に降り立った。


「我が名はアリア! 剣聖の称号を持つ冒険者として活動しているわ」

「我が名はフェクト、双剣使いにして魔神。魔物ごときが村を襲うか、我が前でやるなんて自殺行為であるぞ」

「せっかくの見せ場、ナズナが全てを懲らしめてやるニャー」


 ナズナは自己紹介を言い終えると同時に、新たな覚醒をその場で解放してみせた。

 圧倒的な存在感を放ち、思わずニヤけてしまいそうだ。


「こっからは、わたしが相手をしてやるニャー」


 その言葉通り、ナズナ単騎で突撃死多大なるダメージが魔物たちには及んでいた。

 それに伴い、逃げようとする存在すら、ナズナの前では無理な話なのだ。

 全てを破壊していくかのような一撃は、新たなナズナとして、文句のつけようのない出来である。


「相当強くなってるね、アリアが飛び出さなくて良かったよ」

「いや私、そこまで戦闘狂じゃないから!」


 慌ててツッコミをするが、フェクトには鼻で笑われる始末。


聖なる刃(ライトニング)

「インフェルノ」

「サイクロン」


 どさくさに紛れて飛んでくる魔法。それは全てナズナに向けられて放たれていた。


「いや、君たちの相手はこの私たちだから、ナズナに手を出すなんて許さないわよ」

「もっと威力をあげなよ、こんなの赤ちゃんみたいなレベルよ」


 渾身の一撃とも呼べそうな一撃たちは、私たちの前では全てが無意味だ。

 それになぜだろうか、魔法使いたちは顔が青ざめている。すでに魔力が尽きているようにすら見える。


「どうしたの? もう魔力切れとか言わないわよね、そんなちっぽけな魔法なのだから、まだあるわよね」

「ねぇ早く出しなさいよ、もったいぶらないでさ」


 より顔が青ざめていく魔法使いたち。それは、魔物を操っていたと決定付ける証拠である。

 私たちはそれでも可愛くおねだりするかのように言う。


「何をもったいぶっての? 命を燃やせばいくらでも捻出されるでしょ、魔力って」

「ぁぁぁぁぁっ!!」


 放たれた魔弾は、最高な命の輝きを放っていた。私はそんな輝きに心の昂りを感じている。

 私はそんな魔弾を一瞬にして消し炭にしてしまう。


「いい魔法だったと思うよ、でも私にはもっと強い魔法ではないと無理だね」


 そのまま私は、魔法使いたちを拘束するのだった。そして、その頃にはナズナは魔物を消滅させていた。


「とりあえずこいつらを尋問するわよ」


 そんな時、村人たちが村内から慌てた様子で出てきた。


「剣聖様、今回は助けていただきありがとうございます。この村を乗っ取ろうとする存在でしたから」

「そうなんですか、でもこの村ってそんなに重要な場所なんですか?」

「いや特にはそんなことはないと思うですけど、なぜか魔法使いたちが襲いに来てたですよ」


 村長と思われる男は、なんとも不思議そうな顔でこちらを見てくる。

 私はフェクトに目線を送る。そして、それに応えるかのように、フェクトは天高く飛び上がる。


「わかったわ! ここが狙われるわけやっぱりあるわ」


 村人たちは、ざわめきを立てていた。それほどまでにここは、辺鄙の場所である。そうなるのも無理はないだろう。


「詳しく教えてくれる?」

「ここは魔力が多い。それにここを抑えれば、周辺の国々に魔力の総量を減らすことができるわ」

「ダークウィッチーズが関与してる感じ?」

「いや違うね。コイツらはどこぞの国に雇われた魔法使いだ」


 なんらかのいちゃもんをつけて、お金でも騙し取ろうとしたのだろう。

 だが、それは中々上手く行かずこんな無茶なことをやらかしたのだろう。


「それにしても怪我がなくて良かったわ。とりあえずコイツに関しては、魔法界にしっかり調べてもらいますから」

「あ、ありがとうございます」


 そうして私は、イデリアにこのことを報告すると「後で行くよ」と言っていた。

 そして私たちはとりあえず、捕縛者を連れて村の中に入る。

 未だに気絶しているため話を聞くことはできない。それだけ、魔力切れが強い力を持っているということだ。

 私たちは、起きるまでの間、ゆっくりと村で過ごすのであった。

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